ISMSの維持審査について徹底解説!審査内容、必要な準備も解説
こんにちは。ISOプロの岡です。
ISO27001認証は、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際標準であり、取得することで企業の信頼性を高め、ビジネスの拡大につながります。しかし、ISO27001の取得は専門的な知識と経験を必要とするため、専門のコンサルティング会社に支援を依頼することが多いです。
本記事では、企業がISO27001取得支援を依頼する理由、コンサルティング会社に依頼できること、利用するメリット、そして選び方について詳しく解説します。
ISO27001認証のスムーズな取得にお役立てください。
ISO27001取得支援を依頼する2つの理由
まず、企業がISO27001取得支援をコンサルティング会社に依頼する理由について説明します。
最短期間での取得
ISO27001の認証取得には、通常、自社の情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の審査を含む多くのプロセスが必要です。一般的には、以下の手順で実施します。
- ISMSの範囲の定義
- 情報セキュリティポリシーの作成
- リスクアセスメントとリスク管理方法の定義
- リスク対策計画の作成
- ISMSの実装
- 内部監査の実施
- マネジメントレビューの実施
- 継続的な改善
- 認証審査
組織の状況やリスクにより、追加プロセスが発生する場合もあります。
一般的に初回の認証取得までの目安は6ヵ月以上です。取得支援コンサルタントを活用せず、自社のみで審査を受ける場合、1年以上かかっても取得できないケースも珍しくありません。
そこで、取得までの期間を大幅に短縮できるのが、専門のコンサルタントの支援を受けることです。経験豊富なコンサルタントは、認証取得までのプロセスを企業の状況に合わせて実施し、最短での取得を支援します。
最短で認証を取得するためには、プロセスを計画的に進めることが必要です。
従業員の負担軽減
自社で認証取得の準備を進める場合、ISO担当者を置くことになります。多くの場合、通常の業務と兼業することが多く、担当者の業務負担が増加します。
また、以下の7つのドキュメンテーションが必要になるため、要求事項の理解をしながらこれらを作成することも考えると従業員への負担は大きなものとなるでしょう。
- ISMSの範囲
- 情報セキュリティポリシー
- リスクアセスメントとリスク管理方法
- 適用可能性の声明
- リスク対策計画
- 情報セキュリティ目標
- リスク評価と対策報告
また、以下の記録も必要とされています。
- トレーニング、スキル、経験、資格
- 監視と測定の結果
- 内部監査プログラム
- 内部監査の結果
- マネジメントレビューの結果
- 是正措置の結果
- ユーザー活動、例外、セキュリティイベントのログ
しかし、コンサルタントの支援を利用すれば、従業員の負担を大幅に減らせる可能性が高いです。
コンサルタントにもよりますが、教育や訓練の実施、必要なドキュメンテーションの作成など、認証取得に必要なタスクをサポートします。コンサルタントのサポート内容次第で、負担が変わらないケースもあるため、自社に合ったコンサルタントを選ぶようにしましょう。
ISO27001取得支援を利用する4つのメリット
ISO27001取得をコンサルタントに支援してもらうと、どのようなメリットがあるのか解説します。
コストや特性を考慮した審査機関の選定ができる
ISO27001の審査機関は、数十社存在し、それぞれに異なる特性やかかるコストが変わります。
そのため、審査機関ごとの特徴や金額などを比較することが重要です。
コンサルタントの中には経験と知識を活かし、企業のニーズに合わせた審査機関の選定をサポートしてくれるところもあります。
>>関連記事:ISO審査機関(認証機関)の選び方と押さえるべき3つの...(ISOプロのページ)
無理のない取得計画が立てられる
コンサルタントは企業の業務量、規模、内部体制などを考慮に入れて、現実的で無理のない取得計画を立てることが可能です。
認証取得までのプロセスが多くあるため、計画的に進めなければ、予定している審査日までに間に合わないこともあります。
しかし、取得支援を利用することで、コンサルタントの経験をもとに適切なスケジュールを提示してくれるでしょう。
企業の体制に関わるISOの構築には時間を要します。さらに、企業規模や業種により取得までに必要な時間や予算は異なります。
適切なスケジューリングを行うことで、業務の遅延を防止可能です。
専門家からアドバイスをもらえる
コンサルタントから、ISO27001の構築に必要なサポートをしてもらえるだけでなく、業務改善に役立つ有益なアドバイスを得られることもあります。
自社に近しい業種の実績が多いコンサルタントであれば、その可能性はより高まります。
初回認証取得も大切ですが、ISO27001認証は継続運用していくものであるため、専門家から的確にアドバイスをもらうことで、持続的な情報セキュリティの向上とビジネスの成長につながるでしょう。
取得後のサポートを受けることができる
ISO27001の認証は、一度取得するだけでなく、定期的に更新が必要です。規定認定の登録は3年間有効ですが、継続するためには更新審査で合格しなければなりません。
また、更新審査だけではなく、維持審査といわれる1年ごとに発生する審査があります。維持審査は審査時点での運用状況を確認し、更新審査では3年分の記録類の確認や適合しているかの確認がなされます。
コンサルタントは取得後も2つの審査にともなう継続的なサポートを提供し、更新に必要な改善策のアドバイスを行います。
ISO27001のコンサルティング会社を選ぶ際のポイント
コンサルティング会社を活用することで取得や継続にかかわる業務を効率化できると解説しました。
では具体的にコンサルティング会社を選ぶ際のポイントをいくつかご紹介します。
サービス内容
専門の支援を求める際は、まず自社のニーズに合ったサービスが提供されているかを確認しましょう。
サービスの範囲、内容、および利用後のフォローアップ体制などを詳しく問い合わせてみることがポイントです。
サービスの内容を比較することで「自社にとって必要な支援は何か」ということも明確になるでしょう。
サービスの価格
価格は重要な選定基準の一つです。しかし、高いからといって必ずしも質が良いとは限りません。また他と比べて安すぎても、希望するサービスを受けられない可能性もあります。
価格と提供されるサービス内容をしっかりと比較し、コストパフォーマンスの良い会社を選びましょう。その際、金額の理由を確認することも重要です。
担当者の質
コンサルタントのスキルや経験は、取得支援の成果に大きく影響します。過去の取得実績や専門知識、クライアントへの対応などを確認して、信頼できる担当者であることを確認することも重要です。過去のクライアントからの評価も判断材料になります。そのほか、コミュニケーションスタイルも重要です。自社のニーズに対して迅速に対応できるかどうかも見極めておきましょう。
以上のポイントを押さえておくことで、質の高いサポートを得られる可能性を高めることができます。
>>関連記事:ISOコンサルタントの選び方と押さえるべき3つのポイント(ISOプロのページ)
まとめ
ここまで解説したように、ISO27001を取得することで、セキュリティリスクの軽減や業務効率化といった様々なメリットが得られます。しかし、取得するにはある程度のノウハウが求められ、手間がかかります。
そのため、コンサルティング会社などに依頼をして取得支援を受けることも一つの手です。
取得支援をしてくれる会社を選ぶ際にはこの記事で紹介した内容をぜひ参考にしてみてください。