“また相談したい”と思われる人になろう。心を動かす「提案」コミュニケーション【前編】
「この問題どうやるの?」
「このお花ってどんなふうに書けばいい?」
毎日にように繰り返されるこんな子どもの“教えて”攻撃に疲れてしまった親御さんはいませんか?
まだ幼いから、仕方ないか……。
そう思いがちですが、実はこういうやりとり、大人の世界でも見かけるものです。
「営業資料ってどうやって作ればいいですか?」
「この報告書、何を書けばいいんでしょう?」
今回の記事のターゲットは、こんな「すぐ答えを知りたがる子ども」への対応に悩み、同時に「わが子に考える力を身に付けさせてあげたい」と願っているあなた。
自立的思考を育てる、コーチング的「発問」テクニックについてお話しします。
「発問」=相手に考えさせるための問いかけ
「発問」とは、相手に考えてもらうための問いかけです。
こちらは答えを持っているけれど、あえて教えずに問いで返すコミュニケーションです。
例えば、子どもが「この問題ってどうやるの?」と聞いてくる場面。
いつもなら「こうやるんだよ」と教えて終わりですが、「発問」的な返し方は、こう。
「どの公式を使えば良いと思う?」
「前にも似た問題があったね。どうだったっけ?」
この“考えさせる一瞬”こそが、成長に欠かせない時間なんです。
ちなみに、似ているようで違う「質問」は、自分は答えを持たず、相手が答えを持っていることへの問いかけです。
気づきを促すためのコミュニケーションなので、併せてチェックしてみてください。
→コミュニケーションTips「質問」
子どもの成長を加速させる、「発問」の効果
正直「発問」なんてしないで、すぐに教えた方が楽なときもたくさんあります(笑)。
でも、その手間を差し引いても素晴らしい効果があると感じます。
効果① 考える力がつく
人はすぐに答えをもらえないと、自分で考え答えを導く選択肢が生まれます。これこそが思考を深める訓練になります。私が大切にしている“考育”にも重要なステップだと感じます。
効果② 課題解決能力が高まる
自力で答えを探す力が身に付けば、解決策の引き出しが増えていきます。すると、あらゆる課題に対して自分なりの最適解が導けるようになるものです。
効果③ 自信がつく
自分で導いた答えは、与えられた答えよりも特別なもの。それが成功したときの達成感は計り知れないし、誰かの成功に乗っかったときとは桁違いの自信を与えてくれるはずです。
「発問」が難しいのは、教えた方が楽だから。
実際のコーチングセッションでも、「若手が育たず困っています」という声を耳にします。
「発問」してみてはどうか?と提案しても、クライアントからはこんな言葉が返って来ることも。
「大切だとはわかってるんですけど、意外とできなくて…」
そうなんです。「発問」って、本当に難しいんです!
コーチという仕事をしていても実感します。
難しい理由を考えてみたのですが、こんな感じじゃないかと思います。
・自分で教えたほうが早い
・失敗されたらフォローが増える
・思い通りのやり方に誘導したい
・頼られるとうれしい ←これ、けっこうあるあるです
つまり、「発問」ってする側からすると、「相手のため」ではあるけれど「自分は楽じゃない」関わり方なんですよね。
だから葛藤するし、すごく疲れます。
ただ、相手の成長を願うのであれば一度はやってみてほしい関わり方だと私は思います。(でも大変。そのループです。)
次回は「発問」しない方がいいシチュエーションと、「発問」を取り入れて部下が変化したクライアントさんの事例を紹介します。お楽しみに!
(後編に続きます)



