人間関係の“ありがた迷惑”をなくすコミュニケーションスキル・「収集」とは?【後編】
・相談したら、ザ・正論な答えばかりが返ってきてつらくなった。
・モヤモヤを打ち明けたら、アドバイスの嵐でしんどくなった。
こんな経験、誰しもあるのではないでしょうか。
実は、これらの経験には共通点があります。それは相手の選択肢を奪う提案をされたということ。
「あるある」と思いつつ「自分もやっているかも…」とドキッとした方には、今回のnoteを読んでいただきたいなと思います。
コーチングは「相手の中に答えがある」という考えが基本です。ですが、聞くばかりでは具体的な解決策が出ないことがあるのも事実。
そんなときにはコーチから「提案」を投げかけ、背中を押すこともあります。
しかし、押しつけにならない「提案」にはテクニックが必要です。
「また相談したい」と思われる親、上司、友人になりたい、すべての人のために。
お力になれるよう「提案」の要点をまとめたので、ぜひ最後までお読みいただけたらうれしいです!
視野を広げる提案/思考を停止させる提案
「提案」は、相手に新たな視点を提示するコミュニケーションの一種です。
選択肢を目の前に置き、手に取るかは相手にゆだねるイメージ。
選択肢を増やし、視野を広げることで、より良い決断ができるように後押しします。
混同されやすいのは「アドバイス」です。
「アドバイス」は「提案」に比べ、選択肢を“勧める”ニュアンスが強いのが特徴。イメージとしては相手に正解を渡す、に近いかもしれません。
似ているようですが、並べてみると一目瞭然です。
今回は「友達関係で悩んでいる子どもに対する回答」を例に挙げ、比較してみましょう。
もちろん、「メンバーとの関係性に悩む同僚」で想像していただいてもOK。汎用性の高いスキルなので、身近なシーンに当てはめてみてください。
内容は同じでも、「アドバイス」は少し限定的な感じがしませんか?
自分が提示した選択肢以外の可能性が見えづらく「こうすべき」という心理的な上下関係を感じる方もいるかもしれません。
対し、「提案」は “直接聞く”という選択肢をそっと提示しているだけなんです。
他にも検討の余地を感じさせる問いかけではないでしょうか。
もちろん状況によっては「アドバイス」が望ましいこともあります。
「提案」はコーチングコミュニケーション、
「アドバイス」はティーチングコミュニケーション。
そんな風に捉えると良いのではないでしょうか。
対等な関係を作る「提案」の3ステップ
「提案」には適切なタイミングがあります。具体的には「質問」「悩みの具体化」「提案」のステップを踏むことで、効果を最大化できると実感しています。
①「質問」
「質問」を投げかけながら、相談者がどうしたいのか?を引き出します。
今後その友達とはどうなりたい?
これからも仲良くしていきたい?それとも少し距離を置きたい?
②悩みの具体化
「質問」「回答」のラリーを通して、困りごとの解像度を上げて悩みを具体化していきます。
その友達を“苦手だ”と思うときって、どんなとき?
1対1で話しているときは、苦手意識を抱きにくいということ?
③ようやく「提案」
悩みの本質が見えたけれど自力で解決策が見つけられない。
このタイミングで初めて、選択肢を置いてみましょう。
友達とは今後も仲良くしていきたいとは思っている。
でも、大人数で遊ぶのは少し苦手だから、誘われると困ってしまう、ということだね。
それならその気持ちを事前に伝えておく、という方法もあると思う。
友達への伝え方を一緒に考えることもできるけど、〇〇はどうしたい?
ちなみに提案は1回につき1つに絞るのが効果的です。
子どもに限らず、人は選択肢を同時に提案されると思考が分散されてしまいやすいためです。
“評価しない”ことで生まれる信頼。すぐに使える「承認」



