問いかけひとつで相手の視野を広げる。4パターンの質問例付き【実践ガイド】【前編】

山田皓貴

山田皓貴

テーマ:コミュニケーションTips

コーチング的コミュニケーションTips第4回目、今回のテーマは「質問」です。
さっそくですが、次の状況をイメージしてみてください。

宿題をしない子どもに、こんな風に質問してみた。

「なんで宿題をしないの?」「いったい何が嫌なの?」

・・・子どもは重い腰を上げて机に向かった。

【問題】この問いは、子どもになんらかの気づきを与えたのだろうか?

このような「なんで?」「どうして?」と言いたくなるシチュエーションは、おそらく会社でもよく出くわすはずです。
チームのメンバーに、部下に、あるいは上司に。
違う価値観を持つ人が集まる組織では「なぜ?」と思う事象は日常的に起こります。
けれど、その問いの立て方ひとつで、相手の心が開くか、閉じるかが大きく変わります。
今回は相手の気づきを引き出し、行動を後押しする「質問力」についてお話ししていきます。

なぜ良い「質問」は人を変えるのか?

コーチングにおける「質問」にはさまざまな役割があります。

  • 相手の視点を変える
  • 選択肢を広げる
  • 思考や認識を整理する
  • 強みの棚卸しをさせる
  • 相手に未来を想起させる
  • 目標設定を手助けする

・・・守備範囲が広すぎて、一言で定義するのが難しいほどです。
そこでまずは意味を混同しやすい3つの言葉の定義を整理しておきたいと思います。
質問、発問、問いの定義
「質問」とは問われる側がすでに答えを持っている状態であることがわかります。
相手が知っているはずのことをあえて聞くのはなぜか。
それは、相手の中にある願いや目的に目を向けさせ、気づきを促すアクションだということです。
つまり問う側の好奇心を満たすための問いかけや、質問風の叱責(なんでやらないんだ!等)は本来の「質問」とは異なります。

「この質問で、相手にどんな気づきを得てほしいか」

コミュニケーションの目的(ゴール)を決めてから言葉を選ぶことが、良い「質問」のスタートラインだと思います。

「宿題って何のためにやるんだと思う?」が語りかける、課題の本質

「質問」のゴールは相手に気づきを促すこと。
ですが、体験してみるとわかると思いますが、自分に矢印を向けさせられる問いというのは、意外と答えが出ないものです。

実際、私もコーチングのセッションを提供する中で、クライアントに多くの質問をします。すると『そんなこと考えたこともありませんでした…』とハッと驚いた表情を浮かべる方も少なくありません。これは、個人的には良い質問のサインだと思っています。

では、冒頭の子どもの宿題の事例に戻ってみましょう。
私だったら「こんな風に尋ねるだろう」という質問と比較しながら、何が違うのかをお伝えします。
気づきを促す質問事例
パターン①は、「宿題はやって当然だろう」という価値観が出てしまっているのが残念な点でした。問われる側からすれば、自分の価値観に寄り添わないまま投げかけた言葉は受け止めきれず、責められていると感じることもあるでしょう。
結果しぶしぶ動くかもしれませんが、同時に “無理やり動かされた”という記憶は残ります。

パターン②は、子どもに考えるきっかけを与えられる問いかけとなっています。
宿題の存在意義を問われると、子どもは「宿題をやらないとその日の学習内容を忘れてしまうから」「大人になったときに計算ができないと困るから」など、自分なりの仮説を立てようとするでしょう。

その結果「やっぱり宿題をしよう」と決断するかもしれませんし、宿題に意味を見出すことができず、やらない決断を下すかもしれません。
それでも、現状の課題を自分事として捉え、自らの意思で判断を下せたという満足感は得られます。その実感こそ自分の人生を自分で歩む一歩になるのではないでしょうか。

質問者に対しても“自分の決断を尊重してもらえた”というポジティブな記憶が刻まれるでしょう。

*親子間の満足感の高い対話を目指すなら、こちらの記事もヒントになります。
コミュニケーションTips「傾聴」

次回は実際に私もセッションで使っている「質問」の4パターンを事例付きでご紹介します。
(後編に続きます)

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山田皓貴
専門家

山田皓貴(コーチング)

株式会社Hitofuri

目標達成や若手の定着などの課題解決に、コーチングマネジメント研修などを通したコミュニケーションの活性化を提案。実践までフォローする伴走型サポートを提供します。家庭での対話力を育むパパ向けプログラムも。

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