問いかけひとつで相手の視野を広げる。4パターンの質問例付き【実践ガイド】【前編】
※この記事は後編になります。
前編の記事はこちらからお読みいただけます。→「傾聴」はテクニックだけではない。【前編】
傾聴がもたらす3つの効果
これだけの苦労を費やしたとしても、「傾聴」には大きな意義があります。
ここでは傾聴の3つの効果を紹介します。
①相手の自己肯定感が高まる
話を聴いてもらえると、人は「自分を大切にしてもらえた」と感じるもの。
この安心感が心理的安全性の高い組織や家庭の土台となります。
以前ご紹介した「承認」と似た視点になるので、そちらもご覧いただくと理解が深まると思います。
“評価しない”ことで生まれる信頼。すぐに使える「承認」
百聞は一見に如かずということで、私がクライアント先で実践している「傾聴ワーク」を紹介します。
特別なスキルも道具もいらないワークなので、ぜひ同僚・友人・夫婦でお試しください。
【傾聴ワーク】満足感の高いコミュニケーションを体感しよう
【傾聴ワーク】
必要人数:2名(聞き手/話し手)
・聞き手は30分間話し手の話を聞く。
・聞き手は相槌を打ち、話し手に威圧感を与えない表情を心掛ける。
・聞き手は話し手の話を遮らず、アドバイスや自分の体験談も挟まない。
・30分後、話し手の感想を共有する。
このワークの後、ほとんどの話し手は「話を真剣に聞いてもらえた気がします」「すごく充実した時間でした」と満足感を語ってくれました。
でも、実際は聞き手は話を聴いていただけなのです。
つまり大切なのはその人の言葉を丸ごと受け止める姿勢。
満足感の高い対話において、有益なアドバイスは必ずしも必要ないということです。
もちろん「〇〇さんならどうしますか?」と求められたときは話してあげてください。
ですが、明確に意見を求められたときだけでいいと思います。
②気づきを促すことができる
モヤモヤを話すことで、悩みの本質が見えてきたという経験はありませんか?
「自分の目標が、実は違うところにあったと気が付きました」
これはコーチングセッションのあと、あるクライアントが発した言葉です。
このように他者との質の高い対話には、自己理解を深める効果があります。
ところが体験談を挟まれたり、途中で話を横取りされたりすると、自己理解もリセットされてしまうんです。
これがスッキリしない対話のメカニズムです。
自分が話し手でいられる「傾聴」では、自己理解が捗ります。
こうして得た新たな視点こそ、自分のありのままの価値観や願いを知るヒントになるのではないでしょうか。
③自発的な挑戦が増える
「否定されない」「聞いてもらえる」という精神的支柱があると、人は臆さず発言し挑戦できるようになります。
例えば、これまでは挑戦できなかったポジションの仕事への立候補などが挙げられます。
また、自発的な行動だけでなく、アイデアも出やすくなるという効果も期待できます。
きっと、誰でも「どうせダメだろう」としまい込んでいた意見やアイデアがひとつやふたつあるはずです。みんながそれを解放すれば、多方面でイノベーションが起きるはずです。
「傾聴」できてる?自分を見つめる“聴く”ワーク
一朝一夕では身につかない「傾聴」ですが、その難しさを知るのはとてもいいことだと思います。
自分の「傾聴力」を測るために、以下のワークを通して「傾聴」の最中にどのくらい相手から軸が外れてしまったかチェックしてみませんか?
やってみると「お昼ご飯何食べようかな」「週末どこに行こうかな」と集中力が途切れる瞬間が意外と多くて、びっくりすると思います(笑)。
【実践】あなたの傾聴力をチェック
【傾聴力を図るワーク】
必要人数:2名(聞き手/話し手)
用意するもの:紙とペン(スマートフォンでも可)
・聞き手は30分間話し手の話を聞く。
・その間、自分が意見したくなったり、他のことを考えてしまったりした瞬間をチェックする。
・上記の回数を集計する。
ちなみに、このワークは「何回以上ならダメ」というものではありません。ただ“意識する”習慣をつけることが大切なんです。
事実、繰り返すうちに雑念が入る回数が減っていくので、自分の成長が感じられると思います。
また、「この環境だと集中できる」と“傾聴の再現性”を高めることにもつながるでしょう。
まとめ
「傾聴」は職場、家庭、友人関係など、あらゆる場面で信頼の基盤になるものですが、再三言ってきたようにとても難しい作業です。
ですが、小手先のテクニックで固めるより、まずは「不知の自覚」が大切です。
耳の痛いことを申し上げましたが、この記事をここまで読んでくれた方は、「傾聴」の土台ができたはずです。(おめでとうございます!)
まずは「相手に心を寄せる」という状態に身を置いてみるのがすべての始まりです。明日とはいわず、今この瞬間から「相手に軸を置く」ことを心掛けてみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。



