私は、誰もが挑戦をためらった“オーガニック香水”という未知の領域へ、自らの手で道を切り開きました。
その旅の始まりは1995年。イギリスとの取引がスタートした瞬間から、私の物語は動き出しました。当時、英国大使館商務部から「3つの英国ブランドの代理店を探している」という依頼を受けました。候補には、今では世界的に有名なジョー・マローンなどのブランドが含まれていましたが、私の目に留まったのは「アロマセラピーアソシエイツ」という聞き慣れないブランドでした。
正直、「値段が高すぎるし、日本では難しいかもしれない」と感じました。それでも、以前帝国ホテルのアメニティを担当していた経験が背中を押し、香りの深い世界に再び挑戦する決意をしました。
その後、デパート業界に進出し、次々と香りの商品を取り扱う中で、私の心に残り続けたのはひとつの問いでした。
「ナチュラルとは何か? オーガニックとは何か?」
当時、日本では「オーガニック」という言葉が乱用されていましたが、それを裏付ける基準や信頼性はほぼありませんでした。その現状を見かねていた私に転機が訪れたのは1998年。フランスから厳しい認証基準「エコサート」が導入されるという知らせでした。
「これこそが私の探していたものだ」と確信しました。
「当時は、ナチュラルやオーガニックという言葉が独り歩きしていて、消費者はその本質を知らされていませんでした。本物を学び、それを日本に広めたいと強く思ったのです。」
そう心に誓い、私は新たな挑戦に踏み出しました。
エコサート認証を取得した製品を手に、高級ホテルのマンダリンオリエンタルへオーガニックアロマを提供するという一大プロジェクトを実現。しかし、そこに至るまでの道のりは平坦ではありませんでした。
オーガニック香水を作るには、フランスの厳格なメーカーと提携し、さらに化粧品として加工可能な工場を見つける必要がありました。この工程には、なんと3年以上もの歳月がかかったのです。
私が目指したのは、ただ「自然派」と銘打つ製品ではありません。
「根拠のないラベルで消費者を惑わすのではなく、本物の価値を提供すること。それが私がオーガニックを追求する理由です。」
現在、オーガニックという言葉が少しずつ広まりを見せる中でも、私が挑んでいるのは“真の信頼”を築くこと。未知の領域を切り開いた私のストーリーは、いまなお進行中です。
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ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
続きはまた!
是非お楽しみに♪
数年にわたる挑戦の末たどり着いた「本物のオーガニック」の真実
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Mybestpro Members
Hiroko近藤(オーガニック調香師)
Hiroko.K株式会社
国際有機認証機関ナチュラルオーガニック「エコサート(フランス)」の基準に沿って日本人ならではの感性で香りの世界を創る。仏大手香料会社有機部門に日本人で唯一ラボを持ち、開発生産している。
Hiroko近藤プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です
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天然素材・オーガニックの香りと文化を生み出す調香師