【システム開発・アプリ開発】ChatGPTでデータや画像の分析はできるのか?【分析編】

上村公彦

上村公彦

テーマ:生成AI

これまでの投稿でご紹介した通り、発注者目線でシステムやアプリ開発のプロセスにおいて生成AIを有効活用する方法を、数回に渡り探っていきます。
(これまでの投稿はこちら
【システム開発・アプリ開発】生成AIを活用するために知っておくべきこととは?【前提編】
【システム開発・アプリ開発】ChatGPTでオズボーンのチェックリスト/アナロジー思考法/PMI法【アイデア出し編】

今回もステップ0「問題意識を持つ」というテーマで、問題意識を持つために「己を知り、敵を知る」という意味で、自社や他社の《分析》に生成AIを活用できないかと考え、試してみました。

架空のお店のアンケートを作成し、そのアンケートデータからChatGPTに分析を依頼したり、画像データを読み込ませて画像からの分析ができるのか、そして最後には、分析結果から新商品のアイデアを出してもらうというところまで試しております。

どんな結果になるのか、ぜひ楽しみにご覧ください!


※このコラムの内容は動画で公開しています。Youtube版はこちらをご覧ください。

ChatGPTで顧客アンケートを分析

ChatGPTで顧客アンケートを分析
まずはChatGPTを使って顧客アンケートを分析してみましょう。こちらのファイルはお客様からのアンケート結果をまとめたファイルです。
顧客アンケート結果
もちろん本物ではありません。いつもの眼鏡メーカーが購入していただいたお客様に対して取った架空のアンケートという設定です。

メガネの購入先は3箇所あり、ECサイト・専用アプリ・専門店の3つから購入することができます。アンケートの内容は年齢層・性別・購入チャンネル・そして商品の満足度・自由コメントを書いてもらうという内容です。これを全部で50件用意しました。このファイルをChatGPTに読ませて分析をしてみたいと思います!

ChatGPTに指示するプロンプトはこちらです。

企業の強みと弱みを特定するために、特定の調査項目への回答に基づいて顧客アンケートデータを分析してください。

以下のアンケート回答カテゴリーを使用してください:
- 年齢層
- 性別
- 購入チャンネル
- 商品の満足度
- 自由コメント

#手順

1.**データを整理する**:年齢層、性別、および商品の満足度に基づいて回答を分類してください。
2.**強みを特定する**:さまざまな年齢層や性別間で繰り返し現れる肯定的なフィードバックや高い満足度評価を探してください。良好なパターンや傾向を強調してください。
3.**弱みを特定する**:低い満足度評価や否定的なフィードバックが一貫して存在する領域を記録してください。特に、さまざまな人口統計間で言及されているものに注意してください。
4.**自由コメントを分析する**:自由コメントをレビューし、製品改善に関するテーマ、感情、または特定の提案を抽出してください。
5.**所見をまとめる**:アンケートデータからの洞察をサポートに、企業の強みと弱みのバランスのとれた分析を提供してください。

#出力形式

以下の構造で詳細な報告書を提供してください:
-**強み**:特定された主要な強みをデータポイントでサポートしてリストしてください。
-**弱み**:特定された主要な弱みをデータポイントでサポートしてリストしてください。
-**自由コメントからの洞察**:主要なテーマや提案を要約してください。

#注意点
- 包括的な分析のために、定性的データと定量的データの両方に焦点を当ててください。
- 自由コメントからの直接的な引用や特定可能な情報を避け、データプライバシーを確保してください。

これは以前の投稿でご紹介したOpenAIのプロンプトジェネレーターを使用して作成したものです。
(詳しくはこちら→ 【プロンプトジェネレーター活用】生成AIから期待通りの回答を得るには?

ではこのプロンプトをChatGPTに渡して、先ほどのアンケート結果を送ってみましょう!

<ChatGPTとの応答>

上村「(上記プロンプトの全文)」
ChatGPT「データを確認しました。以下のカテゴリに基づいてアンケートデータを分析します:

  • 年齢層:顧客の年齢分布とそれに関連する満足度やフィードバック
  • 性別:性別ごとの傾向
  • チャネル購入:購入ルートと満足度の関係
  • 商品満足度:数値データを基にした満足度の平均や分布
  • フリーコメント:コメントの感情分析とテーマ抽出

今後、手順を追って分析を進め、企業の強みと弱みと特定します。

エラーが発生しました。日本語のストップワードの扱いに問題がありますようです。ストップワードを手動で指定してもう一度試します。

自由コメントから主要なテーマとして以下のキーワードが抽出されました(各キーワードは1回抜粋):

  1. 「いつまでも使いたいメガネです」
  2. 「品質の高さに驚きました」
  3. 「翌日発送も嬉しいです」
  4. 「直ぐ届いて安心」
  5. 「洗練されたデザインで面白かった」
  6. 「注文と違う商品が届きました」
  7. 「次回も購入したいと思います」
  8. 「次もこのブランドで購入したいです」
  9. 「普段使いに適しています」
  10. 「日常使いに最適な商品だと思います」

これらを分析に統合し、レポートを作成します。


レポート:アンケート分析結果

強み
1、高い満足度

  • 年齢層:50代、40代で満足度が特に高い(平均満足度4.5以上)。
  • チャネル購入:ECサイト利用者での平均満足度が非常に高い(4.6)。
  • コメントからも「洗練されたデザイン」「品質の高さ」などが評価されています。


2、迅速な配送と利便性

  • コメントに「翌日発送も嬉しいです」「すぐ届いて安心です」など、配送の速さが肯定的に評価されています。


3、リピーターの存在

  • コメントに「次回も購入したい」「次もこのブランドで購入したい」など、再購入意図の高さが見られます。


弱み
1、低い満足度の購入チャネル

  • 専門店利用者の満足度が相対的に低い(平均3.2)。サービスや店舗体験の改善が求められます。


2、一部の問題発生

  • コメントに「注文と違う商品が届きました」という不満があり、配送影響エラーが顧客満足度を与えています。



自由コメントからの洞察

  • テーマ

・「日常使いに最適」「普段使いに適している」「品質の高さ」など、製品の快適性や品質がサポートされています。
・デザイン性やフィット感が顧客から高く評価され、ブランドロイヤリティが育まれています。

  • 改善の提案

・店舗サービスの向上、特に専門店での接客や体験の質を向上させることで満足度を高める可能性があります。
・商品管理と配送の制度を高めることで、不満を軽減させられることがあります。

所見
この分析から、顧客満足度を高める強みをさらに拡大しつつ、特定の弱点を改善することで、顧客体験を総合的に向上させる戦略を構築できます。整いました。」

エラーが発生しました。日本語のストップワードの扱いに問題があるようです」ストップワードとはなんでしょう・・・おそらく「#注意点」としてプロンプトで投げた、「データのプライバシーを確保してください」という条件に引っかかったのではないかなと思います。実はデータの中に個人名を入れておきました。それが引っかかったのではないかと思います。

ChatGPTの分析結果の数値が正しいのか確認

ChatGPTの分析結果の数値が正しいのか確認
このようにChatGPTから返ってきた結果の、平均満足度4.5以上、非常に高い4.6、あるいは平均3.2など、ChatGPTが示す商品の満足度は本当に正しいのかを検証しました。

その結果はこうでした。
まず1つ目の50代、40代で満足度が特に高い(平均満足度4.5以上)という内容。本当か計算してみたところ、平均3.9。4.5以上ありません・・・。

次にECサイト利用者での平均満足度が非常に高い(4.6)に関して、計算してみたら3.7。こちらも違います・・・。

では3つ目の専門店利用者の満足度が相対的に低い(平均3.2)はどうでしょうか。計算したところ、3.9ということで、ChatGPTの出した3.2でないことは間違いないようです。

残念ながらこの結果を見ると、ChatGPTから出てきた回答は、数字を見る限り信頼できるかは疑問が残る結果となりました。

そうすると他の定性評価もどうなのかなというのは、またじっくり見直してみたいと思います。残念ながらChatGPTでアンケートデータを分析した結果はいまひとつという感じでしたが、これにもめげず次のチャレンジをしてみたいと思います。

ChatGPTで画像データを分析

ChatGPTで画像データを分析
次はChatGPTに画像データを送って分析してもらいます。今回眼鏡の画像データをいくつか用意しました。
眼鏡の画像データ
フリー素材から取ってくるということもあって少しの数しか用意はできませんでしたが、これがどういう想定かというと「ある競合他社が最近新製品を出してきた。そのデザインの傾向などを分析してほしい!」という依頼をChatGPTに投げてみたいと思います。

今回もOpenAIのプロンプトジェネレーターを使用してプロンプトを生成しました。

眼鏡の画像データからデザインの傾向を分析してください。他社が最近出した新商品です。
このデータを用いて、デザインの特徴やトレンドについての洞察を見つけ出してください。

#手順

1.**画像を評価する**:新商品のデザイン要素に焦点を当て、色、形、素材、装飾などの特徴と特定してください。
2.**デザインの傾向を分析する**:特定した特徴をもとに、現在のデザインのトレンドや競合他社との違いを分析してください。
3.**所見をまとめる**:発見したデザインの傾向や特徴を報告し、どのようにして市場での競争優位性を構築できるか提案してください。

#出力形式

以下の構造で詳細な報告書を提供してください:
-**デザインの特徴**:特定したデザイン要素をリストしてください。
-**トレンド分析**:特徴をもとにした市場トレンドや競合分析を記載してください。
-**所見と提案**:発見した分析結果に基づき、競争優位性が構築できる方法を提案してください。

#注意点

- 画像データの分析から得られた情報に基づいて、実用的な洞察を提供してください。
- 確固としてトレンドが存在するかどうかを評価するために、広範囲にわたる調査と分析を試みてください。

このプロンプトを使って、先ほどの眼鏡の画像ファイルを添付してみます。

<ChatGPTとの応答>

上村「(上記プロンプトの全文)」
ChatGPT「画像ファイルが通常に抽出されました。次に、これらの画像を評価して、眼鏡デザインの傾向や特徴を分析します。
主に以下の要素を調査します:

  • フレームの形状(ラウンド、スクエアなど)
  • (モノクロ、カラフル、カラーグラデーションなど)
  • 素材(プラスチック、金属、混合素材など)
  • 装飾やアクセント(装飾的なパターン、刻印など)

分析を進めます。
以下のデザイン特徴が分析されました:

デザインの特徴

1、全体的に明るい中間色(白や薄いグレー系)が多く、シンプルで清潔感のある色合いが特徴です。

  • 代表的な平均色は、RGB値で[203,203,203]から[234,234,232]の範囲です。

2、形状:エッジ密度(輪郭の複雑さを示す指標)が10〜18の範囲で、比較的緩やかでシンプルな形状のデザインが主流です。

トレンド分析

  • 現在のトレンドは、シンプルでミニマリスティックなデザインに寄っています。
  • 軽量感や透明感を感じさせる素材(プラスチックまたは薄い金属)と色使いが大切です。
  • 装飾的な要素はほとんどなく、実用的なデザインが重視されている可能性があります。


所見と提案

  • 競合優位性の構築:

・市場で目立つには、ユニークな色彩(例えばパステルカラーやグラデーション)やエッジの当面の装飾を加えることを検討すると良いでしょう。
・現在のトレンドを踏襲しつつ、フレーム形状にユニークな要素(例:ダブルブリッジや非対称フレーム)を取り入れることで差別化が可能です。
・環境に優しい素材やサステナブルなを採用することも、デザインの関心を重視するポイントとなります。

さらに詳細が必要であればお知らせください!」

RGB値で平均色を数値化しています。
エッジ密度、専門的な話になるかもしれないのでよく分かりませんが、ChatGPTの数値が正しいとすれば、色やエッジを数値で分析されています。

これはデザインという内容ですので、見る人が見ればこの結果の正当性がどうなのか判断できるのかもしれないですが、私には評価しづらいというのが正直なところです。

分析結果から新商品のアイデアを出す

自社のアンケート結果の分析と、他社の新商品のデザインの分析をしてみました。ではこれらの分析結果から、自社における新商品のアイデアを出せるのかということを試してみます。

今回はあえてプロンプトジェネレーターを使わずにシンプルに指示してみます。

<ChatGPTとの応答>

上村「自社の強みと他社のデザイン傾向から、新商品のアイデアを出してください」
ChatGPT「以下は、自社の強みと競合のデザイン傾向を基にした新商品のアイデアです。

自社の強み

  1. カスタマイズ性:セミオーダー(セミオーダー)の眼鏡をご提供可能です。
  2. 品質の高さ:お客様から高い評価を得ている堅実な製造技術。
  3. な迅速な対応:配送やサービスの迅速さが強み。
  4. デザイン性:トレンドを取り入れたデザインに柔軟に対応できる。


他社のデザイン傾向

  1. シンプルでミニマリスティック:複雑さを排除した洗練されたデザイン。
  2. 中間色や明るいトーン:白、薄いグレーなどの控えめな色合い。
  3. ユニセックスな形状:男女問わず使いやすいシンプルなフレーム。


新商品アイデア
1、カスタマイズxトレンドデザイン

  • 商品コンセプト:ユニセックスなシンプルデザインをベースに、色・形状・素材を顧客が自由にカスタマイズできる半注文メガネ。
  • 特徴:

・フレームカラーのパステル系やグラデーションオプションを追加。
・レンズの形状(ラウンド、スクエア、キャットアイなど)が選択可能。
・環境に配慮したサステナブル素材を利用。

  • 顧客へのアピールポイント:

・「あなたの個性を発揮する唯一無二のメガネ」
・手軽にオリジナルデザインが体験可能。

2、サステナブル・エレガンスライン

  • 商品コンセプト:環境に優しい素材を使いつつ、エレガントなデザインを追求。
  • 特徴:

・リサイクル可能なアセテートフレームや竹素材を採用。
・ゴールドやシルバーの装飾を取り入れ、高級感を演出。
・専用アプリで生産過程の透明性を確認できる。

  • 顧客へのアピールポイント:

・「美しさと環境への配慮を両立したメガネ」
・サステナブル志向のミレニアル世代やZ世代にアピール。

3、スマート機能搭載メガネ

  • 商品コンセプト:シンプルなデザインにスマート機能を搭載した未来型メガネ。
  • 特徴:

・ブルーライトカットや調光機能を標準搭載。
・専用アプリと連携し、日々の使用状況や統計データを記録します。
・軽量設計で装着感を重視。

  • 顧客へのアピールポイント:

・「デザイン性と機能性を両立した次世代メガネ」
・日常生活をサポートする高性能ツール。

販売戦略
1、ターゲット顧客:

  • 20代〜40代のファッションや環境問題に関心の高い層。
  • 自己表現を重視するZ世代。


2、プロモーション方法:

  • 機能や環境に配慮を強調したSNSキャンペーン。
  • ブランドストーリーを重視し、YouTubeやInstagramで動画コンテンツを展開。


実現可能性
自社のカスタマイズ性や製造技術を活かすことで、これらのアイデアは6ヶ月程度で製品化可能と考えられます。具体的なプロトタイプ開発に向けて準備が進んでいます。」

正直なところ、私はこのアイデアの評価はできないのですが、やはりこのような形で出てきた内容を参考にしたり・アイデア出しの刺激にするという使い方が良いかと思います。

まとめ

今回は、まずChatGPTで顧客のアンケートデータを使い自社の強みと弱みを分析してもらうということを試してみました。次に商品画像をChatGPTに送り、その商品画像を分析してもらいました。そして最後には、2つの分析結果を元に自社の新商品のアイデアを出すということを試してみまし た。

アンケートの分析結果では、平均満足度が 4.5以上など数値として出てきた結果に関しては、改めて自分で精査をしてみたところ、残念ながらその精査結果とは違う値となっていました。

しかし商品画像の分析に関しては、なんとなくそれっぽい分析結果が出てきて、これは興味をそそられるものとなりました。

そして最後には2つの分析結果・自社の強み・競合他社のデザインの解析結果を元に、自社の新商品についてのアイデアを出してもらうということを試してみました。

これらの結果は「正しい!」と言いきるには難しいところはありますが、いずれにしても自分で考えるためのヒント・きっかけになれば十分だと思います。

今回このように画像データを分析できるということは私も大変驚きました。
ぜひ皆さんもいろんなデータをChatGPTを使って分析をしてみて、そして皆さんのお仕事に役立ててはいかがでしょうか?

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上村公彦
専門家

上村公彦(システムコンサルタント)

株式会社クラボード

新規事業のためのシステムコンサルティングおよびシステム・アプリ開発で豊富な実績。ベンチャー企業での事業開発経験で培われた「提案力」を発揮し、ニーズに対応。経営者目線でIT戦略を導きます。

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