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日本と海外におけるDXの違いとは?海外のDX推進事例を5つ紹介!

上村公彦

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テーマ:DX

日本と海外におけるDXの定義・違いについて知っていますか?日本のDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、データやデジタル技術を用いてビジネスモデルを変革させることを意味します。

しかし、海外ではDXの定義が少しだけ異なる場合があります。また、DXの定義だけでなく進捗率も日本と大きく違います。

結論、日本に比べてアメリカや中国など海外企業のほうが、DXに対して前向きでDX化が進んでいます。これから自社のDX推進を考えている方は、もしかしたら海外の考え方や事例を参考にすれば、成功のヒントが何か掴めるかもしれません。

そこで本投稿では、海外と日本におけるDXの違いや定義、海外企業におけるDXの導入事例を解説します。海外企業におけるDXの考え方を深く理解したい方は、ぜひ最後までご覧ください。

海外におけるDXの定義

海外におけるDXの定義
「海外におけるDX」といっても、企業によってはその概念が異なります。DXの定義を一言で表すのは難しいため、以下2つの海外企業におけるDXの定義をみていきましょう。

マッキンゼー・アンド・カンパニーにおけるDXの定義

世界的に有名な外資系コンサルティング会社「マッキンゼー・アンド・カンパニー」。マッキンゼーという愛称でよく知られるマッキンゼー・アンド・カンパニーは、「デジタル革命の本質:日本のリーダーへのメッセージ」の中で、DXを以下のように定義しています。

「要するに、DXとは事業変革、ビジネスモデル変革、ビジネスプロセス変革である。よってDXはIT部門主導で実施するものでもなく、事業部門が個別に自部門を最適化するために実施するものではなく、企業戦略の柱としてCEOがリードするものである。」

また、マッキンゼー・アンド・カンパニーはDXについて以下の考え方も提言しています。

「自社の中で、DXのどの塊が短期的・中長期的に重要になっていくのかについて、共通認識を持った上で、DXの取り組みを実施することが望ましい。」

つまりマッキンゼーでは、DXを推進するためには経営陣がデジタル化をリードし、会社一丸となって取り組むべきプロジェクトである、と定義しています。また、DXを推進する上では、デジタル人材の育成に関する重要性も解説しています。

デロイトトーマツにおけるDXの定義

デロイトトーマツ(Deloitte Tohmatsu Consulting LLC)は、世界最大級の会計事務所であり、監査・保証業務、リスクアドバイザリー、コンサルティングなど、さまざまな事業を展開しています。

デロイトトーマツは自サイトの「デジタルトランスフォーメーションを成功に導くために」において、DXを以下のように定義しています。

「​​デジタルトランスフォーメーションとは、デジタルエンタープライズとなることを意味します。デジタルエンタープライズとは、データとテクノロジーを活用して、何を提供するのか、どのように販売し(顧客と関わり)、どのように届けるのか、そしてどのように組織を運営するのか、といったビジネスモデルのあらゆる側面を継続的に進化させる企業です。」

つまりデロイトトーマツは、データやテクノロジーを活用し、組織やビジネスモデルを継続的に進化させていくこと、それがDXであると定義しています。

日本におけるDXの定義

日本におけるDXの定義
ここまで、海外におけるDXの定義を解説しました。続いて、日本におけるDXの定義もみていきましょう。

日本におけるDXの定義も企業によって異なります。「日本におけるDX」を一言で表すのは海外同様に難しいため、経済産業省におけるDXの定義を参考にします。

経済産業省は2018年に発表した「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」にて、DXを以下のように定義しています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

つまり経済産業省としては、データやデジタル技術を活用し、製品・サービス・ビジネスモデルを変革すること、それこそがDXだと定義しています。また、業務や組織、プロセスを変革し、競争上における優位性の確立についても提言しています。

なお、日本の企業によってDXの定義は多少異なるものの、日本でのDXは経済産業省が公表した本定義で話を進めることが多いです。

日本と海外におけるDXの違い

日本と海外におけるDXの違い
日本におけるDXの定義は理解できたでしょうか?次に、日本と海外におけるDXの違いを解説します。DXの考え方に対する理解がより深まるはずです。

日本と海外におけるDXの定義は異なる場合があります。しかし、それよりも重要視すべき違いはDXの進捗率です。

日本のDXは海外に比べて進捗が大幅に遅れています。また、ITリテラシーの差があることから、DXを推進する前の課題を抱えている企業が多い傾向にあります。さらに、デジタル化やシステムの導入をDXだと思っている企業も多く存在しているのが現状です。

そして、経済産業省が2018年に発表した「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」には、以下のように記載されています。

「既存システムが、事業部門ごとに構築されて、全社横断的なデータ活用ができなかったり、過剰なカスタマイズがなされているなどにより、複雑化・ブラックボックス化」

このように、日本企業の多くがDXに対して課題を抱えており、このまま解消できない場合はもっと大きなトラブルにつながりかねません。

一方、アメリカや中国の海外企業ではDX化が当たり前になりつつあります。さらに、DXに向けたテクノロジーの支出額も日本とは比べ物になりません。これらのことから、日本と海外におけるDXの差は顕著に表れています。

海外におけるDXの導入事例3つ

海外におけるDXの導入事例3つ
ここまで、日本と海外におけるDXの違いをお話しました。最後に、海外におけるDXの導入事例を3つ解説します。海外におけるDXの導入事例を知ることで、DX推進においての成功の秘訣がみえてくるはずです。

Le Monde

Le Monde(ル・モンド)はフランスの大手日刊紙です。紙面からオンラインへと移行したことで、購買者数の20%増加に成功しました。さらに、サブスクリプションサービスを展開し、そのコンバージョン率を46%も増加させました。

Le Mondeは2008年からモバイルアプリによるニュースサイトの配信を始めています。いままでの10年間で培ったノウハウを活用し、2018年にサイトのデザインを再構築しました。

再構築したことによりエンゲージメントが最も高いコンテンツを特定し、そのコンテンツをホームページに表示してサブスクリプションの申込みを促進しました。ほかにも、黄色いフラッグでサブスクリプションが必要なコンテンツをわかりやすくするなど、サイト上のデザインをいくつも改善していったのです。

その結果、サブスクリプションへのコンバージョン率が向上し、それに伴いデジタルサブスクリプション数を20%以上増加させました。このように、Le MondeはDXによって売上を大きく伸ばすことに成功したのです。

Coloplast

Coloplast(コロプラスト)は、本拠地がデンマークにある医療用装具や治療材料を開発・製造している会社です。主にストーマ用装具(人工肛門)の知見があることで有名です。

Coloplastはオストミー患者(人工肛門保有者)の負担を軽減させることが課題でした。そこで、自社製品と連動した健康管理アプリを開発し、通院頻度の低下などのメリットを生み出しました。

なお、ユーザーテストのデータを活用したことで高い評価を得ており、約8割もの治験者が「満足した」と解答しています。Coloplastはデジタル技術を既存サービスに取り入れたことにより、患者の生活の質を大幅に改善できたのです。

Walmart

Walmart(ウォールマート)は、アメリカに本部を置く世界最大級のスーパーマーケットチェーンです。2018年、WalmartはDXを実施するために合計117億ドル(約1兆1,170億円)もの巨額な資金をテクノロジーに投資しました。

また、DXを推進するにあたってはテックチームの増強にも注力し、2018年には1,700人ものDX人材を採用しています。さらに、新たにCTO兼CDOに元アマゾンの「Suresh Kumar」氏を任命するなど、DXに対して大きくコミットしました。

WalmartのDXは会社全体をプラットフォーム化することにあり、ビジネスのあらゆる側面で変革戦略を図ろうと考えました。

代表的な改変としては、スキャンロボットがあげられます。350店舗でスキャンロボットを活用し、棚の在籍を管理する、損失につながる不良在庫を避けるなど、需要予測の精度を向上させました。

そのほか、店舗管理者の指示に応じて自動的に価格調整を行える機能を実施し、リアルタイムで価格の調整を行えるようにするなど、いくつもの改変を実施しました。

このように、Walmartはあらゆる資源をテクノロジーの導入に注ぎ、非常に大規模なDX化に成功しました。

まとめ

本投稿では、海外と日本におけるDXの違いや定義、海外企業におけるDXの導入事例を解説しました。

日本と海外におけるDXの定義にはそこまで大きな差はありませんが、DXの進捗率は大幅に異なります。特にアメリカや中国と比べると進捗率の差は顕著に表れており、日本がDXに対して抱えている問題の大きさは明らかです。

これからDXを推進する経営陣の方はそれら課題を理解した上で、海外におけるDXの導入事例を参考にしてみてください。DX推進に関する成功のヒントを発見できるはずです。

なお、日本国内のDX導入事例を詳しく知りたい方は、「日本国内におけるDX導入事例を5つ紹介!多くの企業が抱える3つの課題点とは?」をご参考ください。日本と海外におけるDX事情がさらに明らかとなり、自社のDX推進に活用できるはずです。

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上村公彦
専門家

上村公彦(システムコンサルタント)

株式会社クラボード

新規事業のためのシステムコンサルティングおよびシステム・アプリ開発で豊富な実績。ベンチャー企業での事業開発経験で培われた「提案力」を発揮し、ニーズに対応。経営者目線でIT戦略を導きます。

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