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大学のDX活用事例や推進状況を詳しく解説!大学におけるDXの定義を知ろう

上村公彦

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テーマ:DX

大学におけるDX推進をご存知でしょうか?DXは本来、デジタル技術を用いたビジネスモデルの変革や医療分野の改革などを意味しますが、実は大学でもDX化が積極的に進められています。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、大学をDX化することによるさまざまな効率化が注目されているのです。

そこで本投稿では、大学におけるDXの定義や推進状況、DX活用事例を解説します。大学におけるDXを理解することにより、今後のDXのあり方が明確になるはずです。

大学におけるDXとは?

大学におけるDXとは?
まずは大学におけるDXの定義を明確にしましょう。

そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタル技術を用いて業務の効率化や価値の向上を実現し、大規模なビジネスモデルの変革を意味します。このDXは主にビジネス用語や医療分野で使われる傾向があります。しかし、近年では新型コロナウイルス感染症の影響もあり、大学でもDXによる変革が推進され始めているのです。

この大学におけるDXとは、すでに確立された学習活動の効率化や価値の向上を実現し、その学習活動の学習モデル自体を変革することです。大学にDXを取り入れることで、「学修者本位の教育の実現」と「学びの質の向上」に近づきます。

具体的には、オンラインと対面を組み合わせた教育展開、VRを用いた理工系の実験・学習、図書館におけるデジタル化の実現などが考えられます。いずれも学習においての効率化が期待されています。

大学におけるDXの推進状況

大学におけるDXの推進状況
大学におけるDXの定義が明確になったところで、現在のDX推進状況をみていきましょう。

2020年度の第3次補正予算では、「デジタルを活用した大学・高専教育高度化プラン」において60億円が計上されました。それに伴い、大学・短大・高専などでデジタル技術を積極的に取り入れ、「学修者本位の教育」と「学びの質の向上」のための環境を整備しています。

上記の計画は本来2021年に実施予定でしたが、年末になって補正予算に突如として組み込まれました。関心の高い大学から252件の申請があり、うち54件が採用に至っています。

なお、本募集は2つの枠で採用されています。取り組み例1つ目は「学修者本位の教育の実現」がテーマとしてあげられ、「学修管理システム(LMS)の導入による学生の習熟度把握」などが例示されます。結果、取り組み例1つ目では174件の申請があり、うち44件が採用されました。

取り組み例2つ目のテーマは「学びの質の向上」であり、申請数78件のうち10件が採用に至っています。なお、金沢工業大学と関西大学など9大学に関しては、取り組み例1と2の両方で採用されています。

このように、現状では多くの大学がDXに対して積極的であることから、今後のDX推進にも大きく期待が持たれています。

大学におけるDX推進の課題点

大学におけるDX推進の課題点
ここまで、大学におけるDX推進の基礎概要を解説しました。大まかにDXの現状は把握できたでしょうか?続いて、大学におけるDX推進の課題点を3つお話します。

オンライン授業で話すタイミングが掴みづらい

大学におけるDX推進の課題点1つ目は、オンライン授業で話すタイミングが掴みづらいことです。これは生徒目線の課題点であり、複数人で行うZoomなどのオンライン授業に対して起こる問題です。

オンライン授業では「途中で授業を止めてしまう」という観点から、誰かに話を持ちかけるタイミングが掴みづらいため、一部生徒から違和感を生んでいます。

授業前後の雑談がなくなる

大学におけるDX推進の課題点2つ目は、授業前後の雑談がなくなることです。この課題点は授業を受ける側とする側の両方にあてはまります。

オフラインでは当たり前のように行っていた友達との会話や授業後の質問。これらはオンライン授業では困難になりました。そこまで大きな課題ではないものの、当事者は多少なりともストレスを感じています。

時間割の設計が難しい

時間割の設計が難しいこともDX推進の課題としてあげられます。これは授業をする側の課題であり、一部の教員から時間割の悩みが発生しています。これは、オンライン授業とオフライン授業の両方を管理する必要があるためです。

なお、東京工業大学学長の「益一哉」氏は以下のように発言しています。

「学長として、当たり前の学生の学びや環境を提供できないことが最も辛いことであった。ただ、コロナ禍の中、本学の教員の意識の高さと優秀さに誇りを感じるとともに、感謝し尊敬の念を深めた。全ての大学においても同じであろう」

DXの推進によって効率化された部分は大きいものの、これら課題点に向き合っていく必要があります。

大学におけるDX活用事例2つ

大学におけるDX活用事例2つ
大学におけるDXの課題は大まかに理解できたでしょうか?続いて、大学で活用されているDX事例を2つみていきましょう。大学のDXをより明確にイメージできるはずです。

追手門学院大学

大学におけるDX活用事例1つ目は「追手門学院大学」です。取り組み例1つ目の「学修者本位の教育の実現」で採用された大学となります。

この追手門学院大学は、従来より打ち出してきたスタイル「行動して学び、学びながら行動する OIDAI WIL(Work-Is-Learning)」と、教育手法の「ICT 活用など、教育内容に最適な手法で効果を最大化する OIDAI MATCH(MAximized TeaCHing)」をDXによって高度化しています。

また、学修者本位の教育を推進する「OIDAI DX 推進計画」を策定しているほか、追手門学院大学はデジタル技術を用いていくつかの変革を起こしています。具体的には下記のような変革があげられます。

  • 超高速通信が可能な情報基盤の整備により、対面授業とオンライン授業を柔軟に選択可能にする
  • 学修支援システムを統合してビックデータ化することで、生徒1人ひとりに合った最適な学習を支援する「AI ティーチング・アシスタント・システム」を構築する
  • デジタル環境基盤を活用したオンライン学習システムを使用すれば、国内に滞在しながら海外留学に準じるプログラムを受講できる仕組みを形成する

追手門学院大学はDXの推進により、大学における学習方法を根本から覆し、非常に画期的な機関へと変革させました。

共愛学園前橋国際大学

大学におけるDX活用事例2つ目として、「共愛学園前橋国際大学」があげられます。この大学も取り組み例1つ目の「学修者本位の教育の実現」で採用された大学であり、さまざまな変革を引き起こしています。

具体的には、学生が学習ポートフォリオに蓄積した学習成果のデータをAIで分析し、独自の学習成果指標「共愛12の力」を達成するための仕組み構築を目指しています。また、DXを用いて個別最適化による教育の高度化を図りました。

なお、共愛学園前橋国際大学の学長である「大森 昭生」氏は、本大学におけるDXを下記のように表現しています。

「地方小規模大学には、地域での実践的学修やリアルなアクティブラーニングといった強みがある一方、リソースが乏しく幅広いニーズに対応できないという弱みもある。リアルの強みに加え、デジタルの活用によって弱みを補完することで、地方小規模大学で学ぶ価値が高まる」

共愛学園前橋国際大学はDXの活用によって複数の分野を変革しただけでなく、本大学における弱みを改善する計画さえも立案しています。

DXを活用している大学を20例紹介

DXを活用している大学を20例紹介
ここまで、大学などで活用されるDX事例を紹介しました。最後に、DXを活用している大学を20例ほど紹介していきます。取組内容をセットに解説していきます。

【デジタルを活用した大学・高専教育高度化プラン採択機関のうち20例】

通し番号大学等名取組名称
1北海道大学教育データを根拠にした学修者本位の教育の実現に向けたLMS機能拡張事業
2北海道教育大学次世代型LMSとCBTの高度化(TestからTrainingへ)による主体的学びの創造~学修成果の可視化による学生の教員志望の向上~
3宇都宮大学ブレンディッド・ラーニングの推進と多面的評価による自律的学修者の育成~LMSと連携したe-ポートフォリオの活用を通じて~
4東京大学「東京大学キャンパス・マネジメント・システム(UTokyo CMS)」の構築
5東京学芸大学eポートフォリオ構築によるデジタル技術を活用した教育実習DX
6山梨大学学びのソムリエAI~教育データの集積と有効活用による学生個々の学び支援~
7東海国立大学機構デジタル教育コンテンツの統合利用とデータ解析に基づくデジタルユニバーシティ教育の実現
8滋賀医科大学自律的に学ぶ姿勢を育む個別化教育の推進ー医療人を目指す者の学び方改革
9神戸大学LMSの高度化と学修データ統合システムによる学修者本位の教育の実現
10奈良先端科学技術大学院大学大学院教育高度化を牽引する教育研究統合DX推進事業
11鳥取大学総合的学生支援(Quality of College Life)の充実を達成するLMS-eポートフォリオビルディングシステムの構築
12岡山大学DXによる個別最適化と教育効果の可視化
13広島大学次世代オンライン教育を実現する「バーチャルクラスルームデジタルラーニング(VCDL)」環境の構築
14山口大学ジブンの学びをデザインできるAI支援型LMSの実現
15九州大学九州大学「教育DX」推進事業 ~LA活用による学習者本位の教育の実現~
16九州工業大学学修活動分析を利用した教育高度化のためのデジタル活用仮想基盤整備
17熊本大学LA、AIによる学生に寄り添ったフィードバックが可能な総合的オンライン学修環境の高度化
18横浜市立大学テーラーメード型学修支援プラットフォーム(Taylor-made Learning Assistance Platform; TMLAP)の構築
19名古屋市立大学NCU LX・DX(学生の学修意欲に寄り添うDATA driven LXシステム構築計画)
20京都府立大学学びの多様化・多次元化で主体性・創造性を育む「いつでも・どこでも・誰でも学習」-小規模地方公立大学のDX推進モデル-

まとめ

本投稿では、大学におけるDXの定義や推進状況、DX活用事例を解説しました。

大学におけるDXは本来のDXとは少し異なります。大学のDXとは、すでに確立された学習活動の効率化や価値の向上を実現し、その学習活動における学習モデル自体の変革のことを意味します。この大学におけるDXは2020年度の第3次補正予算で計上された60億円により拡大し、全部で54件の大学がDX化を前向きに進めています。

大学のDX化が進むことで、以前のような授業プログラムとは異なる方法が常に模索されており、それに伴い学習面における効率化が実現しています。本投稿で解説した大学のDXを深く理解し、未来のDXを予測していきましょう。

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上村公彦
専門家

上村公彦(システムコンサルタント)

株式会社クラボード

新規事業のためのシステムコンサルティングおよびシステム・アプリ開発で豊富な実績。ベンチャー企業での事業開発経験で培われた「提案力」を発揮し、ニーズに対応。経営者目線でIT戦略を導きます。

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