【システム開発】重要!プロトタイピングの注意点【発注者視点】
DXなんていらないですよ。本当にそれ、必要ですか?
今回は、「システムコンサルタントだからあえて言う DXなんていらない!」というテーマで投稿します。
- DXについて知りたい
- DXを進めるか迷っている
そんな方に向けて解説いたします。
システムコンサルタントの立場から「DXはいらない」というのは自分の仕事をなくしそうな大胆な話のようですが、最後まで見ていただくと理由がわかりますので、ぜひ最後までご覧ください。
※このコラムの内容は動画で公開しています。Youtube版はこちらをご覧ください。
そもそもDXとは?
まず、DXとは何かについて簡単におさらいしましょう。DX、つまりデジタルトランスフォーメーションとは、デジタル技術を駆使してビジネスモデルを根本から変革し、競争力を高めることをいいます。
単にアナログ作業をデジタルに置き換えるだけではなく、製品やサービス・ビジネスモデルそのものを変革するとともに、組織・企業文化・風土をも改革して、競争上の優位性を確立することだと言われています。
DXの有名な成功事例を3つ紹介します。
1.Netflix
従来、我々はビデオやDVDをレンタルし自宅で楽しんでいました。日本ではTSUTAYAが有名でしたね。これまではビデオは購入するか、あるいはレンタルビデオの店舗へ足を運び、借りてきて、観た後は返しに行くというのが通常のスタイルでした。
しかし、これだと天気が悪くても返しに行かなければならないですし、逆に借りに行ったとしてもレンタル中になっていたりと、いつでも思い通りに観られるわけではありませんでした。
当初Netflixはインターネットを利用したDVDの郵送レンタルサービスという形態でしたが、月額定額制のレンタルサービス、そしてインターネットを通じたストリーミングサービスへと移り変わっていきました。そして、Netflixは膨大なユーザーデータを収集し、視聴履歴や嗜好を分析することで、パーソナライズドな視聴体験を提供しています。これにより、ユーザーに最適なコンテンツを推薦し、視聴時間を最大化させています。
いま現在ご利用されている方は普通に感じていると思いますが、Netflixはモバイルデバイスでの視聴体験を向上させるために、オフライン再生機能やデータ節約モードを導入しました。これにより、ユーザーはインターネット接続が不安定な場所でも快適に動画コンテンツを楽しむことができるようにしました。
2.Uber
日本ではまだ圧倒的な成功とはいえないものの、Uberも代表的な例として挙げてよいでしょう。Uberはスマホのアプリを通じて、利用者とドライバーを直接結びつけるライドシェアリングというサービスをはじめました。このドライバーというのはタクシー業者ではなく、個人です。この発想が、従来のタクシー業界に革命をもたらしました。
利用者はどこからでもアプリで車を呼び出すことができ、決済も予め登録したカードで行うことができるので、現金も不要です。さらに、アプリの地図上で近くにUberのドライバーがどれくらいいるのかといったことも分かりますので、どれくらい待たないといけないのだろうという不安からも解消されています。
言うまでもなく、日本においてはその昔はタクシー乗り場へ自ら出向くか、タクシー会社へ電話をして呼び出して乗り、降りるときに運転手さんへ支払っていました。それから考えると、非常に革命的なサービスです。
ご存知の方も多いでしょうが、日本でもタクシーを呼べる「GO」というアプリは、ドライバーは個人ではなくタクシー会社であるという点を除けば、同様のサービスを提供しています。
3.Airbnb
Airbnbは、個人が自宅の部屋や家ごと旅行者に貸し出すことができるという、借りたい人と貸したい人をつなぐサービスを提供しています。
貸す側は、子どもが成長し空き部屋ができたので有効活用したいといったニーズ。借りる側は宿泊料金を安くしたい、あるいは地元の住宅地に滞在することでその土地の文化や、日常生活に触れたいという思いがある。互いのニーズをマッチングさせました。
「知らない土地、知らない国で、他人の個人宅へ泊まる」ということは、これまで想像しにくいことでしたが、Airbnbはそのようなニーズがあると踏んでサービスを開始し、宿泊はホテルという常識を変革させました。
DXには段階がある
さて、このDXですが企業の現在の状態によっては段階があると言われています。それが、デジタイゼーションとデジタライゼーションです。総務省の定義から見てみましょう。
Digitization(デジタイゼーション)
既存の紙のプロセスを自動化するなど、物質的な情報をデジタル形式に変換すること。
例えば、紙の書類をスキャンしてデジタルファイルに変換することがこれに当たります。この段階では、データの電子化を通じて業務効率を向上させることが主な目的です。デジタル化することで、データの保存や検索が容易になり、情報の共有も迅速かつ効率的になります。
具体例をあげると、見積書や請求書をPDF化することでメールでの送付が可能になり、FAXや郵送の必要がなくなります。合わせて原紙を綴じておくファイルがなくなり、それらを保管する書庫も不要となり、スペースや保管コストを大きく削減できます。
Digitalization(デジタライゼーション)
組織のビジネスモデル全体を一新し、クライアントやパートナーに対してサービスを提供するより良い方法を構築すること。
例えば小売業では、POSシステムを導入して販売データをリアルタイムで収集し、在庫管理や販売戦略の最適化を図ることができます。
具体例を挙げると、物流業界でトラッキングシステムを導入し、配送車両や荷物の位置情報をリアルタイムで追跡できるようにすることで、顧客はいちいち電話などで問い合わせることなく、オンラインで荷物の配送状況を確認できるようになっています。
このようにDXには段階があり、自社の状況がどの段階にあるかによって、必要な取り組み方が変わってきます。すべての企業が一足飛びに完全なデジタルトランスフォーメーションを達成できるわけではありません。段階的に進めることで、効果的かつ持続可能な変革を実現することが重要です。
流行りのDXに乗じてサービスを売り込むベンダー
経理のDX、人事のDX、営業DXのように、企業の各部門の業務効率改善を実現するシステム・クラウドサービスがDXと称して売り込まれています。一見すると、これらのサービスを導入することで企業のDXが実現するかのように思われますが、デジタイゼーション・デジタライゼーションの域を超えないものと言えます。
さらには、ある小売企業がクラウドベースの在庫管理システムを導入したものの、従業員のトレーニングや業務フローの見直しが不十分で、結局は在庫管理の精度が向上しなかったというケースすらあります。このように、クラウドサービスを導入しただけでは、DXどころか業務改善すら達成できないこともあります。
それはDXじゃないと否定する無責任なコンサルタント
もし、あなたのDXコンサルタントが「御社の計画はDXではない。DXを実現するためには、・・・」と言い始めたなら、それは疑問を持ってもいいでしょう。そもそも論として、DXは手段であり目的ではありません。コンサルタントが無責任にDXを推奨することで、企業が本来のビジネス目標を見失ってしまうことがあります。
このように、DXに乗じたバズワード商法をするベンダーや、企業の必要性を無視しDXを目的化して売り込みたいコンサルタント、そして世の中に溢れる様々なDXの情報。それに洗脳されてしまい、「わが社もDX。DXを推進しろ」と担当者に丸投げする経営者、DX責任者の方が、もしいるならば
「DXなんていらないですよ。本当にそれ、必要ですか?」
と申し上げたい。その理由をこれから説明します。
あらゆる企業がビジネスモデルを変革する必要性があるのだろうか?
DXがデジタル技術を駆使してビジネスモデルを根本から変革し、競争力を高めることならば、それは全ての企業に必ず必要になるのでしょうか?
DXは全ての企業にとって必要なわけではありません。特に手作業の職人やリアルな体験を提供する企業にとっては、デジタル化が適さない、あるいはそもそもできない場合もあるでしょう。
伝統工芸の職人技術や、五感を使ったリアルな体験はデジタル技術で代替することは困難です。こうした企業はDXに取り組むのではなく、予約をネットで受け付けるなど、デジタル技術を活用して補完する程度で十分でしょう。
いずれ職人の細やかな技術さえ、AIとロボットで代替できる日が来る可能性も否定しませんが、まだ職人の作業そのものを自動化することはできません。また、リアルな店舗での対面販売や体験は、デジタル技術で代替できない価値を提供します。
自社なりのDXで構わない
前項にて「DXなんていらないですよ。本当にそれ、必要ですか?と申し上げたい」と述べましたが、この言葉の本質はDXを目的化するのは誤りだということ。そして、DXという言葉に惑わされることなく、自社に必要な範囲でのデジタル化をするという発想からはじめるべきということです。
調べて頂くと分かりますが、DXの定義は様々です。誰に押し付けられるものでもありません。その実体を理解し、自社に取り入れるということが重要です。DXの重要性が叫ばれているその背景には、2025年の崖など、デジタル技術は経営環境に影響を及ぼす可能性があるということがあります。
考えてみてください。少子高齢化、円安、国際紛争の激化、これらはどれも経営に影響を及ぼす可能性がある環境変化です。では全ての企業が、今すぐこれらの経営環境変化へ対策を打っていなかければならないのか?そして、その重要性は全ての企業に同じだけのリスクとなるのか?違いますよね?
企業ごとに、関係が深い経営環境は異なるはず。DXの必要性もまた1つの経営環境と考えればよく、全ての企業が同じ重要度で対応する必要はありません。
ただ、もし、全ての企業がDXは不要とされたら当社は困りますが、、、
いずれにせよ、自社に適したDXを進めることが最も重要です。他社の成功事例をそのまま模倣するのではなく、自社のビジョンや目標に合わせたDXを進めることが成功への鍵となります。
まとめ
今回は「システムコンサルタントだからあえて言う DXなんていらない!」というテーマで投稿しました。
DXの本質を理解し、流行りに惑わされることなく、自社にとって本当に必要なデジタル化を進めることが重要です。全ての企業が一律にDXを目指すべきではなく、自社の現在の状況を知り、自社のビジョンや目標に合わせた取り組みを進めることが成功への鍵です。
手始めに経理・人事・営業などの部門ごとに適切なデジタル技術を導入し、業務プロセスの効率化や顧客体験の向上を目指しましょう。そして、DXはあくまで手段であり、目的ではないことを常に念頭に置き、真のビジネス目標を見失わないようにしましょう。
みなさんの自社なりのDXが成功されることを祈ってます。