既存企業にDXを導入する手順!5つのステップでわかりやすく解説
最新のデジタル技術やITシステムが普及している現代では、消費者の行動原理が少しずつ変化しています。その変化に対応して企業を拡大し続けるには、必ずといっていいほど企業DXが必要です。それほどまでにDXは重要な概念になりつつあります。とはいえ、中小企業におけるDXの進め方に悩んでいる方も多いはずです。
そこで本投稿では、中小企業がDXを推進するメリットやDX推進事例、成功するためのポイントを解説します。中小企業のDX推進を検討している方や不安を抱えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
中小企業におけるDXとは?
まずは中小企業におけるDXの意味を明確にしておきましょう。中小企業におけるDXとは、デジタル技術やITシステムを駆使して、少しずつ企業構造を変革させることを指します。大企業の戦略とは異なる点がいくつかあります。
これまでの中小企業は、アナログの産業構造でもなんとか生き延びてきました。しかし、現代では消費者の行動変化に伴い、企業戦略や価値提供のやり方を変革させていく必要があります。顧客に向けた商品・サービスを変革させていかなければ、市場競争に生き残れないのです。
企業DXを推進させるとはいえ、中小企業の資金力や組織力は大企業に比べて不足している傾向があります。そのため、DXに対してリソースを十分に割くことができないのです。大企業と同じやり方では中途半端に終わるリスクがあります。
そこで中小企業におけるDX推進の戦略としては、少しずつ産業構造を変化させていく方法が考えられます。例えば、基幹系システムの見直し、新しいシステムの導入、社内環境の見直しなど、推進できるところから始めていきましょう。過酷な市場競争で生き残るためにも、中小企業だからこそのDXが求められているのです。
中小企業がDXを推進する3つのメリット
中小企業におけるDXは大まかに理解できたでしょうか?続いて、中小企業がDXを推進するメリットについて解説します。メリットは大きく分けて以下の3つが考えられます。
業務の生産性向上により、効率的な事業展開ができる
中小企業がDXを推進するメリット1つ目は、業務の生産性向上により、効率的な事業展開ができることです。最新のデジタル技術を社内に導入すれば、あらゆる分野で業務の自動化が図れます。例えば、特定の事務作業や電話対応、顧客とのやり取りなどがあげられます。
多くの従業員を割いていた手動業務を自動化することで、それに伴い社内全体の生産性が向上します。また、業務の生産性が向上することにより、いままで手動業務に割いていた労力を事業展開に注力可能となります。そのほか、生産性向上によって余剰した資金や時間などは、優秀な人材の採用コストや新たなデジタル技術の導入に用いることができるでしょう。
これらのことから、中小企業にDXを推進すれば業務の生産性向上につながり、さらなる事業展開に期待が持てます。
さまざまなトラブルを予測して備えられる
中小企業におけるDX推進のメリット2つ目は、さまざまなトラブルを予測して備えられることです。従来のアナログな業務体制では、ミスやトラブルが発生してから対処するスタイルが一般的でした。しかし、DXを推進することでAIやIoT、クラウドといったデジタル技術を用いてトラブルを予測することができます。
それに伴い、業務上のさまざまなトラブルの対応策を事前に立案できるため、ミスやトラブルに対するリスクが軽減されます。また、製造業では従業員が気づくことのできないエラーにも対応できるようになり、仮にトラブルが起こった場合でも落ち着いた対処が可能です。
そのため中小企業にDXを推進すれば、業務上のミスやトラブルによる大規模な損害を防ぐことにつながります。
新しい働き方を実現して企業規模を拡大できる
3つ目に考えられるDXを推進するメリットは、新しい働き方を実現して企業規模を拡大できることです。ITシステムを活用した業務比率が高まれば、オンラインで完結できる作業が増加します。したがって従業員や経営陣は会社に出社する必要がなくなり、テレワークなどの在宅勤務が可能となります。
上記のような自由な働き方が実現することで、従業員の働きやすさや充実感が高まり、社内全体のモチベーション向上に期待できます。それら相乗効果によって、DX推進は企業規模の拡大へとつながるでしょう。
中小企業のDX推進事例3つ
ここまで、中小企業がDXを推進するメリットについて解説しました。次に中小企業のDX推進事例を3つ紹介します。ほか企業のDX推進事例を参考にすることで、中小企業におけるDXのイメージが明確になるはずです。
株式会社日東電機製作所
まず1つ目に紹介する中小企業のDX推進事例は、「株式会社日東電機製作所」のDXです。新しい仕組みを常に追い求めている株式会社日東電機製作所では、設計部門におけるRPA(Robotic Process Automation)による業務の自動化に成功しました。RPAとは、従業員に代わってデジタルロボットが一部業務を代行するシステムのことです。
事務作業や単純作業の自動化をイメージするのが一般的ですが、株式会社日東電機製作所は設計部門のDX化を図っています。従来より行っていた紙を用いるコミュニケーションや、ハンコを押す作業などのデジタル化を実施しました。それら業務を自動化したことで、1ヶ月あたりの作業時間において約20時間の削減に成功しています。さらに削減できた時間を有効活用し、ほか業務の生産性向上を図っています。
のぼり屋工房株式会社
2つ目に紹介するDX推進事例は、「のぼり屋工房株式会社」によるものです。のぼり屋工房株式会社はのぼり旗やのれんなどを製造している企業であり、業務の自動化による生産性向上を成し遂げました。
のぼり屋工房株式会社はICT分野による業務の自動化を考慮していたこともあり、「WinActor」というRPAツールを導入しました。RPAツールとは、コンピューターやAIなどのデジタル技術を活用してあらゆる自動化を図るツールのことです。このRPAツールを導入したことで見積もりシステムのデータの自動化を図り、従業員の作業時間を大幅に短縮できました。
久野金属工業株式会社
続いて3つ目に紹介するDX推進事例は、金属加工メーカーの「久野金属工業株式会社」です。久野金属工業株式会社では従来から取り扱うCAD/CAMによる設計に加え、自動化できる作業を徹底的に自動化する方針を打ち出しました。ITシステムを使わなければ困る状況を自ら作りだした結果、工場の自動化やIT化の強化に成功しています。
具体的な実施内容としては、生産設備や製造マシンの稼働状況を自動取得し、あらゆる端末からモニタリングできる「LoT GO」を開発しています。「LoT GO」の導入によりプレス機の稼働状況が明らかになったことで、情報共有を行いプレス機の稼働率を高めました。さらに基盤システムを構築したことにより、テレワークなどの導入にも成功しています。
なお、「LoT GO」は自社で使用するだけでなく、製造業向けに外部提供しています。業界全体の連携を図っていることから、さらなる事業展開に期待が持てます。
中小企業のDX推進を成功させるためのポイント3つ
中小企業のDX推進事例がわかったことで、それら事例を活かした成功ポイントを3つ解説します。「中小企業のDX推進を失敗させたくない」という方はぜひご参照ください。
目標を明確化する
中小企業のDX推進を成功させるポイント1つ目は、目標を明確化することです。まずは「1年後までにDXを7割まで進める」「事業利益を倍増させるための変革を起こす」など、より具体的な目標を定めましょう。この際、経営陣だけで目標を明確化するだけでなく、社内全体にビジョンを共有すればさらに効果的です。
社内全体にビジョンを共有できれば組織としての目標が明確となり、従業員のやる気が高まると同時に団結力が生まれるはずです。中小企業のDXをスムーズに進めるためにも、まずは企業としての目標を明確にしましょう。
小さく始めていく
中小企業のDX推進を成功させるためには、小さく始めていくことがキーポイントとなります。中小企業は余剰金が少ない傾向にあるため、大規模なプロジェクトを進めることは困難です。また、DXを推進するにあたってコストをかけ過ぎてしまい、既存業務に支障をきたしては元も子もありません。
上記のことから、中小企業のDX推進はコストを抑えて小さく始めていきましょう。例えば、日常業務の簡略化やビジネスチャットの導入、タイムカードのデジタル化などが考えられます。このように身の回りのことから始めていけば、問題なくDXを浸透させていけるはずです。
社内一丸となって取り組む
企業DXを成功に導くポイント3つ目として、社内一丸となって取り組むことがあげられます。なぜ社内一丸となる必要があるのでしょうか?それは、DX推進という大きなプロジェクトにおいては、経営陣のコミットメントだけでは達成できないためです。
DX推進は企業の根幹となる社内システムや組織形態の変化が伴います。それら変化に広く関わるのは経営陣ではなく従業員であるため、社内従業員の協力が必要不可欠なのです。このように社内全体が同じ方向に進むことで、中小企業のDXは初めて達成できます。
社内一丸となって取り組むためにも、組織づくりの見直しや環境整備が重要です。目先の変革に囚われず、企業を柔軟に導いていきましょう。
まとめ
本投稿では、中小企業がDXを推進するメリットやDX推進事例、成功するためのポイントを解説しました。
中小企業におけるDXとはデジタル技術やITシステムを駆使して、少しずつ産業構造を変革させることであり、大企業のDX推進とは少し異なります。DXを推進するにあたってコストをかけ過ぎてしまい、既存業務に支障をきたしては元も子もありません。そのため、基幹系システムの見直し、新しいシステムの導入など、手の届く範囲からDXを推進していきましょう。
ぜひ本投稿で紹介したDX推進事例を参考にし、自社にとってのDX推進を考えてみてください。なお、ノウハウや人材の不足が原因でDXを推進できない場合は「DX推進コンサル」を利用するのも1つの手です。