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企業のDX推進が失敗に終わってしまう3つの原因とは?失敗事例や解決策もあわせて解説

上村公彦

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テーマ:DX

「企業DXを推進させたいけど失敗するのが怖い」
「DXの推進はどのような原因で失敗しているのか知りたい」

本投稿ではそういった疑問や悩みに向けて解説していきます。企業のDX推進はあらゆる方面から推奨されているものの、国内におけるDX推進の成功率は高くありません。世界的にみても国内のDXは失敗が多いため、立ちはだかる課題点を深く理解する必要があります。

そこで今回は、DX推進が失敗してしまう原因、過去の失敗事例や解決策について解説します。DX推進のプロジェクトを失敗させないためにも、ぜひ最後までご覧ください。

国内における現状のDX推進は失敗が多い

国内における現状のDX推進は失敗が多い
企業のDX推進はあらゆる方面から推奨されています。しかし、国内における現状のDX推進は失敗が多いです。DXを実現している日本企業はまだまだ多くありません。

事実、2020年10月28日に公表された「ボストン コンサルティング グループ(BCG)」による「デジタルトランスフォーメーションに関するグローバル調査」では、日本でDX推進に成功した企業は全体の14%だと明らかになりました。

諸外国におけるDX推進の成功率は約30%であるため、世界的にみても国内におけるDXの推進状況は深刻だとわかります。なお、DX推進が成功している定義については下記の2点が考慮されています。

  • DXの目標達成度合いの回答スコアが高い
  • プロジェクトが70%以上完了


経済産業省からも日本企業のDXが推されているものの、これら2点の条件を満たしている企業が少ないことから、現状のDX推進は失敗が多いといえるでしょう。今後のDX推進が失敗に終わらないように、いまから原因と解決策を考えていく必要があります。

DX推進が失敗してしまう3つの原因

DX推進が失敗してしまう3つの原因
国内における現状のDX推進状況は理解できたかと思います。続いて、DX推進が失敗してしまう原因を3つみていきましょう。企業DXの失敗を引き起こさないためにも、まずは原因を明らかにします。これから企業DXにかかわる方は必ず確認しておきましょう。

DXに対する理解不足

DX推進が失敗してしまう原因1つ目は、DXに対する理解不足です。そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を用いて起こす大規模な変革のことを意味します。しかし、多くの企業がこのDXを「ITシステムを導入すること」という意味に捉えている傾向があります。

また、企業DXは非常に複雑かつ大規模なプロジェクトであり、推進するにあたってはかなりの労力を伴います。それだけでなく、プロジェクトを進める際にはAIやIoTなどの専門知識が必要です。それらDXにおける事実を理解していないままDX化を進めてしまうと、システムのブラックボックス化やトラブルにつながるリスクがあります。

DXという複雑なプロジェクトを進めていくためにも、まずはDXに対する理解を深める必要があるのです。「DXが推奨されているからなんとなく進めよう」という気持ちでは失敗に終わってしまいます。

企業のビジョンが不明確

DX推進が失敗に終わる原因2つ目は、企業のビジョンが不明確である点です。DXを推進する際には、DXに対する理解力と同じくらいビジョンを明確にする必要があります。

企業のビジョンが不明確なままDXを進めてしまうと、組織内で認識の相違が高確率で起こります。つまり、ビジョンがなければ従業員・経営陣がそれぞれの解釈でDXを進めてしまうのです。そんな状態ではプロジェクトをうまく進めることができず、組織の内部分裂や不満の蓄積、生産性の低下などを招く恐れがあります。

さらに、企業のビジョンが明確になっていなければ、社内メンバーが一丸となって取り組むこともできません。DX推進は社内の根幹部分に大きく影響を与えるプロジェクトであるため、社内一丸となって進めていく必要があるのです。

マネジメントスキルの欠損

マネジメントスキルの欠損もDX推進が失敗に終わる原因だと考えられます。DX推進に限らず、大規模なプロジェクトを進める上では人材のマネジメントが必要不可欠です。必然的に大多数の人材と協力して進めていくためです。

しかし、その大多数の人材を取りまとめるマネジメントスキルが欠損していると、目的や能力、モチベーションが乱れてしまいプロジェクトがうまく進行しません。

企業DXを推進するほどのプロジェクトであれば、より高度なマネジメントスキルが求められるでしょう。しかし、高度なマネジメントスキルを持ち合わせた人材はそう多くはないのです。それらのことから、マネジメントスキルの欠損がDX推進の失敗原因だと考えられます。

DX推進が失敗に終わった事例2つ

DX推進が失敗に終わった事例2つ
ここまで、DX推進が失敗してしまう原因を解説しました。続いて、DX推進が失敗に終わった事例を2つみていきましょう。もしかしたら、DX推進が失敗に終わる法則的な何かがわかるかもしれません。

General Electric(GE)社

DX推進が失敗に終わった事例1つ目は、アメリカの「General Electric(GE)社」です。このGE社は2011年に、世界をリードするデジタル企業に変革する目的で「インダストリアル・インターネット」戦略のもと、産業向けIoTプラットフォーム「Predix」を構築するために多額の投資を行いました。

さらに、2015年にはデジタル戦略をリードする事業部として「GE Digital」を新設します。この新規部門に向けて、1,500名以上の人材を新規採用しました。

しかし、「GE Digital」は想定していた成果を上げられなかったため、業績向上を見越した短期目標の達成に変更しなければならない状況へと陥ったのです。そして、2017年には同社CEOの「Jeff Immelt」氏は退任となりました。本プロジェクトの失敗要因としては、企業DXの推進を質より量で実施したことだと考えられます。

Procter & Gamble(P&G)社

DX推進が失敗に終わった事例2つ目として、アメリカの「Procter & Gamble(P&G)社」をご紹介します。2011年にP&G社の「Robert McDonald」氏は、「地球上で最もデジタルな企業」になるためのDXイニシアチブを提唱しました。

このイニシアチブは、P&G社のあらゆる事業部門にデジタル技術を大々的に導入することにより、消費者向けの商品やサービスを改善するという漠然としたものでした。

しかし、P&G社は当時の競合企業に大きく差をつけており、業界におけるリーダー的ポジションを一時的に築きます。P&G社のDX推進は成功したかと思われましたが、具体的な目標を示すことなくプロジェクトを進行し続けたため、さらなる莫大な投資を重ね、結果として得られた効果はほんの僅かしかありませんでした。

上記のことから、「Robert McDonald」氏は業績不振の責任を追求され、2013年に辞任となりました。なお、本プロジェクトが失敗に終わった原因は、具体的な目標を示すことなく莫大な投資を実施したためだとされています。

DX推進を失敗に終わらせない3つの解決策

DX推進を失敗に終わらせない3つの解決策
DX推進が失敗に終わった事例はいかがでしたでしょうか?DX推進の失敗原因がいくつか明らかになったはずです。その上で、DX推進を失敗に終わらせない解決策を3つ解説します。DX推進を成功させるための方法が明確になるでしょう。

DXに対する知識を身につける

DX推進を失敗に終わらせない解決策1つ目は、DXに対する知識を身につけることです。先ほどお話したとおり、DXに対する知識がないままプロジェクトを進めてしまうと、システムのブラックボックス化やトラブルを起こすリスクが高まります。そのような問題を起こさないためにも、DXに対する知識を深めましょう。

知識を身につける方法としては、書籍を読む、インターネットで勉強する、セミナーを受ける、DX推進コンサルを受けるなどがあげられます。ただし、経営陣だけが理解するのではなく、あくまで社内全体の理解度を向上させる働きを実施しましょう。

ビジョンとマインドセットを構築する

DX推進を成功させるためにも、ビジョンとマインドセットの構築が必要です。企業としてのビジョンを大々的に掲げることにより、社内一丸となってプロジェクトに取り組めます。そうすることで従業員と経営陣の間に意識の相違が生まれにくく、社内システムの変革をスムーズに行えるはずです。

また、経営陣は「失敗を恐れないマインドセット」を持って取り組むことも大切です。DX推進は複雑なプロジェクトであることから、実行する過程で幾度となく小さな失敗を経験します。それら小さな失敗をする度に経営陣が落ち込んでいると、プロジェクトの進行が滞ってしまいます。そうならないためにも、「失敗を恐れない」「挑戦を続ける」というマインドセットが必要です。

高度なマネジメントを実現する

DX推進を失敗に終わらせない3つ目の解決策として、高度なマネジメントの実現があげられます。大多数の人材がかかわるDX推進では、メンバーを取りまとめる高度なマネジメントが必要不可欠です。その高度なマネジメントを実現するためには、下記5つの要素がキーポイントとなります。

  • 従業員からの信頼
  • 従業員に対する強い意識
  • 大規模プロジェクトの経験
  • ビジネススキルの構築
  • コミュニケーション能力

これらの要素を満たすことで、高度なマネジメントの実現に一歩近づけるはずです。そのためにも、従業員との接し方や企業の方向性について常日頃から考えましょう。

まとめ

本投稿では、DX推進が失敗してしまう原因、過去の失敗事例や解決策について解説しました。

国内における現状のDX推進は失敗が続いており、DXを実現している日本企業はまだまだ多くありません。世界的にみても国内におけるDXの推進状況は深刻であり、いくつかの課題を認識する必要があります。そういったDX推進における課題を解決するためにも、本投稿では原因と解決策を解説しました。また、DX推進の失敗事例を参考にすることで、成功するためのヒントが得られるはずです。

企業のDX推進は非常に複雑かつ大規模なプロジェクトであるため、あらゆる知識やスキル、マインドセットが求められます。ぜひ本投稿の内容を参考にし、それら要素を満たすための行動を心がけましょう。

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上村公彦
専門家

上村公彦(システムコンサルタント)

株式会社クラボード

新規事業のためのシステムコンサルティングおよびシステム・アプリ開発で豊富な実績。ベンチャー企業での事業開発経験で培われた「提案力」を発揮し、ニーズに対応。経営者目線でIT戦略を導きます。

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