日本・海外におけるDX成功事例を8つ紹介!失敗しないためのノウハウも公開
経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」によると、既存システムの複雑化やブラックボックス化の影響から、2025年以降に最大12兆円(年)の経済損失が生じる可能性があるとされています。そのことが問題となり、いまでは各方面から日本企業のDX化が推奨されています。
しかし、そこで課題となるのがDXの導入コストです。その膨大な導入コストが懸念点であることから、企業DXを推進できないという経営陣の方もいるはずです。
そこで今回は、DXにおける補助金と助成金の違い、DX推進に活かせる補助金3つを解説します。最後までご覧になることで、補助金を活用したDX推進の手順が明確になるはずです。
DX推進における補助金と助成金の違い
DX推進に活用できる支援制度は「補助金」と「助成金」の2つがあります。とはいえ、両者の違いはほとんどありません。国や地方公共団体、民間団体から支出される制度であり、補助金・助成金どちらも原則として返済不要です。
両者にほとんど違いがないといっても、支給時の要件や活用するまでの流れが若干異なります。安心して活用するためにも、しっかり確認しておきましょう。
補助金とは
補助金とは、新規事業の立ち上げや創業促進などで資金が必要なときに、主に国が支援してくれる支援制度のことです。補助金の特徴として、あらかじめ予算が定められているため援助する枠に制限がある、という特徴があげられます。公募方法によっては抽選や申請順で支出先が決まってしまい、条件に合致していてももらえない可能性があります。
なお、助成金よりも種類が豊富であり、補助金の選択肢が多いという利点があります。また、助成金に比べて支給額が大きい傾向にあります。経費の適用範囲が広いこともメリットの1つです。助成金と比較した場合のデメリットは下記の点があげられます。
- 公募期間が短い
- 予算が決まっている
- 支給されるまで時間がかかる
助成金とは
助成金は受け取るための要件が決まっており、その要件を満たすことによってほとんどの確率で支給されます。主に厚生労働省が雇用増加や人材育成のために実施している支援制度です。なお、助成金の特徴については下記をご参照ください。
- 原則として通年利用できる
- 難易度が低い傾向にある
- 発表してから早くに受付終了となる場合がある
DX推進を補助金で行う2つのメリット
補助金と助成金の基礎概要は理解できたでしょうか?続いて、DX推進を補助金で行うメリットを2つみていきましょう。補助金を利用すべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
自己負担額を減らせる
DX推進を補助金で行うメリット1つ目は、自己負担額を減らせることです。補助金を利用すれば国や地方公共団体、民間団体から、企業のDX化を実現するための資金を一部受け取れます。補助金の資金を活用することにより、DX化に向けた初期投資額をさらに増やすことができます。
なお、受け取った補助金は原則として返済不要です。そのため、もし企業のDX化が失敗に終わってしまったとしても、補助金を返済する必要はありません。
企業の信頼性を高める
補助金を活用するメリットとして、企業の信頼性を高められることがあげられます。なぜ補助金を活用すれば信頼性が高まるのでしょうか?それは、補助金の申請がとおることにより、企業の取り組みが政府から認められたという実績になるためです。
補助金は国や地方公共団体が主に実施しています。政府から補助金を受け取るためには、合理的な考え方や利益の見込める事業計画が必要となり、審査を通過しなければなりません。補助金を受け取った実績のある企業というのはつまり、政府からお墨付きをもらっている企業ということになるのです。
そのため、過去に補助金の採択歴があることにより、さまざまな審査に対しプラスに働きます。それどころか、金融機関や取引先からも信用を得られるでしょう。
DX推進に活用すべき補助金3選
ここまで補助金のメリットについて解説しました。それでは、DX推進に活用すべき補助金を3つ紹介します。自身に合った補助金を選択するためにも、1つずつ確認してみてください。補助金を前向きに検討している方の参考になるはずです。
IT導入補助金
IT導入補助金は名前のとおり、ITツールやデジタル技術の導入をサポートする補助金制度であり、DX推進に適しているといえます。IT導入補助金の対象は、中小企業と小規模事業者です。業種によっては資本金や従業員の人数などが限られます。
IT導入補助金では、ITベンダーやサービス事業者が相談に乗ってくれます。社内のDX化についての悩みも相談できるため、心強いパートナーとなり自社に最適なシステムを導入できるでしょう。なお、IT導入補助金で行えるDX化の具体例は以下のようなものがあげられます。
- 働き方改革
- コロナ対策
- テレワーク推進
- ITシステムによる業務効率化
- ペーパーレスの全面化
ITツールを活用する目的や業務工程数などにより、通常枠(A類型・B類型)、低感染リスク型ビジネス枠(C類型・D類型)の計4種類に分類されています。補助金額や補助率の詳細は下記のとおりです。
通常枠(A類型)
- 補助金額:30〜150万円未満
- 補助率:1/2以内
- 業務プロセス数:1以上
通常枠(B類型)
- 補助金額:150〜450万円以下
- 補助率:1/2以内
- 業務プロセス数:4以上
低感染リスク型ビジネス枠(C-1類型)
- 補助金額:30〜300万円未満
- 補助率:2/3以内
- 業務プロセス数:2以上
低感染リスク型ビジネス枠(C-2類型)
- 補助金額:300〜450万円以下
- 補助率:2/3以内
- 業務プロセス数:2以上
低感染リスク型ビジネス枠(D類型)
- 補助金額:30〜150万円以下
- 補助率:2/3以内
- 業務プロセス数:2以上
上記は2021年7月30日締め切りの補助金です。詳しい内容は公式ホームページを随時確認しましょう。
【IT導入補助金のホームページ】
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、略称として「ものづくり補助金」と呼ばれます。中小企業や小規模事業者などが対象であり、革新的サービス開発・生産プロセス改善のための支援を受けられます。
企業DXの初期費用として活用できるものの、創業して間もない企業や個人事業主でも申請可能です。非常に競争率が高い補助金であるため、取り組むビジネスに対してなにかしらの付加価値をつけて立案する必要があります。十分に事業計画を練ってから申し込みましょう。
なお、申請締切日2021年8月17日のものづくり補助金は、「一般型・グローバル展開型」の2つに分類されています。一般型の上限は1,000万円であり、グローバル展開型の上限は3,000万円です。補助率は中小企業が1/2、小規模事業者は2/3まで補助されます。
また、新型コロナウイルスの影響を受けた企業については「新特別枠」が設けられており、社会経済の変化に対応したビジネスモデルへの転換を行う場合は、優先的に支援を受けられます。ちなみに現在のものづくり補助金は、法人として設立している、もしくは開業届を提出している個人事業主が対象です。
【ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金のホームページ】
戦略的基盤技術高度化支援事業
戦略的基盤技術高度化支援事業は、中小企業などによる精密加工や表面処理、基盤技術の向上を図ることを目的とした補助金制度です。企業の研究開発や試作品開発、そのほか販路開拓にかかわる事業を、大学・公設試などの機関と連携することにより支援を受けられます。
あくまで戦略的基盤技術高度化支援事業は、研究開発などを支援するための制度であるため、生産を目的とした設備備品の導入や営利活動については対象ではありません。また、みなし大企業を含む大企業は支援の対象外です。
企業とDXの関係性によっては対象外となる可能性もあるため、社内の既存ビジネスを確認してから申請しましょう。なお、戦略的基盤技術高度化支援事業の公募は現在行っていません。2021年2月26~2021年4月22日に行った公募内容については下記をご確認ください。
- 補助事業期間:2年度または3年度
- 補助金額(上限額):単年度あたり4,500万円以下、3年間の合計で9,750万円以下(中小企業者が受け取る補助金額が補助金総額の2/3以上であること)
- 中小企業者の補助率:2/3以内
- 大学・公設試等の補助率:定額
- 課税所得15億円以上の中小企業等の補助率:1/2以内
戦略的基盤技術高度化支援事業は毎年公募があるため、都度チェックしておくことをおすすめします。
【戦略的基盤技術高度化支援事業のホームページ】
DX推進に補助金を導入する流れ
ここまで、DX推進に活用すべき補助金を3つ解説しました。最後に、補助金を導入する流れをみていきましょう。補助金を活用するイメージがより明確になるはずです。
補助金の公募
まずは自社のビジネスモデルに合った補助金の公募を行います。条件や内容はホームページに記載されています。なお、短いものでは数週間ほどで募集期間が終わってしまうため注意が必要です。
申請書類の提出
補助金の公募が終わったあとは、期日までに申請書類を提出します。一般的には事業計画書や経費明細票などが必要です。また、申請書類は補助金の内容に合わせて作成しなければならないため、公募要領や申請条件をしっかり確認しておきましょう。
書類審査と面接
申請書類の提出後、書類審査と面接が行われます。とはいえ、書類審査で採択が決定するケースがほとんどです。ビジネスモデルと補助金の適合が承認されれば、補助金事業として認められます。
採択の決定
審査にとおれば採択の決定がされます。なお、補助金の交付は事業完了時に発生した費用の一部が補助される仕組みです。そのため補助金交付が決定した後、交付申請書を事務局に提出しましょう。
DX推進を開始
交付申請書の提出後、1〜2週間ほどで交付決定通知が郵送されます。交付決定通知が届いたあと、企業のDX推進を開始します。なお、交付決定前に発生した費用は補助対象外となるため注意しましょう。
補助金の交付
企業のDX推進が完了したあと、申請書に記載した事業完了期限までに実績報告書を提出します。この実績報告書の内容をもとに確定検査が実施されます。その後、最終審査が行われ、精算払請求のあとに補助金が交付されます。
まとめ
本投稿では、DX推進に活用すべき補助金3選、補助金を導入する具体的な流れを解説しました。
企業にDXを推進するとなれば、一定の初期コストがかかります。その初期コストが懸念点となり、企業のDX化を諦めてしまう方も多いはずです。そこで活用すべきが、本投稿で解説した補助金制度です。自己負担額を減らせると同時に、企業の信頼性を高めることができます。ぜひ本投稿を参考にして、補助金制度を検討してみてください。