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企業に取り入れるべきDX化とは?IT化との違いと3つの課題点を詳しく解説

上村公彦

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テーマ:DX

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活かしたビジネスモデルの変革のことです。既存サービスの効率化を目指すIT化とは大きく異なります。世界的に推進されている企業のDX化ですが、導入することで一体どんなメリットがあるのでしょうか?

本投稿では、DX化の基礎概要とIT化の違い、メリットや課題点を解説します。最後までお読みいただくことによって、企業DXの具体的な流れが把握できるでしょう。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用したビジネスモデルの変革のことを指します。英語表記では「digital transformation」であり、直訳すると「デジタル革命」です。

「DX=デジタル化」と、勘違いされている方もいますが、これは大きな間違いです。DXは単なるデジタル技術の導入に留まらず、その先にある大きな変革を目的とします。DXでは下記のような変革があげられます。

  • インターネットを介してどこでも映画を鑑賞できるようになり、日常生活が一変する
  • 音楽の概念が「所有するもの」から「共有するもの」に変化する
  • スマートフォンで気軽にショッピングを行えるため、不要不急の外出が減る

このように、DXが起こるとビジネスモデルそのものが変化します。なお、経済産業省は「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」でDXを下記のように定義しています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」

DX化とIT化の違いと関係性

DX化とIT化の違いと関係性
「DX化=IT化」だと思っている方は多いのではないでしょうか?両者は少し似ている言葉ですが、DX化とIT化はまったく異なる意味合いを持ちます。本項で、その2つの違いと関係性についてみていきましょう。

IT化とは、業務の効率化・強化のために用いられるインターネットやサーバーといった情報技術のことです。さまざまなテクノロジーを駆使して、既存サービスの効率化を目指します。IT化の具体例は下記をご覧ください。

  • 電話やFAXで連絡を取り合っていたが、IT化によりメールのやり取りに変更した
  • 文書や書類を別室に管理していたが、IT化によりPCからいつでも確認できるようにした
  • 企画書などの承認に印鑑が必要であったが、IT化によりデジタルはんこに変更した

このように、業務や日常生活を便利にするテクノロジーをIT化と呼びます。対してDX化は既存サービスの効率化だけでなく、既存のビジネスモデルを大きく変えるほどの変革を意味します。

  • IT化=既存サービス効率化のためのテクノロジー
  • DX化=デジタル技術を用いた大規模な変革

なお、DX化とIT化の関係性は「目的と手段」にあります。IT化はDXの単なる手段に過ぎませんが、DXはIT化の先にある目的だといえます。

DX化がもたらす3つのメリット

DX化がもたらす3つのメリット
ここまで、DXの基礎概要、DX化とIT化の違いを解説しました。続いてDX化がもたらすメリットを3つみていきましょう。企業のDX化を検討している方はぜひご参照ください。

生産性の向上

DX化がもたらすメリット1つ目として、生産性の向上があげられます。最新のデジタル技術を社内に導入することにより、データ入力などの単純作業が自動化します。ほかにも、コミュニケーションが円滑に行える、カスタマーサポートの自動化、会社に通勤しなくても済むなどが実現できます。

生産性を向上させることにより企業の業績が伸びるだけでなく、無駄な人件費の削減にもつながります。また、空いた時間で新規事業の立ち上げを進めることも可能です。

自由な働き方の実現

デジタル技術の導入によって業務が効率化されるため、いままでにない自由な働き方が実現できます。その代表例としてテレワークがあげられます。

  • チャットツール
  • ビデオ会議
  • クラウドツール
  • 勤怠管理システム

上記ツールの導入により、インターネット上でほぼすべての業務を完結できるようになるため、会社に出勤する必要性がなくなるのです。また、作業時間が大幅に短縮されることによって、残業時間や休日出勤もカットすることができます。いずれにしても、企業のDX化は労働者と経営陣の両方にとってプラスに働きます。

新しいビジネスモデルの創造

DX化がもたらすメリット3つ目は新しいビジネスモデルの創造です。DX化の導入によって従来の固定観念から脱却できます。アナログではまったく想像できなかったことが可能となり、ビジネスに対する視野が広がります。

また、既存ビジネスに関してもDX化することでより便利なサービスに変貌を遂げるでしょう。さらなるビジネスチャンスを掴むためにも、企業のDX化を進めましょう。

DX化における3つの課題点

DX化における3つの課題点
前項でDX化がもたらすメリットを解説しましたが、企業のDXは明るい話ばかりではありません。DX化における課題点3つを詳しく説明します。

2025年の崖

DX化における課題点1つ目として、DXが推進される1つのきっかけとなった「2025年の崖」があげられます。2025年の崖とは、経済産業省が2018年に公表した日本企業の危機感を煽る「DXレポート」のことです。

このレポートでは既存システムのブラックボックス化や、古い基幹システムの深刻さを危惧しています。そして、これらDXの課題が解決できない場合、2025年以降に最大12兆円(年)の経済損失が生じる可能性があると経済産業省は提言しています。また、海外企業と比べて日本企業のDX化は大幅に後れを取っているため、このままではデジタル競争に負けてしまうと想定されています。

このような背景から長期的に発生するコストを考慮し、いますぐにでも企業のDX化を進めていかなければなりません。

DXに対する意識の低さ

経営陣の多くはDXの深刻さをあまり理解していないため、本格的にDXを導入している企業はそれほど多くありません。もしくは深刻さを理解してはいるものの、DXに対する意識の低さから導入を先送りにしてしまっているのが現状です。

2020年10月、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が約500社におけるDX推進の調査を行った結果、全体の約9割以上の企業がDX化をまったく進めていない「DX未着手企業」、もしくはほとんど実施できていない「DX途上企業」であることが明らかになりました。

各企業のこの状況は、「ほかの企業も着手していないからまだ大丈夫」という、甘い気持ちの現れだと推察されています。経営陣は一刻も早く企業DXに対して真剣にならなければなりません。

DX人材の不足

企業のDXを推進させる存在であるDX人材。このDX人材は誰にでも務まるわけではなく、専門スキルと高度なマネジメントスキルが求められます。また、AIやクラウド、5G、IoTといった最新テクノロジーの活用法も熟知しておく必要があります。

このようにDX人材に就任するハードルが高いことから、日本企業はDX人材の不足問題を抱えています。そのため、企業のDX化のためにDX人材を確保しようにも、人手不足が原因で外部から採用することは難しい現状があります。

なお、社内の従業員を一から育成するという方法も考えられますが、専門知識を学ぶ必要があるため多くの時間を要することになるでしょう。このような背景から、DX人材の不足が課題にあがっています。

企業のDX化に向けた5つのステップ

企業のDX化に向けた5つのステップ
DX化における現状の課題点は理解できたでしょうか?最後に、企業のDX化に向けた具体的なステップを5つ解説します。これから企業のDX化を目指す経営陣の方は、ぜひ参考にしてみてください。

デジタル化

企業のDX化において絶対に外せない要素が「デジタル化」です。ビジネスモデルにもよりますが、業務のほぼすべてを可能な限りでデジタル化しましょう。

簡単に業務の効率化を図れるだけでなく、DX化の土台づくりが行えます。デジタル化を図る具体的な手段は、書類のペーパーレス化、FAXの廃止、マニュアルのデータ化、勤怠管理システムの導入などがあげられます。できる範囲から少しずつ進めていきましょう。

効率化

2つ目のステップとして「効率化」が考えられます。デジタル化によって土台づくりが行えたら、次は蓄積されたデータを用いて業務の自動化を図りましょう。業務が自動化されることにより、業務にかかる時間や人件費などを大幅に削減することができます。

また蓄積されたデータを有効活用することにより、既存サービスの質を向上させられるはずです。この「効率化」が意外とできていない企業が多いため、まずは業務の自動化を目標にしましょう。

共通化

業務の効率化を図ったあとは「共通化」を目指します。「共通化」とは、特定部門の業務だけを効率的に進めるのではなく、社内全体や企業グループ内でデータを共有することです。

より広い範囲で自動化・効率化を進めていくことにより、事業規模の拡大や新規ビジネスの創造が期待できます。そのため積極的にDXを共有しましょう。

組織化

これまでに積み上げたデータを用いて、より効率的に運用するため「組織化」を図ります。この段階でDX推進の部署を立ち上げる会社も多くあります。これまで以上に生産性の向上が見込めるだけでなく、データにもとづいた意思決定が可能になります。

最適化

企業のDX化に向けた最後のステップは「最適化」です。社内で共有してきた膨大なデータを用いてビジネスモデルを変革させます。まずは既存ビジネスをより革新的なサービスへ一新させましょう。その次に目指すべきことが新しいビジネスモデルの創造です。

とはいえ、多くの企業がDX化に向けた「最適化」まで進んでいないため、焦らず少しずつ社内のDX化を図りましょう。

まとめ

本投稿では、DX化の基礎概要とIT化の違い、メリットや課題点を解説しました。

DXはデジタル技術を活用した大規模な変革であり、サービスを効率化させるIT化とは大きく異なります。企業のDX化を進めることにより、生産性の向上が期待できると同時に、新しいビジネスモデルの創造につなげられます。とはいえ、DX化に向けた課題点がいくつかあるため事前に確認しておくべきです。

これから企業のDX化を目指す経営陣の方は、ぜひ本投稿で解説したDX化に向けた5ステップを参考にしてみてください。

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上村公彦
専門家

上村公彦(システムコンサルタント)

株式会社クラボード

新規事業のためのシステムコンサルティングおよびシステム・アプリ開発で豊富な実績。ベンチャー企業での事業開発経験で培われた「提案力」を発揮し、ニーズに対応。経営者目線でIT戦略を導きます。

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