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【経営者必見!】システム開発で知っておくべきポイント7選

上村公彦

上村公彦

テーマ:システム開発・アプリ開発

  • システム開発は専門知識が必要で、難しいことと感じる
  • 「システムのことはわからないから…」とシステム開発を全て担当者に丸投げしている

このように、経営者の方であってもITに精通していない方は、システム開発に対して苦手意識を持っていることが多いかと思います。

もちろん、経営者がシステムの専門知識を知らなくても構いませんし、事細かに仕様を指示する必要もありません。しかし、企業における最終責任が経営者にある以上、「何をどうやって作っているか全く知らなかった」では済まされません。もしあなたが経営者であるならば、システム開発をする際に必ず知っておいてほしいことがあります。

システム開発は高額な投資ですし、基幹システムや新規事業のためのシステムであるなら、事業の成功を左右すると言っても過言ではありません。「専門知識だから分からない」で済まさず、少なくとも本投稿で解説する7つのポイントは、経営者としてぜひ知っておいてください。

※このコラムの内容は動画で公開しています。Youtube版はこちらをご覧ください。


1.ビジネス要件を明確にする

1.ビジネス要件を明確にする

  • 開発するシステムは、何を達成すべきなのか
  • 会社はこのシステムで何を成し遂げようとしているのか

この考え方をシステム開発の責任者・担当者、そして関係者に徹底することが大切です。これは、システム開発当初のみならず、開発の過程において、何度も確認すべきことです。システム開発においては、開発が進むにつれ仕様の詳細、目先の問題ばかりに目が行くようになり、当初の開発目的から逸脱してしまうことが少なくありません。

ビジネス要件は具体的であることが望ましいです。例えば、

  • 顧客からの問い合わせに対する応答時間を平均2時間以内にする
  • アプリからの商品購入のリピート率を10%向上させる
  • これまで週1回だった部門別売上報告をリアルタイムで把握できるようにする

と言った具合です。

ビジネス要件を明確にして、システム開発の現場が間違った方向に進まないように見守り、正しい方向へ導きましょう。

2.関係者とのコミュニケーションを密にする

多くの場合、開発したシステムをたった一人が使うということはありません。外部だと自社の顧客や取引先、内部には複数部署が関係するに違いありません。ここで起こりうるのは互いの利害関係です。

例えば、これまで取引先との受発注に電話・FAXを利用しており、これを新システムに置き換えると言った場合、取引先が受注するためには、ネット環境とパソコンが必要になるかもしれません。あるいは、スマホのアプリで操作することになるかもしれません。取引先は年齢層が高く、新しい技術や、やり方に対して拒絶反応を示すかもしれません。

それでも、新システムを導入することによる受発注ミスの削減や、リアルタイムで注文情報が反映され一元管理できる等、取引先が仕事のやり方を変えることの負担以上に、得られるメリットを提示し、場合によってはシステム要件を決めるためのヒアリング協力から、開発後の運用に協力を求めるなど、関係者とのコミュニケーションを密にすることはシステム開発において重要なことです。

経営者が、直接関係者とコミュニケーションを取らないにしても、必要なコミュニケーションを怠ることがないよう、関係部門に指示しておかなければなりません。

3.予算とリソースを管理する

とりわけシステムをスクラッチで開発する場合、つまり自社向けにオーダーメイド開発をする場合は、予算はとてもブレやすいです。あらかじめシステム予算を決めていたところで、その範囲ではビジネス要件を満たすことができないことがあります。予算を決めるため、事前に入手した概算見積もりを大幅に超えてしまった場合、経営判断が必要となります。

システム開発の途中で、見積もりが膨らむことは多々あることです。そのようなケースにおいて、「予算内に納めるようにベンダーと調整せよ」とシステム開発の担当者に指示しようものなら、開発は失敗に向かって一直線だと考えてください。

予算の前提となる、概算見積もりと大きな差異が生じないようにする施策、概算見積もりの精度とその根拠について、開発開始前に精査すべきです。

人的リソースもまた重要です。システム開発は、例え外部のITベンダーへ委託するにしても、システム担当者一人では開発できません。ビジネス要件に応じて、社内の関係者も変わります。

例えば、先に挙げた「顧客からの問い合わせに対する応答時間を平均2時間以内にする。」を実現したい場合、システムだけではできません。AIで自動応答するという方法ならばシステムのみでできそうですが、AIを使うにしても膨大なデータが必要です。質問とそれに対する回答のデータをシステム担当者だけで用意することは難しいでしょう。

AIを使わないとするなら、回答するスタッフをどう確保するのか、どのような質問が来て、回答には専門知識が必要なのかなど、システム担当者だけでなく、専門知識については商品開発部や、スタッフのアサインにおいては人事部なども関わってくることがあります。

また、「アプリからの商品購入のリピート率を10%向上させる。」というビジネス要件もシステム担当者だけでは解決できません。例えば、

  • 年間購入額に応じたデジタルクーポンを発行する
  • 購入した商品が到着後にお礼メールを自動送信する
  • 定期的に購入した商品に関連する商品の情報がアプリのプッシュ通知で届く など。

これらにはマーケティング部門が担当すべき業務が含まれています。
リピート率を向上させるためのシステムの仕組みの前に、リピート率を向上させる施策が必要です。

ビジネス要件を達成するために、必要な人的リソースを確保してください。

4.技術選定の判断をする

取り分けシステムに関する技術の進歩は非常に進化が早いです。DXしかり、AIしかりですが、流行りのワードはよく耳にしたとしても、技術の詳細を知るのはとても難しいことです。AIが流行りだからと、それだけの理由で技術の採用を許可するのではなく、長期的な視点において、妥当性を判断しなければなりません。

例えば、最低10年使う前提の基幹システムを最新技術のみで開発しようとした場合、その技術に対応できるエンジニアは社内にいるのか、どう教育するのか。外部に委託するなら、エンジニアは十分に供給されるのか。

ただでさえ人手不足のIT業界において、最新技術のエンジニアは引く手あまたであり、なおさらエンジニアを集めることが難しいです。経営計画上、新システムをどんどん拡張し、事業領域を拡大していくと考えていたとしても、肝心のシステムを開発するエンジニアが集まらず、開発が進まないということも考えられるのです。 

反面、枯れた技術を採用すれば、エンジニアが豊富で、技術の安定性や信頼性が高まっているというメリットもあります。技術そのものではなく、技術を取り巻く環境についてメリット・デメリットをシステム担当者やITベンダーに説明してもらい、判断を下さなければなりません。

5.リスク管理を行う

システム開発中には、予期せぬ問題が発生します。要件リスク、技術リスク、人的リソースリスク、スケジュールリスク、予算リスクなどが挙げられます。

要件のリスクは、どんなシステムにするかを具体的に要件として定義する際、開発範囲が不明確、内容が曖昧などのために開発に追加・変更が生じることです。

技術のリスクは、新しい技術やツールを採用した場合、その技術が未熟であるか、想定通りに機能しない可能性があるということだったり、開発するITベンダーに新技術に精通するエンジニアがいないことが挙げられます。

人的リソースのリスクは、アサインしたシステム担当者や、関係者のスキル不足によって要件を定義できない、開発中に病気や退職によってプロジェクトを離脱してしまうことが考えられます。

スケジュール・予算のリスクは、前段のリスクが発生した場合、スケジュールの見直し、予算の追加が必要となり、計画しているサービス開始時期の遅延、資金不足による開発の中断などが挙げられます。

全てのリスクに対し、完璧なリスクヘッジを取ることは実際には困難です。例えば人的リソースのリスクを回避するために、教育コストをかけ、複数人を担当に当てる。それは言うが易しですが、時間とコストが見合うのかを踏まえ判断しなければなりません。

システム開発の初期段階から、そして開発中、終了までの間、リスクの予兆を把握し、内容を分析・評価して、問題が大きくなる前に対策を検討・実施するようにしましょう。

6.セキュリティ対策を怠らない

社内の機密情報はもとより、大量の顧客情報をデータベースで管理することも多くなりました。重要データに対するアクセスの制限、データの暗号化、定期的なセキュリティ監査の実施は非常に大切なことです。

反面、セキュリティ対策は厳密にすればするほど、利便性が低くなるため、システムのユーザからは不評を買うのは確かです。

アクセス制限をかけたところで、正当なアクセス権を持つ人が不正に顧客情報を抜き出し、データを販売すると言ったことも避けられません。
パソコンのパスワードを書いた紙を机に貼っておく。
上司が部下にパスワードを教えて操作させる。
笑い話のように聞こえるかもしれませんが、今もなお、こうした現場は残っています。それがリアルです。セキュリティに対する教育、ルールの徹底と共に、現場・アクセスログの定期的な監査、不正アクセスが発生した場合の通知ツールの導入などを検討しなければなりません。

セキュリティ対策はコストに対する効果が見えにくいのも事実ながら、問題が起こった時に考えられる損失を考慮した上で必要な策を講じましょう。 

7.自社開発か外部委託かを決める

できることなら、システムは自社開発がベストであると考えています。システム開発の内製化というやつです。私の経営する会社がシステムのコンサルティング・システム開発をする企業であるにも関わらず、あえて申し上げたい。

自社で開発する方が、変化に対して柔軟に対応でき、開発するシステムのノウハウが蓄積され、コスト削減にも繋がります。社外に情報が漏れるリスクの軽減もできます。

ただし、そのハードルが高いことも事実。日本では、IT人材の7割超がIT企業に属しており、ユーザ企業でのIT人材不足は否めません。自社開発を決断しても人材獲得が進まないと言う懸念も残るでしょう。しかし、自社開発か外部委託かは、0か100かという二者択一ではありません。人的リソースの有無にもよりますが、機密性が高い、あるいはシステムのコアとなる部分を自社で開発し、それ以外を外部へ委託するという切り分けもできます。

開発するシステムのビジネス要件を踏まえ、自社開発を推進すべきか、外部委託とするのか、外部委託をしつつ自社開発への移管を進めるのか、戦略を持って判断してください。

まとめ

システム開発で知っておくべきポイント7選-まとめ
今回は経営者が知るべき、システム開発のポイント7選について解説しました。システム開発は専門性が高いがゆえに、システム担当者に丸投げするようなケースも珍しくありません。

しかし、最終的な責任を負うのは、紛れもなく経営者自身です。専門知識そのものを知る必要はありませんが、今回解説した7つのポイントは押さえておき、あなたの会社のシステム開発を成功に導いてください。

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上村公彦
専門家

上村公彦(システムコンサルタント)

株式会社クラボード

新規事業のためのシステムコンサルティングおよびシステム・アプリ開発で豊富な実績。ベンチャー企業での事業開発経験で培われた「提案力」を発揮し、ニーズに対応。経営者目線でIT戦略を導きます。

上村公彦プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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