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日本企業が抱えるDX人材の不足問題とは?具体的な対応策を3つ紹介

上村公彦

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テーマ:DX

新型コロナウイルス感染症の影響もあり、社内にDXを導入したいと考える企業は多いのではないでしょうか?社内にDXを導入するにあたっては、専門技術を持ったDX人材が必要となります。しかし、現在多くの日本企業がDX人材の不足問題を抱えています。DX人材が不在のまま社内にDXを導入することは容易ではないため、早めに解決策を進めなければなりません。

そこで本投稿では、DX人材の不足問題について、人手不足を解消する対応策を解説します。問題点と対応策が明確になることで、今日から社内のDX化を進められるはずです。

日本企業のDX人材は明らかに不足している

日本企業のDX人材は明らかに不足している
多くの日本企業はDX人材の不足問題を抱えています。DX人材不足から引き起こる危機的状況を詳しくみていきましょう。

DX人材の不足から起こる「2025年の崖」とは?

経済産業省は2018年に発表した「DXレポート」をとおして、日本企業のDX人材不足から起こる危機的状況を予測しています。このレポートによると、2015年のDX人材不足数は約17万人になると公開しました。また、2025年にはDX人材の不足数が約43万人まで拡大するとされています。

上記の課題を克服できない場合、2025年以降に最大12兆円(年)もの経済損失が生じると経済産業省は予測しています。

2030年のDX人材不足と需給のバランス

日本企業のDX人材不足の問題は2025年にとどまりません。その後、2030年には供給と需要が高まり続ける一方、DX人材不足の問題が加速するとされています。経済産業省委託事業が2019年3月に公開した「IT人材需給に関する調査」のデータからは、最悪のシナリオで最大約79万人ものDX人材が不足すると明らかになっています。中間のシナリオでも約45万人の人手不足が予測されており、DX人材と需給のギャップを提言しています。

さらに危機感を持つべきは、AIやIoT、ビッグデータ、クラウドなどのデジタル技術を用いる「先端IT人材」の不足率です。従来システムの請負開発や運用、保守などに従事している「従来型IT人材」がスキルの転換をしない限り、2030年には「先端IT人材」の需要に対し半分程度しか満たされないと予測されています。

これらのことから、日本企業におけるDX人材の人手不足は明らかであるため、一刻も早く対応策を練らなければなりません。

DX人材不足を解消する3つの対応策

DX人材不足を解消する3つの対応策
前項で説明したとおり、日本企業におけるDX人材は明らかに不足しています。では、人手不足の問題に対してどのように解決していけば良いのでしょうか?本項ではDX人材の不足を解消する3つの対応策を解説します。人手不足が原因で、社内のDX化を進められない企業はぜひご覧ください。

DX人材を外部から採用する

DX人材不足を解消する対応策として、外部から採用する方法があげられます。新卒でDXに精通している人材は一部に限られているため、必然的に中途採用で外部から確保することになります。

中途採用であれば即戦力として活用できるため、迅速に社内のDX化を進められるはずです。また、自社にはない新しい知見を持ち合わせているため、既存ビジネスモデルの発展や新規事業の創造も期待できるでしょう。

しかし、DX人材を外部から採用する際には懸念点もあります。それは、慢性的な人手不足の影響から、DX人材を募集しても採用に結びつきづらい点です。先述したように、多くの日本企業はDX人材の不足問題を抱えています。そのため、DX人材の募集をかけたところで集まらない可能性が高いのです。

また、DX人材が扱うスキルは多種多様です。企業の求めるスキルを持ったDX人材が都合良く採用できるとは限りません。以上のことから、DX人材の外部採用は取り組むべきことではあるものの、可能性はそれほど高くないため過度な期待は控えましょう。

アウトソーシングで助力を得る

DX人材不足を解消する2つ目の対応策は、アウトソーシングで助力を得ることです。アウトソーシングとは、業務の一部を外部の協力先に発注することを意味します。実際にアウトソーシングを行い、企業のDX化に成功している企業は数多く存在します。

アウトソーシングを利用するメリットとしては、高い専門性を持った優秀なDX人材を素早く活用できることが考えられます。個人事業主として活躍しているエンジニアやプログラマーであれば、手間となる面接や教育に時間を割くことなくスムーズにプロジェクトへ参加してもらえます。また、DXに関わる業務の一部だけを依頼できるため、従業員はいままでどおり既存業務に集中することが可能です。

とはいえ、アウトソーシングのDX人材と従業員が適切に意思疎通を行わなければ、業務のブラックボックス化が起きかねません。そのためアウトソーシングの助けを借りてDX化を進めるケースでは、業務の進捗確認やコミュニケーションを常に意識しましょう。

また、アウトソーシングされたDX人材は高度な専門性を持ったプロであるため、外注費が高いことも懸念材料の1つです。アウトソーシングでDX人材を補う際はそれらを考慮して活用しましょう。

社内でDX人材を育成する

外部採用やアウトソーシングでは希望するDX人材がうまく集まらない可能性もあります。そこで有効なものとして、社内でDX人材を育成する選択肢があげられます。

既存従業員であればビジネスモデルを詳しく理解していることから、適切なデジタル技術を社内に導入できます。また、既存業務と相性の良いITシステムを自ら選択できるため、業務のブラックボックス化が起こりにくい傾向にあります。

しかし、社内でDX人材を育成するにあたっては懸念点もあります。それは、DX人材は高度な技術を必要とするため、従業員を育成しても効果がすぐに見込めないことです。最新のデジタル技術に精通していない従業員を一から育成するとなれば、当然DXを導入できるレベルまでは時間を要します。また、社内にDXのノウハウがない状態であれば、なおさら必要な工数や手間がかかってしまうでしょう。

それぞれのメリット・デメリットを理解して、社内状況に合った対応策を検討してください。

DX人材を社内で育成する方法

DX人材を社内で育成する方法
ここまで、DX人材不足を解消する対応策について解説しました。各企業がDX人材を欲している背景もあり、外部採用とアウトソーシングでは確保できない可能性もあります。そのため、本項ではDX人材を社内で育成する方法に焦点を当てて解説します。今日からでも、企業のDXに向けた具体的な行動を起こせるはずです。

学びやすい環境を構築する

DX人材を社内で育成するからには、まずは学びやすい環境を構築しましょう。DXの専門知識を学ぶ学習者にとっては新しい取り組みであるため、いままで以上に仕事のストレスがかかります。社内環境の変化や経営陣からの期待が学習者のモチベーション低下につながりかねません。

そのほか、DX関連の問題を誰にも相談できず、1人で悩みこんでしまうことも懸念されます。長期目線を持って前向きに取り組んでもらうためにも、経営陣による学びやすい環境構築がキーポイントとなります。環境構築の具体的な方法については下記をご参照ください。

  • DXの重要度を社内全体に共有する
  • DXの進行具合によってインセンティブを設ける
  • 学習環境設備や費用面をサポートする
  • 資格取得の際は社内で表彰する
  • 定期的にヒアリングを行い悩みを解消する

DX人材1人に任せっきりにせず、社内全体でDXを進めましょう。また、経営陣によるサポートは必要不可欠な要素となります。

学習者のターゲットを絞る

デジタル技術を活用するDX人材には向き不向きがあります。ITシステムにまったく興味のない従業員をDX人材に任命しても、良い結果にはつながりにくいでしょう。DXを導入する前にモチベーションが低下し、途中で断念してしまうリスクがあります。そのため、学習者のターゲットは適任者に絞るべきです。ターゲットを十分に絞った上で、人材育成に注力しましょう。

DXの学習者に向いている人材は、主にソフトスキルが高い従業員でしょう。ソフトスキルとは、コミュニケーション能力やリーダーシップ、問題解決能力などのことです。プログラミング技術や専門知識といったハードスキルが重要だと思われがちですが、社内のDXを推進させるためにはソフトスキルが重要となります。社内のDXは会社一丸となって取り進めるため、DX人材には従業員を引っ張るリーダーシップが必要不可欠なのです。

また、DXに対する好奇心や積極性もキーポイントとなります。企業のDXを成功させるためにも、学習者を十分に選定した上で人材教育を始めましょう。

OJTと社外研修を活用する

DX関連のスキルは座学だけでは身につきません。問題を柔軟に解決できる人材に育てるためにも、OJTと社外研修を活用しましょう。OJTとは「On the Job Training」の略で、実務を体験させながら仕事を覚えてもらう教育方法のことです。

座学でインプットのみを行ってもスキルとして習得しないため、OJTと社外研修で実際にDXを体験してもらい、アウトプットを経てスキルを構築しましょう。OJTのような実践から学べることは非常に多く、学習者の自信にもつながります。また、DX人材の後輩ができたときに、仕事をとおした意見交換が可能です。

加えて、社外研修ではほか企業のDX人材と交流を図れます。学習者のモチベーションにつながると同時に、新たな知見を取り入れることができるはずです。積極的にOJTと社外研修を活用して、優秀なDX人材に育て上げましょう。

まとめ

本投稿では、DX人材不足を解消する対応策、DX人材を社内で育成する方法を解説しました。

経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」では、DX人材不足による日本企業の危機感が指摘されています。また、2025年にはDX人材の不足数は約43万人まで膨れ上がると予測されます。現時点においてすでに日本企業のDX人材の不足問題が明らかになっているため、解決に向けて早めに行動しなければなりません。

そこで、本投稿で解説したDX人材不足を解消する3つの対応策を参考に、企業のDX化を検討してみてください。アウトソーシングや社内従業員の育成に注力することにより、少しずつDX人材不足の問題が解消されるはずです。

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上村公彦
専門家

上村公彦(システムコンサルタント)

株式会社クラボード

新規事業のためのシステムコンサルティングおよびシステム・アプリ開発で豊富な実績。ベンチャー企業での事業開発経験で培われた「提案力」を発揮し、ニーズに対応。経営者目線でIT戦略を導きます。

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