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社内DXを推進させるDX人材に必要となる5つのスキルとは?教育方法もあわせて解説

上村公彦

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テーマ:DX

日本企業のDX化は各方面から推奨されています。それもそのはず、現段階での日本企業はITシステムの複雑化やDX化の後れが生じています。このままの状態では、2025年以降に毎年最大12兆円もの経済損失となる可能性があると経済産業省が警鐘を鳴らしています。

このような最悪の事態を防ぐためにも、DX人材に必要となるスキルとDX人材を採用・教育する方法を理解しておきましょう。必要となるDX人材の方向性が明確となり、企業のDX推進に役立てることができるはずです。

企業のDXを推進する「DX人材」とは?

企業のDXを推進する「DX人材」とは?
企業のDXを推進させるために必要不可欠となるDX人材。このDX人材の定義を明確にしていきましょう。経済産業省は2019年に発表した「『DX 推進指標』とそのガイダンス」でDXをこのように定義しています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

以上のことから、DXはITシステムやデジタル技術をただ導入するだけでなく、ビジネスモデルを大きく変革させることを意味します。また、経済産業省は2018年に公開した「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」で、DX人材を以下のような人材だと提言しています。

「各事業部門において、業務内容に精通しつつ、デジタルで何ができるかを理解し、DXの取組をリードする人材、その実行を担っていく人材」

つまりDX人材は、既存ビジネスを把握した上でITシステムを取り入れることのできる人材、なおかつ社内従業員をまとめながら実行を続けられる人材ということになります。

DX人材の6つの役割

DX人材が担う役割はエンジニアやプログラマーだけではありません。独立行政法人情報処理推進機(IPA)はDX人材を6つの役割に分類しています。多くの業種や企業に対応するためにも、DX人材はさまざまな知識とスキルを習得しておく必要があるのです。

  • プロデューサー:DX実現のためにITシステムを管理する人材
  • ビジネスデザイナー:DXの課題を発見・解決・立案を行う人材
  • アーキテクト:DXで活用するITシステムの設計図を作る人材
  • データサイエンティスト/AIエンジニア:デジタル技術の解析・意思決定ができる人材
  • UXデザイナー:顧客ニーズに合わせたデザイン作成ができる人材
  • エンジニア/プログラマー:ITシステムの導入・実装を行う人材

上記の役割を担う人材はDXに限らず存在します。しかし、DX人材に至ってはデジタル技術を中心に再定義されています。DX人材は個々のスキルとして捉えず、全体を把握しておくことが重要となります。

DX人材が社内に必要とされる2つの理由

DX人材が社内に必要とされる2つの理由
ここまで、DX人材の基礎概要について説明しました。では、なぜDX人材は必要とされているのでしょうか?下記2つに分けて解説していきます。

経済産業省が企業DXの重要性を提言

経済産業省は、企業DXへの重要性を「DXレポート」のなかで提言しています。そのレポートによると、日本企業に対してITシステムの複雑化やDX推進の後れがあることを危惧しています。これら課題を解決できなければ、2025年以降に毎年最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると報告しました。

このように、日本企業のDXに対する問題が可視化されたことにより、経営陣を中心に企業のDX化を迅速に進められるようになりました。また、2019年に独立行政法人情報処理推進機(IPA)が発表したレポートでは、「ビジネス変革や新ビジネス創出の必要性を強く感じている」と回答した企業が91.3%にも及んでいます。以上のことから、DX人材が必要だとされているのです。

総務省がテレワークを推進

新型コロナウイルス感染症の影響もあるいま、総務省はテレワークを各企業に推奨しています。総務省が2021年6月9日に発表した「テレワーク・デイズ2021」によると、「新型コロナウイルス対応におけるテレワークの取組の目標(出勤者の7割減)や実績も踏まえ、各社において実施期間における積極的な目標を設定し、実行することを要請する。」と提言しています。

また、テレワーク関係府省連絡会議の開催は今回で11回目であり、以前からテレワーク推進の会議を何度も開催しています。これら総務省のテレワーク実行要請に伴い、各企業はDX推進のためのDX人材を取り急ぎ必要としているのです。

DX人材に必要となる5つのスキル

DX人材に必要となる5つのスキル
DX人材が必要とされる理由は理解できたでしょうか?続いて、DX人材に必要となるスキルを5つ紹介します。社内に取り入れるべきDX人材の方向性が明確になるはずです。

ITシステムの基礎知識

DXはITシステムを活用したビジネスモデルの変革を目指します。つまり、DX人材にはITシステムの基礎知識が必要不可欠となります。システム、データ、インターネットといった、基本的な仕組みを理解できていなければ、社内のDXに向けて具体的な案を出せずにプロジェクトが止まってしまうでしょう。

また、システムの複雑化などの課題に直面したとき解決策の提案ができず、プロジェクトをスムーズに進められません。ITシステムを取り入れて社内DXを推進させるためにも、DX人材はITシステムの基礎知識が必要となります。

デジタル技術の活用力

DX人材に必要となるスキル2つ目として、デジタル技術の活用力があげられます。新しいビジネスモデルを創造するためには、ITシステムの知見があるだけでは不十分です。AIや5G、IoT、クラウドといった最新技術を導入する活用力が必要となります。

また、企業のDXはデジタル技術を一度取り入れて終わりかといえばそうではなく、継続してメンテナンスしなければなりません。最新技術を柔軟に取り入れるためにも、デジタル技術の活用力が必要不可欠な要素となります。

高度なビジネススキル

企業のDX化は社内だけで行うわけではなく、外部業者と連携を取りながらプロジェクトを進めていきます。そこで必要となるスキルが、高度なビジネススキルです。DX化の鍵となるビジネススキルは下記の3点に分けられます。

  • テクニカルスキル:業務を高精度で遂行するための一連スキル
  • ヒューマンスキル:円滑なコミュニケーションで良い関係を築くスキル
  • コンセプチュアルスキル:必要となる知識や技術を覚えて実践するスキル

企業のDX化はプロジェクトが複雑に進行するため、問題を柔軟に解決できるテクニカルスキルが求められます。また、取引先との電話対応、営業にかかわる知識、コミュニケーション能力、上司への報告スキル、判断力などのヒューマンスキルとコンセプチュアルスキルも重要となるでしょう。

このように、社会人として当たり前のスキルが高水準で備わっていなければ、DX人材として活躍するのは難しいとされます。

挑戦を続けるマインドセット

企業のDX化は挑戦の連続です。諦めずに挑戦を続けるマインドセットがキーポイントとなります。

DX化を進める過程では、社内環境、人間関係、ビジネスモデル、進行業務などに大規模な変化が生じます。このような会社の変化から、社内トラブルにつながることも少なくありません。そんな状況のなか、企業のDXを前向きに続けていくためには強固なマインドセットが必要不可欠です。

また、トラブルが発生したときに解決策の提案をするのもDX人材の仕事です。その状況下においての最適解を常に考え、企業のDXを推進できる人材でなければなりません。

プロジェクトのマネジメント力

DX人材に必要となるスキル5つ目は、プロジェクトのマネジメント力です。企業のDXはDX人材1人で取り組むわけではありません。既存ビジネスとの連携を図るためにも、社内全体で取り組む必要があるのです。周りの従業員を自ら巻き込み、強いリーダーシップを持って取り組みます。

また、プロジェクトを成功させるためには人材のマネジメント力だけでなく、下記のようなスキルも必要です。

  • 納期や予算を管理する能力
  • 必要な人材を集める能力
  • 社内と外部を連携させる能力

会社一丸となってDXを成功させるためにも、プロジェクトのマネジメント力が必要不可欠となります。

DX人材を採用・教育する方法

DX人材を採用・教育する方法
前項では、DX人材に必要となる5つのスキルを解説しました。最後にDX人材を採用・教育する方法をみていきましょう。

外部から採用する

DX人材を確保する方法として、外部から採用する方法が考えられます。優秀な人材を即戦力として迎え入れることにより、企業のDX化を加速させられるはずです。一刻も早く企業のDX化を進めたい方は、外部からの採用を検討しましょう。

しかし、多くの企業で優秀なDX人材が不足しています。独立行政法人情報処理推進機(IPA)が2019年に発表した「デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」では、6つの役割すべてにおいてDX人材が不足していると明かしています。即戦力として外部から採用することが望ましいですが、募集を行っても集まりづらいというのが現状です。

社内従業員を教育する

DX人材を確保するもう1つの方法として、社内従業員を教育することがあげられます。多少の時間を要するものの、教育方法さえ間違えなければDX人材として活躍してもらえるはずです。

また、社内の業務内容を詳しく知っているため、既存ビジネスのDX化をスムーズに進められる見込みも高く、従業員が扱いやすいITシステムの構築も期待できます。とはいえ、DX人材の教育にはかなりの手間と労力が学習者に伴います。下記のような働きやすい環境を構築して、従業員のモチベーションを高めましょう。

  • DXに対する重要度を全従業員に共有する
  • 学習環境構築の設備や費用面をサポートする
  • DX化の状況に応じてインセンティブを支給する

まとめ

本投稿では、DX人材が社内に必要とされる理由、DX人材に必要となるスキルを解説しました。

経済産業省が企業DXの危機感を提言していることから、優秀なDX人材が必要とされています。そのDX人材に必要となるスキルは全部で5つあります。

  • ITシステムの基礎知識
  • デジタル技術の活用力
  • 高度なビジネススキル
  • 挑戦を続けるマインドセット
  • プロジェクトのマネジメント力

上記の必要スキルを参考にして、会社に確保すべきDX人材を考えてみてください。

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上村公彦
専門家

上村公彦(システムコンサルタント)

株式会社クラボード

新規事業のためのシステムコンサルティングおよびシステム・アプリ開発で豊富な実績。ベンチャー企業での事業開発経験で培われた「提案力」を発揮し、ニーズに対応。経営者目線でIT戦略を導きます。

上村公彦プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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