【DX人材】社内のDX推進につながる取得してもらうべき5つの資格とは?
経済産業省から推進されている企業のDX。しかし、社内のDXを検討しているもののいまだに本格導入ができていない日本企業がほとんどです。経済産業省はこの現状を変えるべく「DX銘柄」を公開しており、2020年には大手DX推進企業が35社選定されました。
このDX銘柄にはどんな企業が選ばれているのでしょうか?気になる方も多いはずです。そのため本投稿では、経営変革に取り組んでいる企業をまとめた「DX銘柄2020」と「DX注目企業2020」を解説します。DX推進に必要な要素を考えていきましょう。
企業DXを推進している状態
経済産業省が発表した「DXレポート2 中間取りまとめ」によると、日本企業の9割以上が「DX未着手企業」と「DX途上企業」だとされています。多くの企業がDXの意味を履き違えている可能性が高いため、具体的な企業DXを推進している状態を明確にする必要があります。
DXとは、データやデジタル技術を活用して事業に大規模な変革をもたらすことです。ITシステムやテレワークを導入しただけではDXを推進しているとはいえません。経済産業省が目指すDXは下記のとおりです。
- 社会課題の解決や新しい価値の提供を迅速に行う、さらには安心・安全な社会を実現する
- デジタル技術を活用して世界の持続的発展に貢献するビジネスモデルを誕生させる
さらに経済産業省は、「企業内に事業変革の体制が整い、環境の変化に迅速に対応できる」ものがデジタル企業だと提言しています。そのため、企業にデジタル技術を導入するだけでなく、それらITシステムを用いて新たな価値を創造することが企業のDX推進にあたります。DXの本質を把握して、企業のDX化を進めていきましょう。
DX推進企業の「DX銘柄」とは?
2020年より経済産業省は、東京証券取引所と共同で「DX銘柄」を選定しています。このDX銘柄とは、デジタル技術を活用したビジネスモデルや経営変革に取り組む優秀な上場会社を選定するものです。2020年に発表した「DX銘柄2020」では日本企業35社を選定しました。選ばれた企業は下記の項目を満たしており、DXの導入状況が進んでいるとされます。
- ビジネス環境の激しい変化に対応している
- デジタル技術を用いて顧客や社会のニーズに応えている
- 業務や組織、プロセス、企業文化、風土を柔軟に変革させている
- 競争上の優位性を確立すべく前向きに取り組んでいる
このDX銘柄は東京証券取引所と共同に選定しているため、「一部、二部、ジャスダック、マザーズ」の上場会社約3,700社を対象にしています。DX銘柄に選定されるためには事前にエントリーする必要があり、約3,700社のうちエントリーした企業は全部で535社です。エントリーできるのは安全性の高い上場会社に限られるため、中小企業やベンチャー企業は含まれていません。
ちなみに、2015年から2019年までの間は「攻めのIT経営銘柄」として公開されていました。とはいえ、積極的にIT利活用に取り組む企業を対象としており、DX銘柄と似たような選定基準でした。
経済産業省がDX銘柄を発表した意図
経済産業省はなぜDX銘柄を発表したのでしょうか?それは、経済産業省が懸念している「2025年の崖」が大きく影響しています。2025年の崖では、DX化の後れにより日本企業が世界から取り残されることを危惧しています。また、2025年以降に最大で毎年12兆円の経済損失が応じることから、経済産業省は日本企業のDX推進を強めたい意図があるのです。DX銘柄の選定対象が大企業ばかりなのも、DXを推進させたい思惑があるのかもしれません。
また、経済産業省は「目標となる企業モデルを広く波及させるとともに、IT利活用の重要性に関する経営者の意識変革を促すことを目的としている」と、提言しています。このことより経済産業省は、DX銘柄を選定してDX実現までのプロセスを明確化し、各企業が抱える課題をみつけ出すと同時にアクションを促しているといえるでしょう。
DX銘柄とDX注目企業の違い
経済産業省は発表したDX銘柄2020の35社とは別に、DX注目企業2020として21社を選定しています。このDX注目企業2020とは、DX銘柄に選定されなかった企業のなかから、DX推進の観点から高い評価点を獲得している企業を選定するものです。DX銘柄と同じく「一部、二部、ジャスダック、マザーズ」の上場会社であり、幅広い業種から選ばれています。
ちなみに、DX銘柄のなかから「デジタル時代を先導する企業」として「DXグランプリ」が選定されています。経済産業省が発表しているDX銘柄の選定分類は全部で4つです。
- DXグランプリ
- DX銘柄
- DX注目企業
- アンケート回答企業
DX銘柄に対する3つの評価基準
DX銘柄2020に選ばれた35社には共通点があります。その共通点とは一体なんなのでしょうか?その共通点を明確にするため、本項ではDX銘柄の評価基準を3つ解説します。ご自身のDX推進状況に当てはめてみてください。
革新的な生産性の向上
DX銘柄の評価ポイントとして、業務に対する革新的な生産性の向上があげられます。経済産業省は業務の自動化・不要化・働き方の変革といった、デジタル技術を活用して生産性向上を目指す企業を評価しています。デジタル技術による効率化は下記のようなものです。
- Excelのマクロ構築やAIによる業務の自動化
- 請求書の電子化システムによる業務のコスト削減
- テレワークシステムによる新しい働き方の実現
このように、少しずつデジタル技術を取り入れることで生産性の向上を目指せます。
既存ビジネスのDX化
既存ビジネスのDX化も評価点の1つです。デジタル技術を取り入れたことによる、顧客関係の強化、新地域の開拓、新規セグメントの展開などがあげられます。また、既存の事業ドメインそのものは変更せず、商品やサービスの質を改善する取り組みも評価の対象となります。
新規ビジネスの構築
従来のビジネスモデルから脱却した、新規ビジネスの構築も評価対象の1つです。これまでにない価値提供や存在しなかった市場の創造などが考えられます。新たなビジネスモデルの実現、新規事業分野の進出も高評価です。
「DX銘柄2020」と「DX注目企業2020」の内容
DX銘柄の評価基準がわかったところで、DX銘柄2020とDX注目企業2020の内容についてお話します。選定された企業の特徴を理解することにより、自社のDX化を加速させることができるでしょう。
DX銘柄2020の内容
DX銘柄2020に選ばれた35社は下記のとおりです。
(画像引用:経済産業省|「DX銘柄2020」「DX注目企業2020」を選定しました)
DX銘柄2020に選ばれた35社のうち、はじめてDX銘柄に選ばれた企業が13社あります。反対に2015年から選定され続けている優良企業は5社です。
建設業、サービス業、製造業、小売業、銀行業など、幅広い業種がDX銘柄2020に選ばれています。このうち「デジタル時代を先導する企業」として「DXグランプリ2020」に選定されたのは、「株式会社小松製作」と「トラスコ中山株式会社」の2つです。
DX注目企業2020の内容
DX注目企業2020に選定された21社はこちらです。
(画像引用:経済産業省|「DX銘柄2020」「DX注目企業2020」を選定しました)
DX銘柄に選ばれなかったものの、高い評価点を獲得した注目企業です。DX銘柄2020と同じく、さまざまな業種から選定されています。DX注目企業2020に選ばれた21社のうち、半分以上が今回はじめて選定された企業です。
企業のDX推進に必要不可欠となる5つの要素
ここまで、DX銘柄2020とDX注目企業2020の内容を解説しました。DX銘柄に選ばれるために必要不可欠である要素は5つあります。これから本格的にDX化を進める方はご参考ください。
ビジョン・ビジネスモデル
DXを推進させるには明確なビジョンを持つ必要があります。経営陣が率先してビジョンを掲げることにより、会社一丸となって取り組むことができます。仮に複雑なデジタル技術が導入されたとしても、方向性が定まっていれば従業員同士の連携が取りやすく、スムーズに企業のDX化を進められるでしょう。
また、デジタル技術を活用した独自のビジネスモデルを構築し、他社と差別化を図ることもキーポイントとなります。いままでにない新たなサービスを創造し、満足度の高い価値提供を行いましょう。
組織や制度
組織や制度もDX化を進める上では欠かせません。
いくら最新のデジタル技術を取り入れたところで、その技術を活かす体制が整っていなければビジネスにつながりません。まずは既存システムを再構築し、業務の複雑化を取り除きましょう。
また、DXを円滑に進めるためにも既存事業部門だけでなく、新しくDX部門を構築する手もあります。ほか事業に左右されない予算設定を行い、各事業部門に対応できる組織を目指しましょう。
デジタル技術の活用
DXを推進するにはデジタル技術の活用が必要不可欠です。経済産業省からは「攻めのIT経営を支える基盤的取り組み」と提言されています。とはいえ、ただ単純に新しいデジタル技術を取り入れれば良いわけではなく、定期的かつ持続的なメンテナンスが必要です。メンテナンスで把握しておくことで業務の効率化を進められるとともに、ITシステムのブラックボックス化を防げます。
また、情報資産全体の課題について分析と評価を実施し、生産性の向上と業務の高度化を図りましょう。
重要な成果指標の共有
掲げたビジョンの実現に向けて、企業価値向上に向けたKPIの共有を行いましょう。特に成果指標については株主や従業員、取引先などのステークホルダーに開示し、多方向と信頼関係を築くことも大切です。具体的な目標となる項目を定め、外部へ情報発信していきましょう。
ガバナンス
経営方針や経営計画におけるガバナンスも重要です。ガバナンスとは、統治のあらゆるプロセスのことを指します。
DXを加速させるためにも経営陣が積極的にコミットメントし、強いリーダーシップを持って従業員をリードしましょう。また、DX推進に対しての熱意や方向性を社外に発信することも必要な要素であり、人材や予算、投資の観点からも前向きに取り組むことが重要です。ちなみに経済産業省は、経営陣によるDX推進が欠かせないと提言しています。
まとめ
本投稿では、DX銘柄とDX注目企業、企業のDX推進に必要不可欠な要素を解説しました。
経済産業省が発表したデータによると、日本企業の9割以上が「DX未着手企業」と「DX途上企業」だとされています。世界的にも日本企業のDX化は後れを取っており、2025年以降に大きな経済損失が生じると経済産業省が危惧しています。
そのことにより、経済産業省はDX銘柄を発表して各企業のDX推進を促しています。まだ本格的にDX化を進めていない企業は、本投稿で解説したDX推進に必要な要素を確認し、DX銘柄に選定されるような取り組みを始めましょう。