【新規事業の計画書はテンプレを使え】注意点や承認の出やすい話し方も解説①
新規事業を行うとき、はじめに計画書を作ります。しかし計画書を作るためには、さまざまな要素を盛り込む必要があります。
前回の新規事業の目的や効果など、計画書に書くべき内容や作る時の注意点に続き、今回は、意思決定者から承認を得るための話し方なども紹介します。
承認・融資を得やすくする計画書に必要な3つの要素
計画書を作る際に承認や融資を得やすくするために必要な3つの要素について、紹介します。
きちんとしたエビデンス
最も重要なのが、きちんとデータで示せるエビデンスです。
新規事業を行う場合、この市場を選んだ理由やこの商品・サービスで他社に勝てる理由など、あらゆる根拠が必要になります。根拠をきちんと数字で示せるかどうかで、計画書の信憑性が高まります。
もちろん全てを、データとひも付けられるわけではありませんが、可能な限り実際に調査した数値をもとに計画書を作成していきましょう。
内容が具体的
概要だけでなく、内容を具体的に示せているかどうかも大事な指標です。
・実際のスケジュール
・チームメンバーや、各チームが何をするのか
・必要な経費や収支
上記のように、意思決定者にこれから業務に取り組む場合、まずどのように動いていくのかをイメージさせましょう。事業の具体的なイメージができなければ、成功のビジョンも見えません。
また内容を具体的に書けば書くほど、計画の穴も見えてくるので、より強固な計画書が作れます。
「なぜ取り組むのか」が明確
3つ目の計画書に必要な要素は、「なぜこの事業に取り組むのかを明確にする」です。
どれだけ素晴らしい事業計画でも、「なぜ自社が取り組む必要があるのか」が不明瞭だと、最後の一押しに欠けてしまいます。
経営理念に沿っているから、自社の強みを生かせる領域だからなど、なぜこのタイミングで他社ではなく自社が取り組むのか、をまとめておきましょう。
【非承認連発?】最悪な計画書に多い問題点
承認や融資を得やすい良い事業計画書については、ここまでたくさん見てきました。
ここでは逆に非承認を連発してしまうような、いわば「良くない計画書」に共通する問題点を見ていきましょう。
フォーマットがバラバラで見づらい
データ分析などはきちんとまとめられているのに、フォーマットがバラバラで計画書自体が見づらいパターンです。
文字のフォントやサイズなどがバラバラだったり、表やグラフの位置が均一でなかったり。見た目にも整然として美しいかどうか、そういった細かい点もプレゼンの際には大きな影響を及ぼします。
プレゼンを受けた相手にずさんな影響を与えてしまい、信頼性を欠いて承認を受けづらくなるでしょう。
得られる利益や効果が書かれていない
2つ目は「得られる利益や効果がきちんと書かれていない」です。
「こんなことがしたい」「このニーズを満たしたい」など、理想だけが書かれている計画書では、承認や融資を得るのは難しいです。
実際にその事業を進めた際にどのような利益や効果が得られるのかが具体的に見えていないと思われ、成功見込みを疑われます。
的確に見定めるのは難しいですが、既存事業や他社の業績などからある程度得られる利益などは数字で出しておきましょう。
競合についての記載がない
自社の情報ばかりで、競合についての記載がない場合も承認率は大きく下がってしまいます。
やはり事業を行っていく上で自社と市場の情報は大事ですが、競合がどんな戦略や事業を行っているのかという情報も大事です。
いかに良いアイデアでも、競合の二番煎じでは差別化が図れず期待通りの成果をあげられません。
きちんと競合を分析し、自社の強みでの差別化や、競合によってもたらされるリスクなどを予め記載しておくことで、計画書の信頼性を上げておきましょう。
新規事業計画書を作成する時のおすすめテンプレート3選
では新規事業計画書をより簡単に、より素早く作るためのテンプレートを3つ紹介します。
今回はビジネス情報サイト「bizocean」の無料テンプレートを参考にしています。
事業計画書
まず紹介するのは、Excelを元にした事業計画書のテンプレートです。
https://www.bizocean.jp/doc/detail/104478/
新規事業を行う目的や動機、取り扱う商品やサービス、セールスポイントなどの記入枠が設けられています。
この計画書は、開業したばかりの事業主が使うこともできるので、これまでの職歴を記入する部分もありますが。適宜省いて利用しましょう。
他には資金計画(内装費や備品等)や、収支計画表(売上高や人件費)を月ごとに記入ができたり、記入が必要な情報は完備されています。ただエクセルにまとめるタイプなので、会社によってはPowerPointなどにまとめ直す必要もあるでしょう。
事業計画書雛形(パワーポイント版)ver3.1
2つ目に紹介するテンプレートはPowerPointを使用するもので、このまま発表できるものになります。https://www.bizocean.jp/doc/detail/520345/
事業開始の目的やメンバー紹介、競合サービスの概況などをビジュアルでまとめることができます。
また、このテンプレートのすごいところは、市場分析の際に使用した「SWOT分析」や「PEST分析」などもテンプレートに組み込まれているところ。実際に分析した情報をそのままテンプレートに落とし込むだけなので、簡単にエビデンスを提示することができます。
【Googleドキュメント】新規事業の提案書
3つ目に紹介するのは、Googleドキュメントで作成できる新規事業の計画書になります。https://docs.google.com/document/d/11aGcOuX6Gsu2HDd1gFta2zFgcngAveH-iux6s7amut4/edit
「現状・提案内容・具体的な手順」の3つの項目があり、シンプルな作りですが「なぜ今回の事業を提案したのか」がわかりやすく伝わるようになっています。
実際にプレゼンする時などはもう少し詳細にまとめる必要がありますが、上司に今回の事業を行うにあたって軽く提案するときなどは、この程度の文量で問題ないでしょう。
計画書が通り実際に事業に移る時に気をつけたいこと
最後に、計画書にGOサインが出たあと、実際に事業に移るときに気をつけるべき事柄について確認しておきましょう。
計画書に漏れがないか改めて確認
まず計画書に漏れがないか改めて確認しましょう。
分析からプレゼンするまでの期間にもよりますが、全ての情報が最新かどうかは再度確認しておく必要があります。
大きな修正を行わなくてはいけなくなった場合、修正にかかる期間を改めて出し、上司に報告しましょう。無理に進めて大きな損害を出すよりも、先に予測し調整するほうが、最終的にはあなたへの信頼度が高まります。
予め必要になる業者などは決めておく
承認されGOサインが出るまでに、あらかじめ必要になる業者などは決めておきましょう。
融資をしてくれる銀行や、卸しを頼む業者など、実際に承認を得てから探すのでは事業に取り掛かるまでに時間がかかってしまいます。
ビジネスの成功にはスピードも大事なので、前もって選定しておくことで、スムーズかつ迅速に事業に取りかかることができます。
しかし承認が出る前から話を通しておくと、実際に承認が出なかった際にトラブルになってしまう恐れがあるため、いくつかピックアップしておく程度にしておきましょう。
計画書作りが難しいのは当たり前!事前準備でクオリティが決まる
新規事業の計画書作りは難しくて当たり前です。計画書が作れないのは、経験や情報量の無さが原因で、自分の能力が低いわけではありません。
新規事業の計画書にはテンプレートがあるため、初めはそれらを活用し、どういった事柄を記載する必要があるのかを把握しておきましょう。また市場の分析には「SWOT分析」などのビジネスフレームワークが利用できるため、併せて確認しておくことをおすすめします。