用途別床面積の算出にも対応!商業系建築の現況把握・CAD図面作成

今回ご紹介するのは、教育・研究機能、図書館、劇場、カフェテリアを併設する大学施設の測量プロジェクトです。延床面積が2万㎡を超える巨大な建物内には、
・文学/哲学/メディア系学科
・メディアセンター
・大学図書館(閉架書庫を含む)
・劇場
・カフェテリア
といった多様な用途が混在しており、測量中も大学の学生・教職員・来訪者が行き交います。
複雑な構造・形状がもたらす図面化の難しさ
本建物は、真四角ではない凹凸の多い平面形状、外壁の大部分を占める窓開口、非常に多い部屋数を有する構成となっています。さらに地下には、建物全体の機能を支える巨大な機械室や閉架書庫が広がっており、上下階・用途間で空間構成が大きく異なる点も特徴です。
このような建物では、空間の連続性や壁・床の取り合いが複雑になりやすく、部分的な実測や目視確認だけでは、全体の整合性を保った図面化が困難となります。
また、過去の改修や用途変更が段階的に行われている場合、既存図面と実際の建物の間にズレが生じているケースも少なくありません。
その結果、従来の実測や既存図面の流用では、
「寸法が合わない」「部屋用途が正確に反映されていない」「設備や動線が把握できない」
といった問題が発生し、日常の施設管理や改修計画に活用できない図面となってしまうという課題が顕在化していました。
運営を止めない3Dレーザー測量計画
大学運営を継続したまま、短期間かつ高精度に現況を把握するため、以下のように測量手法を使い分けしています。
外部: 固定式3Dレーザースキャナー
内部: モバイルスキャナー(NavVis)
講義や研究活動の合間を縫いながら計測を行い、地下の機械室等を含むの建物全体を点群データとして取得しました。
点群データを「管理に使える図面」へ変換
取得した点群データは、単なる3Dデータのままでは実務に活用できません。
本プロジェクトでは、最終成果物として1:100スケールの平面図(部屋情報・建具情報含む)、断面図、立面図を作成しました。

これにより、
- 部屋構成・面積の正確な把握
- 複雑な動線や用途境界の可視化
- 将来的な設備更新への備え
などが可能となり、日常の施設管理や将来的な改修工事までを見据えた、実務に直結する図面として整備しています。
建物維持管理・改修計画を見据えた活用効果
本件のような大規模・複合用途建築では、
- 部局再編に伴う用途変更
- スペース再配分
- 段階的な改修・更新
が前提となるケースが大半です。
点群データを基に作成したCAD図面は、管理部門・設計者・施工者間の共通資料として将来計画の検討ベースとなるほか、不具合や改修履歴等の蓄積基盤としても機能し、建物を長期運用するための「現況インフラ」と位置付けられます。
大規模施設ほど、維持管理に関わる人員やコストは増大し、計画的な運用が不可欠です。
だからこそ、正確な現況を共有でき、誰もが使える図面は、施設運営の根幹を支える重要な資産といえるのです。



