【事例公開】中世教会建築の3Dレーザー測量・図面化プロジェクト-2

複数の企業・店舗・サービス事業者が入居する商業系複合施設(延床約9,500㎡)において、オーナー様よりご依頼を受け、3Dレーザー測量及び平面図作成を行った事例をご紹介します。
現況図が整備されていない既存建築の課題
既存建築では、
- 竣工時の図面が残っていない
- 過去の改修・区画変更が図面に反映されていない
- 実際の寸法や区画構成が把握できない
といった課題が多くみられます。
本建物においても、テナント区画ごとの正確な床面積を把握できる資料が不足しており、賃料設定において最も重要となる各テナントの正確な面積把握と、入居者へ提示するための資料整備が求められていました。
用途に応じたスキャナーの使い分け

本事例では、建築内部の用途や求められる精度に応じて、固定式スキャナーとモバイルスキャナーを使い分けて計測を実施しました。
それぞれの特性を活かすことで、精度・作業効率・コストのバランスを最適化しています。
共用部は固定式スキャナーで高精度に計測
廊下や階段などの共用部は、建物全体の基準となる重要な空間であるため、固定式3Dレーザースキャナーによる計測を行いました。
固定式スキャナーは、
- 数mm単位の精度で点群データを取得可能
- 階段形状や吹き抜けなどの立体構成を正確に再現
- 平面図・断面図の基準情報として高い信頼性を確保
といった特長があり、建物全体の骨格となる共用部の現況把握に適した手法です。
テナント区画はモバイルスキャナーで効率的に計測
一方、テナント区画内部については、歩行しながら連続的に計測できるモバイルスキャナーを採用しました。
モバイルスキャナーは、
- 計測時間が短く、区画ごとの滞在時間を最小限に抑えられる
- 三脚設置が不要で、作業の存在感が小さい
- 営業中のテナントへの業務・動線への影響を抑えられる
といった特長があり、テナント稼働中の建物でも現実的に実施可能な計測手法です。
点群データから「実務で使えるCAD図面」へ
3Dレーザースキャナーで取得した点群データは、それ自体が最終成果物ではなく、建物を正しく理解するための基礎情報です。
本プロジェクトでは、この点群データをもとに、賃貸管理や改修計画の実務でそのまま活用できるデータとして整理・図面化しました。
平面図として整備することで、
- テナント区画の形状・面積を正確に把握できる
- 区画割り変更や用途転換の検討が容易になる
- 共用部と専有部の関係性を一目で確認できる
- 改修範囲や工事影響の整理がしやすくなる
などの効果が得られ、管理・運営・設計・施工の各段階で共通して活用できる資料となります。
特に、築古の既存建物では、現況を正確に反映した図面の有無が、改修計画の精度や検討スピード、コスト管理に大きく影響します。
点群データを「見るためのデータ」で終わらせず、賃貸管理・改修計画の意思決定に使える建築図面へと変換すること。それが、当社の建築測量・図面化サービスの価値です。



