3Dレーザースキャン×図面化実例: 行政・福祉系施設での測量・CAD図作成

近年、3Dレーザースキャナーを用いた建築物の測量は、行政施設や福祉施設など、多くの人が利用する公共建築でも活用されるようになってきました。
「図面が古い」「増改築を重ねて図面が残っていない」「改修前に現況を把握したい」「DX化を推進したい」など、さまざまな場面でご相談をいただいています。
今回は、海外所在の行政・福祉系の大規模公的施設(延床約5,000㎡)を対象に、外部は固定式3Dレーザースキャナー、内部はモバイル式3Dレーザースキャナーを併用して現況を測量し、1:100スケールのCAD図面データとして取りまとめた実例をご紹介します。
測量の背景や採用したスキャン方式、機器の選定理由をわかりやすくお伝えします。
対象施設の用途と課題:行政機能+福祉支援の複合施設
今回対象となった建物は、行政手続きと生活支援の機能を備えた公的複合施設です。
もともとは軍関連施設として使用されていたため、既存図面が残されていない状況にありました。
そのため、施設の維持管理・改修計画に必要となる正確な現況データの整備が、今回の主な目的です。
3Dレーザースキャナーによる点群取得と現況把握
当社では、建物の構造や用途、成果物の使用目的に応じて最適な測量計画を立案しています。
今回は、外部は固定式スキャナー、内部はモバイル式スキャナーを用途に合わせて組み合わせて計測を行いました。
固定式スキャナー:高精度で建物形状を確実に把握
固定式スキャナーの最大の強みは、高精度で安定した計測が可能な点です。
1か所に据え置いて周囲をスキャンするため、外壁のファサード、庇形状など、細部まで均一な精度でデータを取得できます。計測に時間は必要ですが、外観の立体形状を把握するための基礎データとして非常に有効です。
モバイル式スキャナー:スピードと効率に優れた計測
内部の計測には、移動しながら連続計測ができるモバイル式3Dスキャナーを採用しました。
複雑な動線や多数の小部屋がある建物でも、短時間で広範囲のデータが取得できる点が大きなメリットです。
稼働中の施設でも、人が歩く速度に合わせてスキャンできるため、業務の妨げになりにくい利点があります。
一方で、動きながら計測する特性上、固定式と比べると細部精度はやや劣ります。
今回の案件では、内部の現況を効率よく把握しつつ、外部の高精度データと組み合わせることで、施設運営への影響を最小限に抑え
ながら、広範な現況データを短時間で取得することを実現しました。
さらに、3Dレーザースキャナーは家具や荷物が積まれた状態でも、露出している部分の点群データから推測補完を行うことで、図面作成に必要な形状情報を取得することができます。
公共施設・社会福祉施設の測量にも対応
当社では、今回のような行政施設・医療福祉施設・学校・宿泊施設など、多用途の既存建物の設計基礎資料・施設管理のためのCAD図面作成に幅広く対応しております。
- 古い図面の更新
- 改修、用途変更前の現況把握
- 大規模施設の点群測量

基本バリアント01(部屋・窓・ドア情報)
※プライバシー保護の観点から、室名表記は一部非表示としております。
3Dレーザースキャナーによる「正確な現況図面」は、後工程のコスト削減と意思決定の品質向上に直結します。
施設の規模や場所を問わず、お気軽にご相談ください。



