孫に贈与、ただ介護費用も心配
こんにちは。ファイナンシャルプランナーで行政書士の河村修一です。
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2021年5月21日に三菱UFJリサーチ&コンサルティングの政策研究レポートから興味を引く記事がありました。60歳~79歳の方(3000人超)を対象としたアンケート調査&分析です。アンケート調査には、高齢期のお金や制度に関する知識の状況を把握するため、次の5項目について理解度を尋ねています。
- 人生100年時代について
- 健康寿命
- 公的年金が終身年金であること
- 公的年金の繰り下げ受給
- 医療保険の高額療養費制度
「理解している」と回答すれば2点、「聞いたことがある」という回答には1点、「聞いたことがない」という回答には0点とし、10点満点となります。
得点が高いほど、高齢期のお金や制度に関する知識が多いとみなしています。
- 「健康寿命」とはWHOが提唱した新しい指標で、「平均寿命」から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間のことです(厚生労働省:e-ヘルスネットより参照)。日常的に介護等が必要な状態ではなく、自立した生活が送れている年数のことです。「健康寿命」は平成28(2016)年時点で男性が72.14年、女性が74.79年となっています。
- 公的年金の繰り下げ受給についてですが、1ヶ月遅くするごとに年金額が0.7%増えます。12ヶ月遅くして66歳から受給する場合、本来の年金額が8.4%増えます。仮に5年間遅らせて70歳から受け取れば42%も増えます。この増額した年金が一生涯続くことになります。繰り下げ受給は、長く生きれば生きるほど有利になります。なお、老齢基礎年金と老齢厚生年金を別々に繰り下げることができます。
- 医療保険の高額療養費制度とは、入院や手術等をして、月ごとに一定額以上の医療費がかかった場合、上限を超えた部分が健康保険から戻ってくる制度です。上限額は年齢と所得に応じて決まっており、70歳以上で高額所得者でも低所得者でもない一般の人は、1か月の自己負担限度額(外来+入院(世帯))57,600円となっています。
結果概要として(一部抜粋)、
高齢期のお金や制度に関する知識量が多い人ほど、長寿化に対する備えを行い、民間の医療保険や介護保険の加入率が高いという傾向がみられた。また、知識量が多い人は、想定寿命をより長く設定しており(現実的な寿命に近づく)、現在の貯蓄高などで将来の生計見通しで賄えるとする割合が高かった。
※出典は知識が鍵を握る高齢期の生活設計 貯蓄が枯渇を防ぐ②をご覧ください。
このように人生100年時代においては、「高齢期のお金や制度に関する知識」は非常に重要であると考えられます。上記のアンケートに問われている部分に加え、少しでもプラスアルファの知識を習得しておくと良いでしょう(例えば、介護でいえば、介護費用の総額や高額介護サービス費、補足給付などの制度など)。