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一人暮らしの高齢者数は増加傾向で課題と対策

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令和2年版高齢社会白書によると65歳以上の者のいる世帯(2,492万7千世帯)が、全世帯(5,099万1千世帯)の48.9%(約半分)を占めています。65歳以上のいる者の世帯のうち、2018年においては、夫婦のみの世帯が一番多く32.3%、単独世帯27.4%で合わせて6割近くになっています。夫婦のみ世帯は夫婦のどちらかが亡くなると単独世帯になります。また、親と未婚の子のみの世帯も20.5%となっています。この場合、親が亡くななれば、単独世帯となる可能性が高い世帯になります。次に、65歳以上の一人暮らしの者は男女ともに増加傾向にあり、昭和 55(1980)年には男性約19万人、女性約 69万人、65歳以上人口に占める割合は男性 4.3%、女性 11.2%であったが、平成 27(2015)年には男性約 192万人、女性約400万人、65歳以上人口に占める割合は男性13.3%、女性 21.1%となっています(出所令和2年版高齢社会白書)。

高齢者の単独世帯の様々なリスク

高齢者の単独世帯はさまざまなリスクがあります。私の経験からも主に次のようなことを実感しました。体調面からは、①食生活が単調となり栄養失調、②話し相手がいない等の社会からの孤立感、うつ病の発症、孤独死、③認知機能の低下による近隣とのトラブル等があります。環境面からは、①物忘れによる火の不始末や重要な物等の紛失、②(特に地方在住の場合)自動車の運転による事故、③振り込め詐欺等の被害にあう等です。

対策にも限界が

様々な対策があります。「配食サービス」を利用することによる食生活の充実や安否確認として活用できます。「見守りサービス」としては、センサー等のITを活用したものや、郵便局社員が定期的に高齢者宅を訪問し、会話を通じて生活状況を確認し、その結果を家族等へメールで伝えるサービスなどもあります(郵便局のみまもり訪問サービス)。親の健康状態の把握や孤独死を防ぐことが可能です。その他、地域包括支援センターなどに相談することも必須です。私の場合も親(遠距離)と電話が通じなかったときに、様子を確認してもらったことがあります。大変助かりました。また、社会福祉協議会などではボランティアの紹介もしています。例えば、「ハーモニカ・三味線などの演奏」や「話し相手・傾聴」等があります。少しでも孤立感を軽減できます。お住まいの自治体で確認するとよいでしょう。また、判断能力が低下すると悪徳業者からの被害にあう可能性が高まります。このような場合には、法定後見制度の利用も考えましょう。高齢の親が一人暮らしの場合、(同居や近くに住むことができない)子世代ができる対策にも限界があります。例えば、地方在住の親は自家用車が生活上必要です。高齢の親が車の運転しないためにも、私の場合は、施設への入所を選択しました。

施設への入居で安心も

施設入居となると費用の問題があります。特に有料老人ホームの費用はピンキリです。また、有料老人ホーム入居費用を子世代が負担すると「負のスパイラル」が始まりです。子世代がまたその子に負担を強いることにより自分の生活ができなくなります。原則、親の財産から捻出するようにしましょう。ただ、親が潤沢であればよいのですが、親には貯金がなく、年金収入と自宅しかない場合、自宅を活用しましょう。①「リバースモーゲージ」があります。自宅を担保に融資を受けて、元本返済はせずに借入者(ここでは親)の死亡時に自宅を売却して返済資金に充てるもの等です。ただし、地方での利用は難しいかもしれません。②「移住・住みかえ支援機構」のマイホーム借上げ制度です。この制度を利用して家賃収入を得て、有料老人ホーム代等に充当するのも一つです。③自宅売却においては、民事(家族)信託の利用です。民事(家族)信託とは、信頼できる子供に自宅の管理・処分を依頼する契約を結び、親が認知症などで判断能力がなくなった場合でも、自宅を子供が売却できるようにしておくことです。このように、貯金や年金が少なく自宅しかない親の場合も、自宅があれば活用できます。

まとめ

ひとり暮らしの高齢者には様々なリスクがあります。民間の見守りサービスや宅配サービス、自治体のサービス等を積極的に利用しましょう。それでも難しい場合は、有料老人ホーム等の施設入居を考える必要があるでしょう。

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河村修一(行政書士)

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