介護ポストセブンで~在職老齢年金制度の見直し…~記事が公開されました
おはようございます。行政書士 ファイナンシャルプランナーの河村修一です。
ファイナンシャルプランナーへのご相談
行政書士へのご相談
介護サービス費の自己負担が1割でも重い
介護保険サービスを利用したときは、65歳以上の方は、所得などに応じて介護保険サービス費の1割~3割の自己負担が生じます。自己負担を軽減等する制度として「高額介護サービス費」、「高額医療・高額介護合算制度」、「特定入所者介護サービス費」、「特別障害者手当」、「各自治体独自の制度」等があります。
高額介護サービス費とは
国の制度として高額介護サービス費があります。高額介護サービス費(厚生労働省:介護サービス情報公表システム参照)とは、同じ月に利用者の自己負担額が一定の額を超えた場合に超えた分を払い戻す制度です。支給を受けるためには、初回のみ市区町村への申請が必要です。所得などに応じて自己負担額の上限が異なっており、住民税課税世帯では負担上限は4万4,400(令和2年7月末まで一定の場合、年間上限あり)、非課税世帯では(世帯)2万4,600円、(個人)15,000円となっています(※「世帯」とは、住民基本台帳上の世帯員で、介護サービスを利用した方全員の負担の合計の上限額を指し、「個人」とは、介護サービスを利用したご本人の負担の上限額を指します)。例えば、年金収入80万円に満たない母親(独居、78歳)が要介護3の認定を受け、下表の介護保険サービス支給限度額(要介護3)までサービスを使ったとします。
【介護保険サービスの支給限度額 令和元年10月から】
要支援1 約 50,320円/月
要支援2 約105,310円/月
要介護1 約167,650円/月
要介護2 約197,050円/月
要介護3 約270,480円/月
要介護4 約309,380円/月
要介護5 約362,170円/月
母親は介護保険サービスを要介護3の支給限度額まで使ったので1ヶ月約270,480円になりますが、自己負担割合は1割負担なので約27,048円になります。さらに高額介護サービス費として住民税非課税(年金収入80万円以下)である母親は認定区分が第2段階であり、単身世帯のため自己負担上限額は(個人)15,000円になります。一旦支払った27,048円と15,000円の差額12,048円が戻ってきます。なお、福祉用具購入費、住宅改修費、施設の食費・居住費は対象外です。また、介護保険サービスの支給限度額を超えた自己負担額も対象外(10割負担部分)になります。
2021年介護保険法改正 高額介護サービス費 現役並み所得者の負担限度額引き上げ
対象はあくまでも高所得者ですが、医療保険(70歳以上)の高額療養費の負担限度額に合わせて「年収が約770万円以上の世帯は、上限額が93,000円、年収が約1,160万円以上の世帯は140,100円」になる見通しです(参照:令和元年12月16日厚生労働省老健局社会保障審議会 介護保険部会(第88回))。65歳以上の高所得世帯は、相応の負担を求められることになりそうです。
高額医療・高額介護合算制度
医療保険上の同一世帯の被保険者において、医療保険と介護保険の両方で自己負担額が発生し、その合計が負担限度額を超えた場合、その超えた分が払い戻されます(※毎年8月1日~翌年7月31日の12か月で計算)。前述の「高額介護サービス費」は月単位で計算するのに対して、「高額医療・高額介護合算制度」は、年間の自己負担額の総額で計算されます。なお、「高額医療・高額介護合算療養費制度」は、同じ保険者でなければ合算できないというところに注意が必要です。例えば、78歳の夫と73歳の妻の場合であれば、夫は後期高齢者医療保険制度で、妻は国民健康保険の場合は合算できないことになります。
特定入所者介護サービス費
介護保険施設への入所やショートステイ利用した場合に、世帯の所得の状況や資産状況により「居住費」と「食費」が軽減される制度です。減額を受けるためには「介護保険負担限度額認定書」の申請が必要です。なお、デイサービス、有料老人ホーム、グループホーム等は対象外になります。
特別障害者手当など
対象は、次のいずれかの障害に該当し、常時特別の介護を必要とする20歳以上の方です。
◎重度の障害が重複している方(一部、単一障害でも可)◎日常生活がほとんどできない精神障害のある方です。ただし、「施設に入っている方(ただし、グループホームや有料老人ホームは対象になります)」、「病院・診療所に継続して3ヶ月以上入院している方」や「所得が所得制限基準額の限度額を超えている方」は対象外です。手当額は27,350円/月(令和2年4月~)で、手続きとして障害者福祉係または福祉事務になります(※所定の診断書が必要で、要介護認定とは異なります)。その他、各自治体が独自で行っている軽減制度や補助もありますのでお住まいの自治体のホームページで調べたり、問い合わせをして情報を集めることは必要です。
介護費用など全般的なことは「介護とお金に詳しいファイナンシャル・プランナー」、税務に関することは「介護とお金に詳しい税理士」や予防法務に関することは「介護とお金に詳しい行政書士」に相談してみてはいかがでしょうか。