子どもたちの思考力を高め、未来の選択肢を広げるプロ井上昇哉

子どもたちの思考力を高め、未来の選択肢を広げるプロ

井上昇哉

「自ら考え自力で答えにたどり着くこと」の好循環で「考える癖」を身につける

「この塾に通って人生が変わった」そんな声が聞かれるのは、徳島市住吉にある学習塾の「与一」。英語と数学専門の少人数指導で、昨今実績を伸ばしています。「うちは、テストの点をあげるためだけの学習塾ではないんです」そう話すのは、代表の井上昇哉さん。考える力そのものを育み、自分の力で答えを掴む―。この成功体験を積み重ねるのが、与一流の授業スタイルです。一般的には、入塾後すぐにテストの点があがったほうが生徒自身もすぐにやりがいを感じられるし、保護者からの評価にもつながりやすい。ですが、与一の授業は、もっと長期的なビジョンで進められているのです。

「わからないという言葉にも個々それぞれ程度があります。どこまで理解できているかを一緒にさかのぼり、そこからじっくり考えられるように、能力に見合った時間をかけていきます」何がわかっていないかを把握し、自らの力で答えにたどり着く過程を経て、初めて「考える」ということがちゃんと身につくというわけなのです。

　点数で評価される受験の世界において、ともすれば遠回りにも感じられる「与一」のスタイル。ですがそこには、学力の向上だけには収まりきらない、井上さんの確固たる信念が込められていました。

選択肢を広げるのが我々の役目。そこから考え、自分なりの答えを見つけてほしい。

　23歳の時、塾講師の職に就いた井上さん。日々授業をこなしていく中で、塾講師という存在が、子どもたちの将来を左右するとても重要な仕事であることに気づかされます。彼らの可能性を最大限に引き出してあげるために、自分にできることは何なのか―。悩みぬいた井上さんが出した結論は、講師の「質」を重視した新しい塾の立ち上げでした。学生やアルバイトの講師ではなく、子どもたちの将来を担う自覚を持った元同僚二人に声をかけ、三人で「与一」をスタートしました。

「生徒が聞いて“なるほど”と思う授業は最低限あたりまえのレベルです。生徒一人ひとりが自分なりの解釈ができるように、考えることの糸口や突破口を個々に合わせて指導します」この教えすぎない絶妙な匙加減が簡単なようでいて難しい。三人の講師それぞれが、考えることに独自の哲学を持ち、「与一」の名にふさわしい「的を射た」指導ができるからこそ実現できるアプローチ。「毎日塾でもイヤじゃない」「先生が話しやすい」「もっと早く来ておけばよかった」と評価も上々です。立ち上げから4年が過ぎた現在では、少数精鋭の講師陣の手腕が評価され、中学生約30人、高校生約50人が通う話題の塾として成長しています。

　授業や問題の質問はもちろん、進路や悩みの相談を受けることも多い井上さん。その際にもやはり「考える」ことを求めるのだそうです。「与一で教える“考える”の範疇は、勉学においてだけではないのです。悩みにぶつかった時、どうすればいいのかわからない時も自分で考え、自分なりの答えを見つけることが重要だと思うのです」生徒の考えが凝り固まっているなと感じた時には「その考えはつまらないな」とあえて別の選択肢を考えるように投げかけることもあるのだそう。「もっと深く考えることを求めることで、彼らの将来の幅がぐんと広がる。たとえ元の考えを最終的に選択したとしても、幅広く考えることに意義があるのです」

　何事も「わからない」で片付けてしまうのはもったいない。「考える癖」を身につけることで、将来の選択肢の幅を広げてあげたい。「与一」のベースにあるものは、井上さんのそんな熱い想いのようです。

学習塾の枠を超えた“人生塾”へ！将来の幅を広げ、人間性を高める

　塾といえば、ゴールは受験に設定されるのが一般的ですが、井上さんは、ゴールすることだけが目的ではないと考えています。ゴールを目指す過程で身につくものや、人間的な成長のほうが、将来的にはその子の人生の糧になる。"「考える」を考える " ことが身についた生徒は、勉学はもちろん、行動、思考すべてが変化し、明らかに成長が見られるのだそうです。

「中学高校時代は元々迷える年頃なのですから、たくさん迷ってじっくり考え、自分で見つけた答えに向かって進んでいけばいいのです。様々な大人の意見を聞き、いろんな経験をして、自分なりに考えて人生を切り開いていってほしいですね」井上さんは笑顔でそう話します。

　2020年、大学入試は大きく変わります。詰め込み学習の時代は終わり「思考力・判断力」がより問われる傾向になり、学校も塾も様変わりしようとしています。そんな中、何年も前からスタンスを一切変えずに「考える」を追求してきた井上さん。与一流の考え方を身につけた子どもたちが、自分らしい人生のステージで活躍する時代がもうすぐそこまで来ています。

（取材年月：2019年11月）

"「考える」を考える " ことで、自ら人生を切り開いていけるように―。

「自ら考え自力で答えにたどり着くこと」の好循環で「考える癖」を身につける

選択肢を広げるのが我々の役目。そこから考え、自分なりの答えを見つけてほしい。

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