不動産を贈与するときの手続きの流れ
最近多い相続問題の 1 つが「田舎の土地の相続」です。特に都心で生活している人にとって、地方の実家や農地の相続は気が重い決断となります。相続を放棄するという選択肢もありますが、いずれにしても慎重に検討するべき事柄です。
「田舎の土地の相続」で困るのはこんなとき
地方の過疎化が進んでいる昨今では、実家を離れて都心に住む子どもが田舎の土地を相続せざるを得ないケースが増えています。このような状況では、次のような問題が起きる可能性があります。
「自分は引き継ぎたくない、でも失いたくない」 で兄弟間の争い
田舎の実家や農地を引き継ぐと保有や管理に時間的・金銭的コストがかかります。こういったことから都心部で生活している子どもたちは、土地を引き継ぎたくないと考える人が少なくありません。一方、慣れ親しんだ実家を手放したくないと思う人もいます。結果的に「お前が引き継げ」と、相続人である兄弟姉妹間で押し付け合い、トラブルに発展してしまうケースがあります。
共同相続すると子や孫が処分できない
兄弟姉妹間で話がついて、田舎の土地を共同相談する場合でも、別の問題が生じます。問題が生じる原因は、子や孫の世代が相続した田舎の土地に縛られるためです。兄弟姉妹の仲がよくても、子や孫の代になれば疎遠になることもあります。そして共有不動産は、共有者全員の同意がなければ処分できません。そうなると、不動産を売却できず、必ずしも結びつきが強くない者同士で管理し続ける事態になりかねません。
田舎の土地を相続するのは悪いことばかり?
そのメリットとデメリット
田舎の土地を相続するメリット
田舎の土地を相続するメリットの 1 つは税金面です。不動産の購入や贈与には不動産取得税がかかりますが、相続だとかかりません。そして、土地を所有し続けていれば、高齢になってからの「地方移住」という選択肢が残ることになります。また、自分が住まないとしても、土地を活用することで副収入を得られる可能性もあります。田舎の土地を相続することは、マイナスだけではないのです。
田舎の土地を相続するデメリット
土地を維持していくには、管理コストがかかります。家の修繕費、土地の見回りのための交通費、そして毎年かかる固定資産税を払わなくてはなりません。それらは、遠方に住む人には負担になるでしょう。次に、所有者がいざ売ろうとしても、なかなか買い手がつかないこともあります。値段がついて売却できればいいですが、値段がつかず「タダでもいらない」となってしまう可能性もゼロではありません。そして前述したように、子や孫の人生が共有不動産に縛られるリスクがあります。後の世代になればなるほど売却が難しくなり、余計な負担に苦しむことになりかねません。
リスク回避するなら「相続放棄」。 ただし注意点も
それでも田舎の土地の相続が重荷だと感じるのであれば、「相続放棄」をするとよいかもしれません。
相続放棄とは
財産はプラスなものだけではなく、借金などマイナスの財産もあります。相続放棄とは、相続人の財産・負債をすべて相続しないことをいいます。「相続財産の大半が借金」「自社株や収益の上がっていない賃貸物件など共同相続するとトラブルになる相続財産しかない」などマイナスの財産があるときに行われます。また、田舎の土地のように相続したくない財産があるときにも相続放棄が選択されます。
相続放棄の注意点
相続したあとの負担から解放されるというメリットがありますが、次のような注意点があります。
- 1,3 か月以内に手続きする必要がある
- 2,少しでも財産を処分したら無効
- 3,他の相続人に事前連絡した方がよい
相続放棄はほかの相続人に知らせる義務がなく、単独でも行えます。しかし、自分以外の誰かが手間のかかる相続の手続きをとったり、相続税を負担したりすることになると考えると、手続き前に他の相続人に連絡をし話し合っておいたほうがよいでしょう。
「相続か放棄か」最終判断の前に専門家に相談を
「田舎の土地を相続するかそれとも放棄するか」の選択が本当にいいのかどうかを 1 人で判断するのは難しいものです。 最終的な判断をする前に、専門家に相談するとよいでしょう。