介護保険施設(介護施設)とは? Ⅱ
特別養護老人ホームは「特養」の略称でも知られています。
入所できるのは65歳以上であり、これまでは要介護1以上でしたが2015年度から
要介護3以上の認定を受け、自宅での介護が困難な高齢者に限られます。
特別養護老人ホームの運営事業を担うのは地方自治体や社会福祉法人であり、
入所希望者の入所の可否は各自治体が定められた入居検討委員会によって行われます。
費用が他の民間施設と比較して安いことから入所希望者は非常に多くなっています。
緊急性の高い方から入所が優先されますが、数年~長い場合には10年近くの待機を
余儀なくされる場合もあります。
現在、国内で入所を待つ待機者の数はおよそ40万人とも言われています。
各施設では、入所者の在宅復帰に向けた各種サービスを提供することが定められています。
入浴や食事・排せつといった日常生活における支援のほか、機能訓練や健康管理をはじめとした
各種サービスを入所者の意思や人格を尊重しながら提供していきます。
●概要・入居条件● 65歳以上で要介護3以上の認定を受けた方が対象となります。
このほかに、「長期の医療行為を必要とする状態にない」など各施設によって
条件が定められているので、事前の確認が必要です。
入所者には介護・看護スタッフによる各種日常生活の支援やリハビリテーション
あるいはレクリエーションなどが提供されます。
しかし、サービスの内容は民間運営の施設と比較してバリエーションに欠ける
ことが多くなっています。また、医学管理課でのケアには対応していない施設が
多くなっています。
●費用● 特別養護老人ホームの場合、初期費用は一切必要ありません。
月額使用料は施設の設備や地域、あるいは世帯収入(課税額)などによって
変動しますが、おおむね5万~15万円程度であることが一般的です。
金銭面で本人・家族の負担が低いことは特別養護老人ホームの最大の特徴と
なっていますが、一方で多くの待機者を生み出す原因ともいえます。
●設備● 居室は個室と多床室に分類されます。
個室は、10人程度の生活単位(ユニット)が設定されていない「従来型個室」と
ユニットごとに共同生活が設置された「ユニット型個室」の2種類があります。
また、多床室はその名の通りひとつの部屋に多くのベットが並んだ形態です。
これまででは多床室や従来型個室で構成された施設がほとんどでしたが、
現在は徐々にユニット型個室への切り替えが進められています。
また、居室内にはキッチンやトイレは設けておらず、共同設備としてトイレや
浴室(機械浴室)が備えられています。
介護老人保健施設は、一般的な入居を経て、在宅での生活への復帰を目指していく施設となります。
特別養護老人ホームと比較して、医療ケアが格段に充実している点が大きな違いとなっており、
わかりやすく言えば在宅と病院のちょうど間にあたる存在と言えるでしょう。
痰の吸引や気管切開、胃ろうといった常時医療が必要となる方も、受け入れる体制が整えられています。
施設内には、医師をはじめとして介護士や看護師、あるいはリハビリを担当する作業療法士・理学療法士
が在籍します。各利用者に合わせた目標が設定されており、専門スタッフたちが適切なケア・サービスを
提供します。
●概要・入居の条件● 入居に際しては、各施設の該当窓口への申し込みが必要となります。
65歳以上で要介護認定1以上を受けている方が対象となるほか、
施設での対応可能な医療ケアに応じて別途条件が異なる場合もあります。
特に、医療体制に関する問題は生命にも影響を及ぼすことが多々あるので、
事前のしっかりとした確認が必要です。
また、申し込みに際しては、健康診断書や身体障がい者手帳の提示を
求められることが一般的です。
入院(通院)先の医療機関からの転院の場合は、医療機関からの紹介状や
看護サマリーの提出も必要となります。
上記書類と合わせて介護の緊急性や本人・家族の資産状況などを総合的に
鑑みたうえで入所が決まります。
覚えておきたいのは、長期入所が一般的な特別養護老人ホームとは異なり
介護老人保健施設では3ヶ月ごとに入退所を判断する検討会議が開催される
ことです。そのため、入所期間は数ヶ月~1年程度となることが多くなっています。
●費用● 初期費用は必要なく、毎月の利用料のみが発生します。
地域や施設によって差がありますが、おおむね毎月8~13万円程度が目安と
なる費用であり、特別養護老人ホームよりはやや高額で、民間運営の各施設
よりはやや割安となっています。
●施設・設備● 特別養護老人ホームと同様に、多床室、10人程度の生活単位である
ユニットが設定されていない「従来型個室」、ユニットごとに生活協同室が
設けられた「ユニット型個室」の3種の居室があります。
ただ、あくまで一般的な入所を前提とした施設であるため多床室・従来型個室
からユニット型への切り替えは進んでおらず、半分以上の居室がまだ多床室で
しめられています。居室の他には、浴室やトイレ・共同生活室といった衝動設備
医師の診察を受けられる診療室やリハビリ用の機能訓練室が備え付けられて
います。