遺言書・エンディングノート作成を専門家に依頼すべき?メリット・デメリットを徹底解説

村上靖

村上靖

テーマ:相続

遺言書やエンディングノートを作成する際、「自分で作るべきか、専門家に依頼すべきか」と悩む方は多いでしょう。専門家に依頼すれば安心ですが、費用もかかります。この記事では、専門家に依頼する場合のメリットとデメリットを詳しく解説します。


専門家にはどんな種類があるのか

まず、遺言書やエンディングノート作成を支援する専門家には、それぞれ得意分野があります。
弁護士
•相続トラブルが予想される場合に最適
•法的紛争の予防・解決が専門
•遺言執行者としても活動可能
•相続全般の法律相談に対応
司法書士
•相続登記(不動産の名義変更)が得意
•遺言書作成サポートも専門分野
•比較的費用が抑えられる
•公正証書遺言の証人も依頼可能
行政書士
•遺言書作成のサポートが専門
•相続関係書類の作成も得意
•最も費用が安い傾向
•公正証書遺言の証人も依頼可能
•ただし裁判所での手続きや訴訟は対応不可
税理士
•相続税対策が必要な場合に不可欠
•節税対策のアドバイスが専門
•財産評価や税務申告に対応
•高額な財産がある場合は相談必須
信託銀行
•遺言信託サービスを提供
•遺言書作成から保管、執行まで一貫対応
•費用は高めだが安心感がある
•長期的なサポートが特徴
ファイナンシャルプランナー(FP)
•エンディングノート作成のサポート
•ライフプラン全体からアドバイス
•保険や資産運用の相談も可能
•法的手続きは他の専門家と連携

遺言書作成を専門家に依頼するメリット

1. 法的に確実な遺言書が作成できる

遺言書には厳格な法的要件があり、少しでも不備があると無効になってしまいます。専門家に依頼すれば、法律に則った確実な遺言書を作成できます。
•日付の書き方、署名・押印の方法など細かいルールを守れる
•文言の曖昧さを排除し、解釈の余地をなくせる
•後々のトラブルを防ぐ内容に調整できる

2. 複雑な相続関係にも対応できる

以下のような複雑なケースでは、専門家の知識が不可欠です。
•再婚していて前の配偶者との間にも子供がいる
•相続人が多数いる、または行方不明の相続人がいる
•法定相続人以外に財産を残したい
•事業承継を考えている
•相続人間で対立が予想される
•障がいのある子供に配慮した相続を考えたい

3. 相続税対策のアドバイスが受けられる

税理士と連携すれば、相続税を最小限に抑える方法を提案してもらえます。
•生前贈与の活用方法
•不動産の評価額を下げる工夫
•配偶者控除や小規模宅地等の特例の活用
•生命保険を使った節税対策
大きな財産がある場合、専門家への報酬以上の節税効果が得られることも珍しくありません。

4. 公正証書遺言の作成がスムーズ

公正証書遺言は最も確実な遺言方式ですが、手続きが複雑です。専門家を指定すれば
•公証役場との調整を代行してもらえる
•必要書類の収集をサポートしてもらえる
•証人を手配してもらえる
•当日の立ち会いもサポート

5. 遺言執行者として就任してもらえる

遺言執行者とは、遺言の内容を実現する人のことです。専門家を指定すれば
•確実に遺言内容が実行される
•家族の負担が大幅に減る
•中立的な立場で手続きを進められる
•相続人間のトラブルを防げる

6. 保管の安全性が高まる

専門家に遺言書の保管を依頼すれば:
•紛失や改ざんのリスクがなくなる
•確実に相続人に届けられる
•定期的な見直しの提案も受けられる

7. 精神的な安心感が得られる

「これで大丈夫」という専門家のお墨付きは、大きな安心材料になります。家族に対しても「専門家に依頼した」と伝えることで、遺言の重みと信頼性が増します。

遺言書作成を専門家に依頼するデメリット

1. 費用がかかる

これが最大のデメリットです。専門家への報酬は決して安くありません。
相場の目安
•弁護士:10万円〜30万円以上(財産額による)
•司法書士:5万円〜15万円程度
•行政書士:3万円〜10万円程度
•税理士:相続税申告込みで数十万円〜
•信託銀行の遺言信託:初期費用30万円前後+執行時に財産の1〜3%
さらに公正証書遺言にする場合は、公証役場への手数料も別途必要です。

2. 時間がかかる

専門家との相談、必要書類の収集、内容の検討など、完成までに時間がかかります。
•初回相談から完成まで1〜3ヶ月程度
•複雑なケースではさらに長期化
•専門家とのスケジュール調整が必要
自筆証書遺言を自分で書けば数時間で完成しますが、専門家に依頼するとそうはいきません。

3. 専門家選びが難しい

どの専門家に依頼すべきか判断が難しいケースもあります。
•相続や遺言に詳しい専門家を探す必要がある
•専門家によって提案内容が異なることもある
•相性の良い専門家を見つけるまで時間がかかる
•悪質な業者に引っかかるリスクもゼロではない

4. プライバシーを開示する必要がある

専門家に依頼するには、財産状況や家族関係など、プライベートな情報をすべて開示する必要があります。
•財産の詳細を知られることへの抵抗感
•家族の事情を話すことへの心理的負担
•秘密を守ってもらえるか不安
もちろん専門家には守秘義務がありますが、心理的なハードルを感じる方もいるでしょう。

5. 変更のたびに費用がかかる

遺言は何度でも書き直せますが、専門家に依頼している場合、変更のたびに費用が発生します。
•小さな修正でも報酬が必要
•気軽に変更しにくい
•自筆証書遺言なら自分で無料で書き直せる

6. 過度に複雑な内容になる可能性

専門家が関与すると、法的には完璧でも、内容が複雑になりすぎることがあります。
•家族が理解しにくい専門用語が並ぶ
•シンプルでよかったのに複雑化
•本当に必要な内容かの判断が難しい


エンディングノート作成を専門家に依頼するメリット

1. 漏れなく網羅的に作成できる

専門家のサポートを受ければ、重要な項目を見落とすことがありません。
•自分では思いつかない項目も提案してもらえる
•相続手続きに必要な情報を的確に記載できる
•デジタル資産など新しい項目にも対応

2. 法的アドバイスと組み合わせられる

エンディングノート作成の相談をきっかけに、遺言書の必要性など法的なアドバイスも受けられます。
•エンディングノートだけでは不十分な部分を指摘してもらえる
•遺言書とエンディングノートの使い分けがわかる
•トータルな終活プランを立てられる

3. 相続全体を見据えたアドバイス

ファイナンシャルプランナーなどに依頼すれば、相続や資産管理全般のアドバイスが受けられます。
•保険の見直し提案
•資産配分のアドバイス
•老後資金の計画立案

4. 家族へのヒアリングも支援

専門家が家族との話し合いをファシリテートしてくれることもあります。
•家族で話しにくいことも第三者が入ることで話しやすい
•公平な視点でアドバイス
•家族間の意見調整

エンディングノート作成を専門家に依頼するデメリット

1. 法的効力がないものに費用をかける

エンディングノートには法的効力がないため、高額な費用をかける必要性は低いと言えます。
•市販のエンディングノートなら1,000〜3,000円
•専門家に依頼すると数万円かかることも
•費用対効果を考える必要がある

2. 自分らしさが薄れる可能性

専門家の作成支援を受けると、テンプレート的な内容になってしまうことがあります。
•個性的なメッセージが書きにくい
•形式的な内容になりがち
•自由度が下がる

3. 気軽に書き直せない

専門家と一緒に作ったという意識が強いと、自分だけで気軽に書き直しにくくなります。
•変更のたびに相談すべきか迷う
•自分のペースで更新できない
•心理的なハードルが上がる

自分で作成するべきか、専門家に依頼するべきか

自分で作成するのが向いているケース

遺言書
•財産がシンプル(自宅と預貯金のみなど)
•相続人が配偶者と子供だけなど単純
•法定相続分通りでよい
•相続税がかからない程度の財産額
•費用を抑えたい
•まずは気軽に始めてみたい
→ 自筆証書遺言を自分で作成し、法務局の保管制度を利用するのがおすすめ
エンディングノート
•自分のペースで書きたい
•個性的な内容にしたい
•何度も書き直したい
•費用をかけたくない
→ 市販のエンディングノートを購入して自分で記入するのがおすすめ

専門家に依頼するべきケース

遺言書
•財産が多い、または複雑(複数の不動産、株式、事業など)
•相続人が多い、または複雑な関係
•相続税がかかる可能性がある
•特定の人に多く残したい、または法定相続人以外に残したい
•相続人間でトラブルが予想される
•事業承継を考えている
•障がいのある子供がいる
•確実に有効な遺言書を作りたい
→ 弁護士、司法書士、行政書士に依頼して公正証書遺言を作成するのがおすすめ
エンディングノート
•相続全体の相談もしたい
•何を書けばよいかわからない
•家族との話し合いをサポートしてほしい
•資産管理や老後資金の相談もしたい
→ ファイナンシャルプランナーや終活アドバイザーに相談するのがおすすめ

費用を抑えながら専門家を活用する方法

専門家への依頼は高額ですが、工夫次第で費用を抑えることも可能です。

1. 無料相談を活用する

多くの専門家が初回相談を無料または低価格で提供しています。
•複数の専門家に相談して比較検討
•自分で作成する前にアドバイスだけもらう
•本当に専門家が必要か判断する材料にする

2. 部分的に依頼する

すべてを任せるのではなく、必要な部分だけ依頼する方法もあります。
•自分で下書きを作り、チェックだけ依頼する
•難しい部分だけ相談する
•書類収集は自分で行う

3. 自治体の無料相談を利用する

多くの自治体が弁護士や司法書士による無料相談会を開催しています。
•市役所や区役所の法律相談
•司法書士会、弁護士会の無料相談
•終活フェアやセミナーでの相談コーナー

4. 簡易な方法から始める

まずは自分で自筆証書遺言を作成し、財産が増えたり状況が複雑になったら専門家に依頼する、という段階的アプローチも有効です。

まとめ:状況に応じて賢く選択しよう

遺言書やエンディングノートの作成に専門家が必要かどうかは、あなたの状況次第です。
専門家に依頼すべき明確なサインは
•相続税がかかる可能性がある
•相続人の関係が複雑
•不動産や事業など財産が複雑
•トラブルが予想される
•確実性を最重視したい
まずは自分で始めてもよいケースは
•財産も相続人もシンプル
•費用を抑えたい
•とりあえず何か始めたい
大切なのは、「完璧を求めて何もしない」よりも、「まずは始めること」です。自分で作成してみて不安があれば、その時点で専門家に相談すればよいのです。 また、遺言書は専門家に、エンディングノートは自分で、という組み合わせも賢い選択です。それぞれの特性を理解し、あなたの状況に最適な方法を選びましょう。
人生の最期に向けた準備は、決して暗いものではありません。大切な人への思いやりであり、自分の人生を見つめ直す貴重な機会でもあります。専門家の力も借りながら、納得のいく準備を進めていきましょう。

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村上靖
専門家

村上靖(行政書士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー)

行政書士村上事務所・南伊東リゾート

行政書士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーの資格を活かし、幅広い知識と視点から提案。遺された家族が笑顔で相続できるよう、遺言書、エンディングノート、相続不動産の売買・活用をサポートします。

村上靖プロは静岡新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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