今気になる 相続土地国庫帰属制度 完全ガイド
人生の終わりに備えて自分の意思を残しておくことは、残される家族への最後の思いやりです。その手段として「遺言書」と「エンディングノート」がありますが、この二つには大きな違いがあります。それぞれの特徴を理解して、適切に活用しましょう。
1. 法的効力の有無:最も重要な違い
遺言書は法的に効力を持つ文書です。民法に定められた方式に従って作成すれば、財産の分割方法や相続人の指定など、法的に強制力のある内容を記載できます。裁判所や相続手続きで正式な文書として扱われます。
一方、エンディングノートには法的効力がありません。あくまで「希望や想い」を伝えるための記録であり、相続や財産分割において法的な拘束力はありません。しかし、家族にとっては故人の気持ちを知る貴重な手がかりとなります。
2. 作成の目的:何を伝えたいのか
遺言書の目的
•財産の分割方法を明確に指定する
•相続人を指定または廃除する
•遺言執行者を指定する
•相続トラブルを未然に防ぐ
エンディングノートの目的
•自分の人生を振り返り整理する
•葬儀やお墓の希望を伝える
•大切な人へのメッセージを残す
•銀行口座、保険、サブスクリプションなどの情報を整理する
•医療や介護の希望を伝える
•家族が困らないように実務的な情報を残す
3. 作成時期:いつ作るべきか
遺言書は、財産を持ち、相続について明確な意思がある場合に作成します。特に以下のような状況では早めの作成が推奨されます。
•財産が多い、または不動産を所有している
•相続人が複数いる
•特定の人に多く財産を残したい
•法定相続人以外に財産を残したい
•事業を営んでいる
年齢に関わらず、必要性を感じたときが作成のタイミングです。
エンディングノートは、年齢や健康状態に関わらず、思い立ったときに始められます。
むしろ元気なうちに少しずつ書き進めることで、自分の人生を見つめ直す良い機会にもなります。40代、50代から始める人も増えています。
4. 作成方法:どう作るのか
遺言書の作成方法
遺言書には主に3つの種類があります:
自筆証書遺言
•すべて自筆で書く(パソコン不可、ただし財産目録はパソコン可)
•日付と署名・押印が必要
•費用がかからない
•法務局で保管制度を利用可能(2020年7月開始)
•方式に不備があると無効になるリスクがある
公正証書遺言
•公証役場で公証人に作成してもらう
•証人2名が必要
•費用がかかる(数万円程度)
•最も確実で安全
•原本が公証役場に保管される
秘密証書遺言
•内容を秘密にしたまま、遺言の存在のみを公証人に証明してもらう
•あまり利用されない
エンディングノートの作成方法
エンディングノートは自由な形式で作成できます:
•市販のエンディングノート専用冊子を使う
•普通のノートに自由に書く
•パソコンやスマートフォンのアプリを使う
•手書きでもデジタルでもOK
•何度でも書き直せる
•決まった形式がないので気軽に始められる
5. 記載内容:何を書くのか
遺言書に書くべき内容
•財産の分割方法(不動産、預貯金、株式など)
•特定の人への遺贈
•相続人の廃除または認知
•遺言執行者の指定
•祭祀承継者(お墓を継ぐ人)の指定
※感謝の言葉などは「付言事項」として記載できますが、法的効力はありません。
エンディングノートに書く内容
•自分の基本情報(本籍、マイナンバーなど)
•人間関係(家族、親戚、友人の連絡先)
•財産の一覧(銀行口座、証券口座、不動産、ローンなど)
•保険や年金の情報
•クレジットカード、各種会員情報
•デジタル資産(SNSアカウント、サブスクリプション)
•医療・介護の希望(延命治療、臓器提供など)
•葬儀の希望(宗教、形式、呼んでほしい人)
•お墓の希望
•大切な人へのメッセージ
•ペットのこと
•趣味や思い出
6. 保管方法:どこに置くか
遺言書
•自筆証書遺言:法務局の保管制度を利用するのが最も安全
•法務局を利用しない場合:貸金庫、弁護士・司法書士に預けるなど
•公正証書遺言:原本は公証役場に保管、正本・謄本を自分で保管
•家族に存在と保管場所を伝えておくことが重要
エンディングノート
•自宅の分かりやすい場所に保管
•家族に存在と保管場所を必ず伝える
•見つけてもらえなければ意味がない
•定期的に見直して更新する
7. 費用:いくらかかるのか
遺言書
•自筆証書遺言:基本的に無料(法務局保管は3,900円)
•公正証書遺言:数万円〜(財産額による)
•専門家への相談費用:別途必要な場合あり
エンディングノート
•市販の冊子:1,000円〜3,000円程度
•普通のノート:数百円
•アプリ:無料〜数千円
•ほとんど費用がかからない
8. 変更・修正:後で変えられるか
遺言書
•いつでも新しい遺言書で上書き可能
•日付が新しいものが有効
•ただし、変更のたびに法的要件を満たす必要がある
•公正証書遺言の変更は再度公証役場へ
エンディングノート
•自由に何度でも書き直せる
•訂正や追記も自由
•定期的な見直しが推奨される
•気軽に更新できるのがメリット
まとめ:両方を活用するのがベスト
遺言書とエンディングノートは、対立するものではなく補完し合うものです。 遺言書で法的に効力のある財産分割の意思を明確にし、エンディングノートで日常的な希望や想い、実務的な情報を伝える。この両方を用意することで、残される家族の負担を大きく減らすことができます。 「まだ早い」と思うかもしれませんが、明日何が起こるかは誰にもわかりません。元気なうちに、まずはエンディングノートから始めてみてはいかがでしょうか。そして財産や相続について具体的な希望があれば、専門家に相談しながら遺言書の作成も検討しましょう。 あなたの想いを確実に伝えること。それは、大切な人への最後の、そして最大の贈り物となるはずです。



