年間15万件超

合祀墓が一般墓を上回りました。
戦後約80年、お墓がようやく家族に追いついた
今年3月に発表された鎌倉新書の「お墓の消費者全国実態調査」で、目を引く結果がありました。
新たに購入されたお墓のうち、合祀墓・合葬墓が16.4%となり、一般墓(15.2%)と納骨堂(15.5%)を上回ったのです。
行政も動いています。
総務省が2023年に公表した調査では、公営墓地・納骨堂を持つ市町村の58.2%で、縁故者のいない「無縁墳墓等」が発生していました。また、合葬式の施設を設けている市町村は、すでに4分の1(25.5%)にのぼります。
■お墓にだけ残った「家」
少しだけ、法律の話をさせてください。
1947年、日本国憲法の施行にあわせて民法が改正され、「家」制度は廃止されました。
ところが、お墓や仏壇などの「祭祀財産」は一般の相続財産とは切り離され、「慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者」が引き継ぐことになりました(民法897条)。
つまり、法律上の「家」はなくなったのに、お墓の世界にだけは「家」の考え方が、慣習として残り続けたのです。
翌1948年に制定された墓地埋葬法も、お墓を誰かが継いでいくことを前提とした仕組みのままです。
■制度より先に、暮らしが変わった
けれども、人の暮らしは制度を待ってはくれません。
子どもが遠方に住む、継ぐ人がいない、夫婦だけの世帯が当たり前になる…。
一つひとつのご家族が、自分たちにとって無理のない、納得できる形を選んできました。
その長年の積み重ねが、今回の数字なのだと思います。
大げさに言えば、「個人の尊厳」をうたった憲法の精神が、約80年かけて、お墓に残っていた「家」の慣習をほどいた、と言えるのかもしれません。
■本当に「迷惑をかけたくない」だけなのか
お墓選びの理由として、いちばんよく伺うのは「子どもに迷惑をかけたくない」というお言葉です。
これは間違いなく本心だと思います。
ただ、それだけではないのでは、とも感じています。
「長男だから」「本家だから」「先祖代々だから」
ご本人も言葉にしてこなかった、そうした暗黙の縛りから自由になりたいという気持ちが、心のどこかにあったのではないでしょうか。
「迷惑をかけたくない」は、子どもへの思いやりであると同時に、ご自身を解き放つための、いちばん口にしやすい言葉なのかもしれません。
■「自由」と「何でもいい」は違う
ただし、縛りから自由になることと、深く考えずに選ぶことは別です。
たとえば合祀墓系は、一度納めると遺骨を取り出すことができません。
また、後になって「やはり手を合わせる場所がほしかった」と感じるご家族もいらっしゃいます。
一般墓も、樹木葬も、合祀墓も、どれが正しいということはありません。
大切なのは、罪悪感からでも、しきたりからでもなく、ご家族が納得して選ぶことだと思っています。
皆さまは、どう思われますか。


