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日本の食文化を守るため、効率的で生産性の高い米作りで農業を持続可能な産業へ

「日本の米は日本人で守る」新たな栽培技術で可能性を広げるプロ

宮本純

宮本純 みやもとじゅん
宮本純 みやもとじゅん

#chapter1

音響栽培の「踊ら米か」「コマツ~ナ」、再生二期作の「にじのきらめき」、バイオ炭栽培を展開

 「農家さんの高齢化や後継者不足により、お米を作れなくなっています。皆さんが日々の食卓で国産米を食べることができるように、効率的な米作りを通じて、若者が魅力を感じる持続可能なビジネスモデルを確立し、日本の食文化を守りたいと考えています」

 そう語るのは、浜松市の「じゅんちゃんファーム」の代表取締役・宮本純さん。耕作できなくなった農地を預かり、東京ドーム5個分にあたる約25ヘクタールの広大な水田で米を育てるほか、雨水をためて水害を防ぐ治水機能や、多様な生物が息づく生態系の維持に努めています。

 「浜松市は、大手楽器メーカーや楽器関連企業が集まる音楽の街です。地元ならではのブランド米を作りたいと思い、音響栽培による『踊ら米か(おどらまいか)』を手掛けています。もみ殻の状態から田植えまでの期間に本格的な音響機材でモーツァルトを聴かせ、苗を植えた後は、ドローンを飛ばして空から稲に美しい旋律を浴びせています」

 同様に、モーツァルトの楽曲で音響栽培した小松菜「コマツ~ナ」も展開。浜松のブランド野菜として知られ、味の良さからお米とともにプロの目にとまり、さまざまな飲食店で採用されています。

 「当方は、2025年に『再生二期作』も始めました。一期作目に稲を刈り取る際に茎を40cm程度残すことで、もう一度稲穂を実らせる栽培技術です。昨今は、気温が上昇してお米を栽培できる期間が長くなっているので、8月と11月下旬に2回収穫することができます。採れたお米は『にじのきらめき』という商品名で販売しており、大粒で食べ応えがあると好評です」

#chapter2

1度の田植えで2回収穫できる栽培技術などで、収益を生む仕組みづくりに注力

 以前は、大手宅配業者のセールスドライバーとして浜松営業所に勤務していた宮本さん。日本各地で米作りができなくなった人の田んぼが、他の人に任されるようになり、稲作をしていた自身の父も広い面積を担うように。

 年齢を重ねて体力的に負担が大きくなったのを受け、また日本の米作りを案ずる気持ちもあり、13年間勤めた会社を退職して父の後を継ぎ、2019年に法人化しました。

 「私にも子どもがいますが、このまま農業従事者が減っていくと、子どもたちや孫の世代が『日本のお米を食べることができないのでは』という不安があります。燃料費や物流費の高騰などを背景に『農業はもうからない』と、なり手がいないのが実情です。私は先細りする状況をなんとか打開し、日本の食料自給率や就農者を増やさなければと、使命感のようなものを感じました」

 農家のもとから農作物が市場に出回るには、農協や運送、卸、店舗と幾重にも業者が入り、手数料が引かれます。作り手が利益を確保できない構造を変えるため、モーツァルトを聴かせる音楽育ちの商品で差別化を図ったり、1度の田植えで2回収穫できる栽培技術で生産性を高めたり、収益を生む仕組みづくりに力を注いでいます。

 「例えば、従来の手作業や大型機械では1日かかっていた作業が、ドローンで種もみを直播きすることでわずか10分で終わることもあります。農薬や肥料の散布も人件費をかけず、短時間で済ませることができます。テクノロジーを利用して省力化も実現することができれば、農業で収益を確保する道筋が見えてきます」

#chapter3

バイオ炭を用いる水稲栽培や、畑に作付けする陸稲栽培で、農業の可能性を追求

 宮本さんは2026年から、バイオ炭製造技術を活用した「水稲栽培」にも取り組んでいます。「バイオ炭」は、廃棄野菜を炭化処理して肥料にするもので、名古屋大学大学院とスタートアップ企業が開発しました。

 「産業廃棄物としてお金をかけて処分していた野菜を、有効活用する技術で循環型農業も推進できると期待しています。肥料の原料は輸入に頼っている中、バイオ炭の記事を見た時に『これだ』と思い立ち、米と小松菜の試験栽培に使用しています。開発元の実証実験ではホウレンソウの収穫量が3倍になったため、お米や他の野菜ではどんな結果になるか楽しみです」

 さらに、水を張らない畑で作付けする「完全陸稲栽培」にも挑戦。バイオスティミュラント(生物刺激剤)という肥料や農薬とは異なる農業資材を用い、微生物などの働きにより成長を促します。

 「北海道の農業用水がない環境で、米を収穫できたというニュースを聞き、可能性を見いだしました。弊社ではビールの製造過程でできる酵母を使っています」

 「農業で黒字は難しい」と言われる現状を改革すべく、陸稲栽培にバイオ炭を組み合わせるなど、有用な技術を積極的に導入。生産業務の効率化と生産量の向上を目指しています。

 「農業は社会にとって必要な存在です。小さな会社ですが、従来の常識をひっくり返し、自動車やIT業界に負けないくらい給料をもらえる仕事にしたいです。若い世代が参入したいと思える、将来性のある産業に発展できるように、新しいノウハウを取り入れていきたいですね。食糧生産はインフラとも言えます。多くの国内企業さまを巻き込んで資金調達や技術力、流通、販売のノウハウをご協力いただきながらオールジャパンで日本の食を守ります!」

(取材年月:2026年7月)

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宮本純

「日本の米は日本人で守る」新たな栽培技術で可能性を広げるプロ

宮本純プロ

農業

株式会社じゅんちゃんファーム

再生二期作やドローン直播き、バイオ炭活用などの新たな技術を積極的に導入。生産コストを抑えながら収穫量の向上を目指し、農業で利益が残り生産者と消費者双方が喜べる経営モデルの実現に取り組んでいます。

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