夜間対応で患者様のもとに向かいました
薬剤師とは?
富士市富士宮市にて在宅医療に携わっている薬剤師の栗原です。
今日は「薬剤師とは?」という問いに対して書いていきたいと思います。
と言いますのも、薬剤師は人口比率から言うと日本人の1000人に1人。短いな存在でいるようでいて、意外と疎遠な関係のようにも感じるからです。
薬剤師は薬局内では多くの場合「白衣」を着ています。実は薬剤師は、病院内で働く従労者の中では数少ない「化学系」の修士を持っている存在なので、少し遠い存在と感じられるのかもしれません。
でも今は薬剤師は厚生労働省からも「対人」の働きが求められているということもあって、もっと薬剤師という存在を少しでも身近に知ってもらいたいと思ってます。
薬剤師の働きとは?
1)処方箋に基づいてお薬をお渡しする
何より薬剤師は、処方箋を取り扱うことのできる唯一の職務です。日本では例外的に医師も、自らの書いた処方箋に基づいてのみ、お薬を取り揃えることが認められていますが、それは過疎地などで薬剤師がいない場合と受け止めるのが自然です。
処方箋を準備できても、時に対応するお薬がないということもあります。そのためお薬を在庫として抱えるのは薬局の重要な働きです。
世の中にはいろいろな疾病がありますから、お薬の在庫を抱えるのも結構大変なことです。そのため、一般には病院で処方箋を受け取った時、その近郊にある薬局に向かうのが、1番、お薬をすぐに受け取れる可能性の高い選択となります。その病院から処方されるお薬の多くを門前の薬局は在庫として抱えているものだからです。
ただし、問題は、大きな病院の前の薬局は人が混んで、場合によっては1時間以上、薬局で待たされることも少なくない
ということです。ですからかかりつけの薬局もしくは薬剤師を選んで、時間に余裕を持って通うことをお勧めします。
2)患者様の症例に基づいてOTCを提案する
薬剤師はいわゆるドラッグストアにもいます(今は薬学部卒業後、直にドラッグストアに就職する人も増えてきました)。比較的大きなドラッグストアでは処方箋も取り扱っていることが多いので、薬剤師がいる場合が多いです。
しかし薬剤師は、処方箋を取り扱うだけでなく、一般にOTCとして売られているお薬を患者様に紹介する働きも担っています。
様々なOTC製品が売られているため、出来たらOTCに強い薬剤師を見つけて、普段から色々と質問しておくと良いと思います。いざという時になって、良い相談者となる可能性が高いからです。
3)病院内で検査データを参照しつつ、薬学的管理を行う
病院内にも薬剤師はいます。大きな病院の中には、数十名の薬剤師がいます。病院内では看護師がお薬を病室にお届けして服用していただくので普段はあまり見かけることはないかもしれません。ただ、最近は医師の定期巡回に一緒についてくる薬剤師や、新しいお薬が出た場合に、確認のために薬剤師が病室に訪れることも多くなっていると思います。
病院内の薬剤師は、患者様の様々なデータを参照することができます。病院前の薬局やドラッグストアではなかなかそうはいきませんが、検査データや医師の問診の情報に基づいて聞き取りをすることが出来るので、その点ではより深い働きをすることが出来るわけです。
ただし、病院「外」の薬剤師の働きは、これに対して、病院内でのデータな基づかないで、フラットに患者様に接することの出来るというメリットもあります。そのため、先入観なしに医師や看護師が見落とした前提に気がつくこともあるわけです。
4)自宅に訪問し、患者の生活状態を背景に服薬指導する
こちらはより、現代の医療の事情に即した新しい薬剤師の働き方といえます。つまり、高齢者が増えてきて、病院の病床が足りない。そのため、自宅で療養を行う人が増えてきているので、自宅にお薬をお届けする必要が生じました。
自宅に訪問した薬剤師は、患者様の生活の様子を見ながら、より良い服薬のために知恵を絞ることになります。
4)ビデオ通信を用いて、処方箋に基づいてお薬を配送する
最近は大手のインターネットショップを通して処方箋情報を送り、お薬が自宅に配送されるという環境が整ってきました。処方箋の写メを撮って、たとえば沖縄などの遠隔地の薬局に送り、ビデを通信で服薬指導を受けて、お薬は郵送してもらう、ということが可能になってきました。もし手元にお薬の余裕があったり、疾病が安定した状態であれば、そういうお薬の受け取り方も選択肢の一つと言えます。
何が違うか?
1)免許上は全く同じ働き
以上のように薬剤師の働き場所は病院、門前、ドラッグストア、在宅系と、今の時代は色々とありますが、どれも同じ「薬剤師」という免許に基づく働きです。環境の違いから来る働きの姿は違いがあり、そのため病院薬剤師は病院薬剤師の、ドラッグストアの薬剤師にはドラッグストアなりの経験値の違いが生じます。よって強みがそれぞれ異なっているわけです。
2)働く環境の違いからくるもの
すでに述べたように病院の薬剤師は検査データなどを自由に院内データベースを通して見ることができますから、その点での強さはあります。ただし、その反面、もしかしたら生身の人間同士としての触れ合いは少ないのかもしれません。
門前や在宅、あるいはインターネットを主戦場とする薬剤師なら、もっとコミュニケーションを通して患者様を知るという能力が必然的に高くなります。それは病院内ではもしかしたらなかなか手にできない性質のものかもしれません。
3)薬剤師の適性からくる違いは確かにある
結局のところ大事なことは、薬剤師も自分の適性を知って、自分を最も活かすことの出来る場所で働きをしていくということだと思います。
薬剤師をどう利用するか?
1)自分でお薬について知っていることは薬剤師に確認してみることが大事
そこでここからは、薬剤師という働きがどういうものか知っていただいた上で、患者様の立場として薬剤師をどう生かして自分のメリットを生み出すか?について考えていただきたいと思うのです。
今はインターネットを通して、健康に関わる情報を色々と集めることの出来る時代です。テレビ番組を通して医療の専門家の意見を聞く機会も少なくありません。
ただし、問題は、医学的なことや薬学的なことに関して専門的な教育を受けたことがないと、情報の偏った受け止め方や、前提理解の不足で、大きな誤解を生じてしまうことがあるということです。
例えば糖質ダイエットといっても、それは単純に糖分を摂らなければ良い、というものではありません。炭水化物もまた体内で分解され糖質に変わるため、炭水化物の摂取も控える必要があります。さらにはどの程度のダイエットが健康的にふさわしいのかといったことに関しても、偏った理解はとても問題があるといったことです。
そこで、もしも健康上のことやお薬の理解について、自分の信じていることや理解している事柄があるとしたら、それを薬剤師に伝えてほしいと思うのです。それは正しいことかもしれないし、注意点の必要な知見かもしれないからです。
専門的な教育を受けているということの大きな利点は
1)何か新しい情報に対して、体系的な視点からその意味(価値)を理解することが出来る 2)バランスよく、事柄を理解することができる
といったことなのです。
2)薬剤師は疾病それ自身の専門的知見を有する
また薬剤師は、何も「お薬」そのものについてのみ、専門性があると思われるのも少し残念です。お薬の専門である以上は、それが体内に入った時にどのように働くのか?についての専門でもあるということを意味するからです。例えばお薬が体内に入ってからどのように作用し、どのように体から排出されていくのかについての専門性は、薬剤師の専売特許とも言えるものです。
さて今日は、薬剤師としての働き方の違いの説明から始まって、そのような薬剤師をどのように役に立てていただきたいかを書いてみました。薬剤師にもいろいろですから、こういったことは皆様にも知っていただきたいことだと思ったのです。薬剤師をどう役立てるか?それをどう自分のメリットに繋げていくか?薬剤師も使い方次第というわけです。