薬剤師って結構怖い
富士市富士宮市にて在宅医療に携わっている薬剤師の栗原です。
暑い季節が続いてます。学校では熱中症アラートが毎日のように出ています。
1)熱中症アラートって何?
でも、熱中症アラートってなんなんでしょうね?わたし個人の感想としては最近、一般に認知されるようになってきた指標だと感じます。しかし4年前くらいから国家的な対策として気象庁や環境省が中心となって対策を立ててきました。2020年には【 第1回 熱中症予防対策に資する効果的な情報発信に関する検討会】が開かれ、熱中症についての国民への啓蒙ならびに情報データベースの作成が志されてきました。
https://www.wbgt.env.go.jp/sp/
(上記は環境省が準備した熱中症予防のための情報サイトです)
2)熱中症になる要因
熱中症というのは、単に気温が高くなると罹りやすくなるというものではありません。気温はもちろんですが、そこに湿度、直遮光(熱)並びに輻射(ふくしゃ、要するに照り返しの日光と熱)が絡んでくるのです。
3)熱中症のかかりやすさの指標としてのWBGT
熱中症にかかる指標として制定されたのが暑さ指数で、WBGTと言います。
気温、湿度、日光を掛け合わせて以下の様な計算式で数値を弾き出します。
WBGT =0.7 ✕ 湿球温度 + 0.2✕ 黒球温度 + 0.1 x 乾球温度
この計算式を見ますと「温度」が重要なことは分かるのですが、他に「湿球」とか「黒球」とか「乾球」とか出てきます。
この写真のものは少しタイプが古い計測器ですが、逆にその分、分かりやすくはあります。
4)湿球温度とは?
「湿球」とは、通常の温度計の水銀玉を濡れたガーゼで包んだ状態で計測される温度です。濡れたガーゼは乾燥により水分が蒸発する時、水銀玉の表面ら熱を奪っていきます。つまり、乾燥しやすければそれだけこの「湿球温度」は比較的、高く計測されるということが分かります。
体が暑い時にどうやって熱を体外に放出するかというと、以前書いた下の記事で紹介しました。
https://mbp-japan.com/shizuoka/fujiyama/column/5168263/
生理的な反応として体の熱を下げるためには、汗をかいて体の表面に水分を出し、それが蒸発する時に熱を奪っていってくれることを利用しています。
乾きやすいということは大気の湿度が低いということです。気温が高くても湿度が低ければ、このWBGTは数値として低く出るということになります(数値は高くなるほど熱中症の発生頻度が高くなります)。
5)黒球温度とは?
「黒球(こっきゅう)」というのは、簡単にいうと温度計の水銀球を黒く塗り、当たる直遮光による熱やや輻射熱(ふくしゃねつ、地面や壁からの照り返しによる熱)を残さず吸収するための温度計です。
でも、先ほどの「湿球」の計算式が0.7の割合だったのに対してこちらは0.2と、全体に占める割合は低くなってます。熱中症にとって重要なのは、やはり汗の「乾きやすさ」に関わる湿度なのです。
6)乾球温度とは?
最後は「乾球」温度。こちらは通常の温度計のことで、単純に気温のことと考えて差し支えありません。
上記のデータを見ると、WBGTの値が28を変えたくらいから急に熱中症にかかる患者数が上昇していることがわかります。熱中症アラートが鳴るということは、このWBGTの数値が28に近くなった時ということになります。
7)熱中症対策は国民全般に関わる課題です
熱中症の問題が社会現象にまでなったのは、平成30年の夏場の4ヶ月間に熱中症患者として救急搬送された人が95,000人を超えたのが一つのきっかけでした。
救急搬送された人はやはり東京や愛知県、大阪、神戸といった都会に多いのですが、人口割合から言うと、全国的に、秋田や高知、鳥取と地方の方が発生率が高くなっていることがわかります。
ということは、熱中症というのは都心といった特別な地理的要因によるのではなく、日本の気候風土と、さらに地球の温暖化の傾向が絡んでいるということが言えます。
熱中症にはどういう状況でかかりやすいのかをよく理解し対策していくことが大切です。
対策方法を簡単に紹介すると
・こまめに水分補給すること
・気分が悪くなったら日陰で休むこと
・運動中にはミネラル補給を心がけること
詳しくは、以下のサイトにまとめております。
●食べ物、飲み物などについては以下
https://mbp-japan.com/shizuoka/fujiyama/column/5168263/
●エアコン、扇風機の使い方については以下
https://mbp-japan.com/shizuoka/fujiyama/column/5167733/
●夏場の、アイスクリームやビールとの付き合い方については以下
https://mbp-japan.com/shizuoka/fujiyama/column/5167541/