処方箋の取り扱いの上で薬剤師が気をつけている点はここです Key points that pharmacists pay attention to when handling prescriptions
富士市・富士宮市で在宅医療に携わっている薬剤師の栗原です。
暑い日が続いていますが、皆さんはどのように日々を乗り切っておられるでしょうか。
仕事、勉強、家庭のこと。
30代という年代は、責任も裁量も増え、「ここが踏ん張りどころだ」と感じる場面が少なくありません。
多少、体に無理をかけても、乗り越えなければならない局面が人生には確かに存在します。
そうした局面で、多くの方が頼りにするのが、手軽に入手でき、即効性を期待できる栄養ドリンクやエナジードリンクではないでしょうか。
忙しい朝、残業前、試験やプレゼンの直前。
「とりあえず1本」という選択は、もはや現代のビジネスシーンに組み込まれた習慣とも言えます。
目次
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1) 栄養剤とエナジードリンクは“同じもの”なのか?
ここで一度、立ち止まって考えてみたいと思います。
栄養剤とエナジードリンクは、果たして同じものなのでしょうか?
それとも、似て非なる別物なのでしょうか?
実はこの違いが曖昧なまま使われていることが、思わぬ体調不良やパフォーマンス低下につながることがあります。
言い換えれば、プロダクトの特性を理解しないまま使っている状態です。
たとえば、
エナジードリンクを「栄養剤と同じ効果があるはず」と期待して飲み続けても、期待した成果は得られません。
むしろ、カロリーやカフェインの過剰摂取によって、集中力や睡眠の質が落ちるといった、逆効果すら起こり得ます。
結論をシンプルに言うと、
栄養剤には薬機法に基づき、効能効果が認められた成分が含まれている
一方で、エナジードリンクにはそれがありません。
これは、「エナジードリンクに意味がない」という話ではありません。
ポイントは、
疾病や症状に対して、医学的・薬理学的に裏付けのある“直接的な作用”があるかどうか
という点です。
どちらもビタミンやカフェインなど、日常の食事より高濃度の成分を含んでいるため、使い方を誤るとリスクが生じるのは共通しています。
そこで今回は、
栄養剤とエナジードリンクの違いを整理し、賢く使うための視点をお伝えします。

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2) リポビタンDは「栄養剤」という市場をつくった
日本における栄養剤の原型は、リポビタンDです。
それ以前にも、アンプル剤(注射用の小型ガラス容器)などは存在していましたが、「大人が一気に飲み切れる100cc」というスタイルを定着させた点で、リポビタンDの功績は非常に大きいと言えます。
プロダクト設計、ユーザー体験、ブランディング。
今の言葉で言えば、市場を定義し、カテゴリーを確立した成功例です。
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3) 栄養剤に認められている「効能効果」
栄養剤に含まれる主な成分は、
糖類、各種ビタミン、タウリンなどです。
これらは指定医薬品、あるいは医薬部外品として扱われ、「効能効果」を表示することが法的に認められています。
たとえば、
- 疲れている時
- 風邪を引いた時
- 集中力を維持したい時
- 不眠時
- 眼精疲労時
目的が明確であれば、必要な成分をピンポイントで補える。
これは忙しいビジネスパーソンにとって、非常に合理的な選択です。
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4) 栄養剤にも「リスク管理」は必要
医薬品である以上、過剰摂取はリスクになります。
特に注意したいのがカフェインです。
カフェインは脳を覚醒させ、眠気や疲労感を一時的に軽減します。
一方で、摂りすぎると不安感、動悸、不眠、集中力低下
といったマイナスの影響を及ぼします。
海外では、エナジードリンクの過剰摂取による健康被害も報告されています。
水溶性ビタミンは体外に排出されやすいものの、糖分やカフェインは蓄積的に作用します。
カフェインは、
- コーヒー
- 紅茶
- チョコレート
- 風邪薬
など、さまざまな食品・医薬品に含まれています。
気づかぬうちにトータル摂取量が過剰になる点は、ぜひ意識しておきたいところです。
また、服用中の薬との相互作用や、持病との関係も見逃せません。
日常的に飲んでいる方は、一度薬剤師に相談していただくことをおすすめします。
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5) なぜ栄養剤は100ccなのか
多くの栄養剤が100ccである理由には、合理性があります。
成人男性が一口で飲み切れる量
これが定説です。
一気に飲み切ることで、達成感やスイッチが入った感覚が生まれ、集中モードに切り替わる。
これは心理学的にも説明可能な現象です。
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6) オロナミンCはエナジードリンクの原型
オロナミンCは、エナジードリンクの原点とも言える存在です。
こちらは医薬品ではなく、清涼飲料水として販売されています。
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7) エナジードリンクの成分と特徴
主成分は糖類、カフェイン、アルギニン、生薬成分など。
カフェイン濃度自体はコーヒーより低いこともありますが、一度に飲む量が多いため、結果的に摂取量が増える点が特徴です。
短期的なパフォーマンス向上と引き換えに、
長期的な疲労の前借りになっていないか。
ここは冷静に見極めたいところです。
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8) 「味わい」が支持される理由
エナジードリンクは、味や炭酸による飲みやすさも重要な要素です。
「元気のため」だけでなく、「好きだから飲む」という動機が成立しています。
これはブランド戦略としても非常に強力です。
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9) エナジードリンクを3つに分類する
1)オロナミンC系
2)子ども向けデザイン(デカビタなど)
3)海外ブランド(モンスター、レッドブル)
特に3つ目は、ライフスタイルに溶け込むイメージ戦略で若者層に浸透しました。
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10) 手軽さの裏にある落とし穴
エナジードリンクは誰でも買える。
だからこそ、自己管理が求められます。
栄養剤もエナジードリンクも、正しく使えば非常に便利なツールです。
知識を持つことが、パフォーマンスを守る最良の戦略です。




