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夏の冷え性対策には、体の仕組みと対応策への理解がキーポイントです

栗原憲二

栗原憲二

テーマ:生活、健康

富士市富士宮市にて在宅医療に携わっている薬剤師の栗原です。

暑い季節が一気にやってきました。今年はまだ梅雨の時期で湿度が高いのに気温も高いとなると、熱中症アラートもガンガン鳴るというわけです。

こんな時期ですからついつい、エアコンや冷たい飲み物に頼りがちです。そのため夏場の冷え性という症状もよく知られるようになってきました。


そこで今日は暑い季節を乗り切るための知恵を紹介したいと思います。

夏が来ると冷たいものを摂りたくなります。冷たい飲み物は体内にこもった熱を一気に摂るために有効なこともあります。

1)運動時には冷たい飲み物を適度に

特に運動をしている状態では、体内に過剰な熱がこもった状態なので熱を流してあげる必要があります。通常、体の深部は37度前後に保たれていますが、運動による体温上昇で内臓の熱が上がり、熱中症に繋がります。そのため運動をしている際には効果的に冷たい飲料を適度に摂ることが有効です。

ただし、胃の中に冷たいものを取り入れることは、即効性はありますが、消化機能を低下させることで、結果的には夏の気温などへの耐性を減らしてしまうことになります。

2)手のひらや首筋を冷やすのが効果的

そのため、冷たいものを摂りすぎを防ぐためにも、運動の合間には首筋や手のひらに冷たいものを当てることが有効です。首筋や手のひらの皮膚の付近には静脈が近くにあるため、効果的に血液の温度を下げ、体内の熱を流すことができるからです。

実際のところ冷たいペットボトルは、手に持った時点で体を冷やしているのです。

では運動をしていない状態ではどうでしょうか?

3)夏場の冷え性の3つの原因

夏場の冷え性と呼ばれる症状の原因には大きく3つあります。

1つは室内と室外の温度の違い。エアコンの効かせすぎで自律神経が乱れることにつながります。

2つ目は運動不足。発熱作用のある筋肉は、エアコンの効きすぎた室内でも、ある程度、体温の急激な変化から体を守ってくれます。


3つ目は冷たい物の摂りすぎ。適度に水分並びに電解質(ミネラル)を補給すれば良いのですが、甘くて冷たいものの取り過ぎで、返ってミネラルバランスが崩れたり、胃腸の運動を乱すことで食欲不振も生じさせます。


4)適切なエアコンの使用法が大事

最近は熱中症対策としてエアコンの活用が勧められており、夜間も軽いエアコンをかける人も増えています。エアコンは体に良くないと固定観念にとらわれず、エアコンで適度な室温に保つことが夏バテ対策になります


ただし効かせすぎはやはり問題です。夏場の冷え性は現代病の一つと言える症状です。エアコンがガンガンに効いてても、冷たいものをいくら摂っても、うまく内臓の熱を取ることができないことがその特徴です。

過度に冷えた室内の空気は末梢血管を狭め、血行を悪くします。本来なら抹消に血液が流れることで体深部の熱が逃げるのですが、末梢の血管が狭くなることでそれが難しくなるのです。

室内の温度が室外の温度と5℃以上違うと、急な外気の変化に体が反応しきれず、自律神経が乱れることに繋がります。自律神経の乱れは交感神経と副交感神経の優位性がどっちつかずになり、血圧上昇、動悸、息切れを生じさせます。

そのためエアコンの温度設定も、少し物足りないくらいが丁度良いと受け止めて頂きたいです。

5)女性は特に注意が必要

加えて、一般的に言えば男性よりも筋肉量の少ない女性は、エアコンの効かせすぎに用心が必要です。筋肉が少ないということは抹消血管のポンプ機能が低下しているということを意味し、血流の滞留を生じさせます。また熱を産生する筋肉も少ないため、効き過ぎたエアコンが体にダメージを与えやすいのです。

6)ミネラル補給と適度に汗をかくことが大切

大切なことは適度なミネラル補給と無理なく汗をかくことです。

暑い時期に失われがちなミネラル分を補える野菜や、発汗作用のある食べ物は有効です。タンパク質も筋肉量を維持する上で不可欠です。


汗をかくということは自然な体の反応であり、体の恒常性(ホメオスタシス)を維持するために最も体に負担のかからない方法といえます。冷たい飲料やエアコンを適度に利用することは、その恒常性が崩れないための手助けと理解していただくのが良いのです。

7)岩塩を有効に利用するのも1つの方法

ミネラル(電解質)補給としては、最近は経口補水液を利用する方も増えてきました。エネルギーもしくは糖分の多いスポーツドリンクよりも、水分並びにミネラル(電解質)補給としては即効性があります(小腸からの吸収がスムーズになります)。

ただし、手軽に手に入れることができる一方で、1日一本買うとしても、月単位で見れば意外と大きな出費になるため、その代わりに2摘み程度の岩塩をお水に溶かして摂取することがお勧めです。これにラムネを10粒ほど入れると成分としては経口補水液にかなり近くなります。

岩塩には自然なミネラルバランスがあります。非加熱の岩塩であればさらに微量ミネラルを摂取することも可能で、血圧や血糖値を安定に保つなど、多くの効果が期待できます。


暑い夏と向き合うには、正しい体の仕組みの理解と対策方法を心得ることが重要です。皆さんのお役に立てたら幸いです。

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栗原憲二
専門家

栗原憲二(薬剤師)

ふじやま薬局

店舗は整形外科並びに内科、透析医院の処方の授受を受けているため、普段から幅広いお薬を取り扱っています。在宅では、個人宅並びに施設担当。富士・富士宮地区を幅広く車で訪問させていただいております。

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