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日本全国を旅する派遣薬剤師の登場

栗原憲二

栗原憲二

テーマ:門前薬局、病院薬剤師、製薬メーカー、在宅

富士市富士宮市にて在宅医療に携わっている薬剤師の栗原です。

薬剤師の働き方も最近は色々な形があります。


1)薬剤師の働き場所

製薬会社で創薬を志す薬剤師

製薬会社に所属し、新しいお薬を病院に紹介するMRの仕事をする薬剤師

病院・診療所内の調剤を担う病院薬剤師

❹「医薬分業」すなわち薬剤師が自律的な調剤行為によって医師の処方に対する監視役の働きが期待されるようなったのを背景に、院外処方箋対応をする門前薬局の薬剤師


❺今は医療保険料の高騰してくる中で、規制緩和によりドラッグストアでのOTC医療品の取扱が増え、ドラッグストアでの勤務を希望する新人薬剤師が多くなってきている現状です。

ドラッグストアは日用品の取り扱いをすることもあり、高い利益率を保ち、初任給の上で病院薬剤師よりも優遇されている現状です。

2)最近の兆候としての派遣薬剤師

❻最近は、ある程度、調剤薬局で経験を積んだ若手の薬剤師が「派遣薬剤師」という形で全国津々浦々を巡回する人たちも増えてきています。派遣薬剤師、というよりも巡回薬剤師という言葉の方が相応しいかもしれません。


3)派遣薬剤師が求められる背景

派遣薬剤師にどのような需要があるかと言うと、

  • 急に主力となる薬剤師が職場を離れた
  • 妊娠出産(育児休業を含む)で休職者が出た
  • 新規出店で人員が不足し、短期間の、ある程度以上の経験と能力を持つ薬剤師が必要になった


という場合が多いと思います。

4)派遣薬剤師になる1つのパターン

日本にある薬学部のロケーション事情で薬学部を卒業したのちに、新卒薬剤師が首都圏での働きにつくことが多いのは自然なことでしょう(こういったことは、私立の薬学部のある都道府県には新卒の薬剤師が一定数確保されていることも関係しています)。

そしてその首都圏で経験を積んだ若手の薬剤師が、日本全国を旅するかの如く各地に派遣薬剤師として出ていくことになります。


5)派遣薬剤師の厳しい現実

派遣薬剤師に求められるスキルはそれなりのものがあります。派遣元の会社に雇用先が支払う賃金は、月に100万円近くになる場合も少なくありません。それだけ高い賃金を支払っているのだから、仕事はできて当たり前と見なされ、結果として派遣薬剤師は短期間ながらそれなりのストレスのかかる場所での就労を要請されることになります

なにか期待違いだと受け入れ先が見なせば、途端に風向きは変わり、すぐに代理の人間に挿げ替えられることもありますでしょう。それは高い代価を受け取る仕事なので仕方のないことです。そうなると、派遣薬剤師として立っていくことは厳しくなります。

6)経験をたくさん積める働き方でもある

でも逆に言えばそういう環境の中で、成長していく若手の薬剤師も多くいます。

いろいろな受け入れ先で、いろいろな経験を積んだ派遣薬剤師の経験値、能力値はかなりのものになります。

かつてはMRとして製薬会社で働く薬剤師は、何年間かバリバリ働いて、高い賃金をいただいて、貯めたお金で海外に留学するというパターンも多かったと聞きます。いまは派遣という形で、日本全国を回って、旅をしつつ、それなりの賃金を得る・・。

こういう最近の若手薬剤師の働き方って、それなりに魅力あるように感じます(もちろんそれなりの苦労はあるとしても)。


7)いつかは地元に恩返し

でも、本当に患者様の顔と向かい合うことのできる働きというものは、自分の逃げようのない地元であると思います。巡回ならぬ派遣薬剤師として活躍した人たちも、そのうちそういう場所に落ち着くのでしょう。そういう時に、各地で得た経験をぜひ地元の医療業界に還元して行っていただきたいと思っています。

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栗原憲二
専門家

栗原憲二(薬剤師)

ふじやま薬局

店舗は整形外科並びに内科、透析医院の処方の授受を受けているため、普段から幅広いお薬を取り扱っています。在宅では、個人宅並びに施設担当。富士・富士宮地区を幅広く車で訪問させていただいております。

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