薬剤師も使い方次第です
富士市富士宮市にて在宅医療に携わっている薬剤師の栗原です。
介護保険の話をさせていただいてますが、介護保険制度は高齢化に伴う身体的・精神的な機能低下(老化現象)を前提に作られた社会保障制度と言えます。
1)老化現象と言ってもいろいろ
老化現象と言っても、何をもって「老化」と言うのか、少し丁寧な議論が必要です。
たとえば美容的な観点から皮膚のシワやシミが増えることも老化の1つの現象と言えるでしょう。でも介護保険においては「身体、精神的」な機能低下をもって「老化現象」と捉えています。これらのことをまとめて「老年症候群」という呼び方もします。
2)身体的な老化
身体的なものとは以下のような現象てす。
骨粗鬆症、難聴、フレイル、サルコペニア、嚥下障害、誤嚥貧血、便秘、頻尿、肩こり、手足の痺れ、脱水症状・・
手足の痺れとか便秘、肩こり・・。私は整形外科の処方箋も応受しておりますが、整形外科でもよく出会う症状です。高齢化に伴う老年症候群の症状は、整形外科医院の存在意義を大きくしつつあるのかもしれません。
3)精神的な老化
精神的なものとか以下のような症状です。
認知機能低下、せん妄、意識障害、不眠、抑うつ、漠然とした不安症状・・
老齢化に伴い認知機能の低下は頻発するものです。ここでいう認知機能の低下とは、いわゆる認知症といった、脳の気質的な変化に伴うものとは別物と理解することが必要です。記憶力の低下や集中力の低下などを特徴とする症状です。
4)フレイルとサルコペニアを理解しよう
身体的な機能低下のところで「フレイル」と「サルコペニア」というカタカナ語が出てきました。それぞれに身体的な現状を表す言葉ですが、実はそれぞれ語源から理解するとわかりやすくなります。
「サルコペニア」の「サルコ」はギリシャ語で「筋肉」、「ペニア」は「減少」を意味する言葉です。骨格筋の喪失により筋力や身体機能が低下した状態です。
また「フレイル」とは英語で「虚弱」とか「老衰」を意味する言葉です。老化とは、分かりやすいイメージで言うと、「ヨボヨボ」。体重が減少し、筋肉量が減り、歩行速度や身体活動量が低下し、常に疲労感に満ちている状態です。
基本的には各種の要因によって筋肉量が失われれ(サルコペニア)、それに伴って各種の老化現象(フレイル)が出てくると理解して良いでしょう。
「老化現象」がなんであるのかを理解すること。それは身近な人たちの老化現象に気がつくことに繋がります。また自分自身の老化にも気がつくことができれば、早めの対策を立てることも出来ることでしょう。