50歳だけど介護保険証のメリットって、どうやって受けるの?
富士市富士宮市にて在宅医療に携わっている薬剤師の栗原です。
今日は国が事業として行なっている市町村介護保険事業計画について説明したいと思います。
1)高齢世代の孤立傾向
地方自治体では独居の高齢者が増えてきています。わたしの「仕事場」でもある富士富士宮地区でも例外ではなく、子供世帯が首都圏に出ている場合が多くなっています。また子供世代が富士駅近郊に核家族として生活し、親御さんは山寄りのご自宅で生活しておられるというパターンはとても多いです。
2)地域的な関係性を維持する
高齢になってからも自宅で自立した生活を営むというのが理想的なのは間違いありません。ただ、その場合でも場合によっては地域や各種のコミュニティーから孤立してしまう可能性も否定できません。デイサービスを利用するなどして、日々の人との交わりを保つことは心身の健康の上でとても効果的なのは間違いありません。
3)国による介護支援事業
「市町村介護保険事業計画」は国の事業と最初にお伝えしましたが、実際に計画を運行するのは地方自治体です。国が責任を持って地方をサポートする、という意味合いと理解して良いでしょう。地方自治体といっても、経済力を持つところもあれば財政的に厳しい地区も少なくないからです。
市町村や都道府県は、厚生労働大臣の定めた基本方針に基づいて介護保険に関わる計画を策定します。その際、
1)該当地区における介護施設の「必要利用定数の総数」
や、
2)「地域支援事業」「ホームヘルプ事業」「介護給付などのサービス」「デイサービス」の利用者の見込み量
を推定します。
また
3)介護を必要とする方々がさまざまな行政サービスを利用するのを手助けする「自立支援等施策に関する事項」
を実施します。
言ってみれば、介護行政の受け手である被介護者の総数や必要量を推定し、それに基づいて民間施設の開設許可を出したり、その利用を推進する事業というものが、国の介護事業なのです。
4)3つの介護施設
1)の「介護施設」には「認知症対応型共同生活介護施設」(いわゆるグループホーム)や「地域密着型介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」、そして「地域密着型特定施設(介護付き有料老人ホーム)」があります。
「グループホーム」は認知症を持つ被介護者が共同して生活する空間を持つ施設です。認知症の進行をできる限り遅らせるために利用者やスタッフが一緒になって日常的な作業を行うスペースを持ちます。また利用者はユニットと呼ばれる個室において就寝するなど行うことのできる区画を有します。
「特別養護老人ホーム」と「介護付き優良老人ホーム」は、地域や家族とのつながりを重視して、被介護者の自立した生活を支援する施設となっています。
5)介護計画に求められること
以上のような市町村の介護事業は市町村の他の行政的な計画と辻褄が合うように求められています。つまり市町村の「老人福祉計画」と一体なものとして、地域福祉計画と調和を持ち、市町村計画と整合性を持つことが求められています。これは税金の投資される福祉事業の無駄をなくす行政的な努力が求められていると言うこともできるでしょう。
介護はその家族だけが担うべきものではなく、この高齢化社会では、市町村や地域もまた、責任を持って担うべきものという時代の要請があると言うこともできるでしょう。介護福祉の事業を理解することは、高齢化しても、決して孤独な生活を強いられるものではないのだ、という明るい老後への希望を持つことにつながります。老後の不必要な不安を払拭することはとても大切なことだと思います。