一年に一度の神妙な時間
富士市富士宮市にて在宅医療に携わっている薬剤師の栗原です。
皆さんの中には血圧が高いね、と言われたことがある人は、意外と多いのではないでしょうか?
1)高血圧は3人に1人
実際、現在の基準値から言うと国民の3人に1人が高血圧の基準に該当すると言われています。
これだけ該当者が多いと、むしろ基準の方が厳しすぎるのではないかとか、色々不信が生じるのかもしれません。
2)高血圧はサイレントキラー
けれども実際に、血圧が高い人は、そうでない人に比べて脳卒中や心臓病の発生割合が統計的に倍高くなることが判明しております。
高血圧対策は、そう点で現代では予防医療的な側面が強くあるといえます。
それが可能になったのも、降圧剤、つまり血圧を下げるお薬の質が向上してきたことが背景としてあります。
3)薬で血圧を下げる方法
お薬で血圧を下げる方法は大きく分けて2つあります。
1つは、体を張り巡らす末梢血管の収縮を抑えることで、心臓が収縮したときも末端の血管の柔軟性により血圧の最高値を抑える事です。
血管の収縮は血液内のカルシウムイオンが担っています。その働きを阻害する作用を持つものです。末梢の血管が広がるため、多少の浮腫を感じる人もいますが、高血圧対策としてとても有効なお薬となっています。
もう1つは、過剰な心臓の動きそのものを抑えてあげることです。
心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割を持っています。そのポンプの動きを抑制してあげれば、当然、血圧は下がることになります。
4)血圧測定の最大値と最小値とは?
血圧の測定基準は最高値と最低値です。
最高値とは、心臓が収縮して全身に血液を送り出した時の値のことで、最低値とは、心臓が弛緩して逆に心臓が血液を吸った時の値です。
5)高血圧がもたらす脳梗塞と脳出血
心臓の働きを抑えてあげる降圧剤は、心臓収縮に不規則な動きがあり、心臓のポンプ機能そのものに不全が認められる場合に用いられます。よって、血圧を下げる目的というよりも心臓そのものを保護しようという目的で処方されると言えます。
高血圧がもたらす大きな疾病には心臓病と脳卒中があると先ほど触れましたが、脳卒中にも大きく分けて、脳梗塞と脳出血があります。
脳梗塞は、脳内の血管が詰まってその周辺に血液が送られなくなり、脳細胞が壊死してしまう病気です。
コレステロール値が高かったりすると、血管が硬くなって、血管壁に脂肪が付着し、詰まりやすくなります。また、先ほど心臓病について触れましたが、心臓の働きが不安定になると心臓内に血管の塊が生じやすくなり、その塊が脳に飛んでしまうことでも脳梗塞は生じます。
血圧が高くて脳内の血管に過度な負担が生じると、血管が破裂することがあります。それが脳出血です。
脳出血というと、一気に脳の血管が破裂してしまうことをイメージしやすいですが、多くの場合、微細な脳出血の繰り返しが生じて次第に血管が脆くなり、ある瞬間に一気に脳の血管が破れてしまうのです。
ですから普段からの血圧コントロールが重要になってくるのです。
6)高血圧を見逃さない
血圧が高い人の中には、自分は血圧高いと言われているけど、周りからは元気と見られているし、自分でもそう思うという人がいらっしゃいます。ですが血圧コントロールに無頓着でいると次第に脳や心臓や、各種の臓器に過度な負担をかけていることを忘れないで頂きたいです。