服薬指導は内服の患者利益を最大化するものです
富士市富士宮市にて在宅医療に携わっている薬剤師の栗原です。
患者様から多い質問に、実は「家族がお薬残したんだけど、これってなんで大丈夫?」というのがあります。
痛み止めとか解熱剤とか、自分でもなんとなく知っていて、飲んだことのあるお薬って、飲んでも大丈夫なんじゃないかって思うのは当然と思います。
たとえばカロナールやロキソニンなんかは誰もが知っているお薬とも言えるでしょう。何となく飲み方もその効果も知っていると思われるのは仕方ありません。
基本、私はご家族のお薬を飲むことは避けた方が良いと思っています。
飲み方や効果について、ご本人が十分に理解されていない場合も考えられますし、何か大きな疾病の発見を、そのお薬を服用することで遅らせてしまうことがあるからです。
幸い私たち日本に住む者は、国民皆保険制度の恩恵に預かっており、諸外国で医療機関にかかるより負担が少ないので、家族のお薬を飲むよりも医療機関にかかった方がお得と思います。
また、ご家族のお薬を飲む場合、そのお薬によって生じかねない副作用の救済制度の対象外となってしまうのです。自己責任にかかる服用方法になるので、薬剤師としてはお勧めできないわけです。
当然、自分に買って処方されたお薬が手元にあり、その症状が治った後に別の疾患で飲む場合も、副作用救済制度の対象外となってしまいます。
ちょっとした発熱や不調と思って自己判断せず、基本的には医療機関にかかる事をお勧めします。
ただし近郊のドラッグストアを利用することは、時間や費用面で有利な場合もあります。いわゆるセルフメディケーションは国の推奨するお薬の服用方法でもあります。
セルフメディケーションの良いところは、患者様が自分で主体的にお薬を飲むことを選択しているという点です。
今はお薬の情報はスマホを使っても調べられます。薬剤師が普段参照しているサイトやアプリを患者様が損傷することだって出来ないわけではありません。能動的に調べて、実際自分でお薬を飲んでみるということは、それ自体、生きた知識を得ることとも言えます。経験的に知り得た情報は、薬剤師から言われるままに鵜呑みにした情報よりも価値がある場合もありますでしょう。
ただし、ドラッグストアを利用する場合、薬剤師や登録販売者のいる店舗、つまりお薬の服用について相談できる場所で購入される事を強くお勧めします。
お薬を専門的に学んだ薬剤師や登録販売員と一般の方の違いは、お薬についての情報を多面的に検討できるという点です。お薬の作用や副作用、注意点について、その背景(理由)を考察しながら情報を読めるものです。
ですからドラッグストアでは、「これってこういう飲み方で良いの?」とか「こういう時に飲んでも大丈夫?」とか、ぜひ積極的に質問しながら利用していただきたいと思うのです。
すなわち医療機関にかかる事は優先事項ではありますが、ドラッグストアを利用することも選択肢の一つと考えて差し支えないでしょう。