不動産売却の第一歩!査定価格の正しい見方とは?

―「片付けができない家族」を責めずに寄り添うために、プロが伝えたい本音―
最初にぶつかる壁は「荷物問題」である
不動産を売却する相談の中で、
ここ数年もっとも増えているのが「荷物が多すぎて売れる気がしない」という悩みです。
・親が残した荷物が手つかずのまま…
・どこから手をつけたらいいかわからない
・片付けだけで何十万円もかかると聞きました
・荷物そのままでも本当に売れるんですか?
実は、“荷物そのまま”の状態で売却することは可能です。
しかし、それは「なんでもOK」という意味ではありません。
荷物の量・種類・家の状態・売却方法によって、
可能な範囲と不可能な範囲が明確に存在する
のです。
この記事では、
・費用
・リスク
・不動産会社としての受け入れ基準
・相続人間のトラブル
・境界線(何がOKで何がNGか)
を“現場の本音”で解説します。
第1章 “荷物そのまま売却”はどこまで可能なのか?
1.仲介の場合:そのまま売れるケースは限られる
仲介は一般の購入者を探す方法です。
そのため、荷物が大量に残った家は「購入者の印象が悪くなりやすい」のが現実です。
とはいえ、以下の条件が揃えば仲介でも十分売れます。
〈そのままでも売れるケース〉
・土地が人気エリア
・建物価値より土地価値が高い
・荷物のジャンルが偏っている(布団・家具が中心など)
・売主が「現状渡し」を了承できる
・価格が相場より少し低い
〈そのままだと厳しいケース〉
・荷物が生活ゴミに近い
・通路が確保できないレベル
・ペットの排泄物が大量
・臭いが強い
・水回りの使用が困難
・写真に収められない状態
仲介売却は、
「買主の“生活イメージ”を邪魔しないレベル」が境界になります。
2.買取の場合:ほぼ“荷物そのまま”で可能
買取は不動産会社が買主になるため、
荷物に対する許容範囲が圧倒的に広いです。
〈そのままOKの代表例〉
・家具・家電
・生活用品
・衣類
・布団
・書類
・写真アルバム
・調理器具
・本棚の本
・物置の中身
・庭の植木鉢
・倉庫の工具
ほとんどの場合、
残置物撤去はこちらで行います。
(多いところでは4トントラック8台分を片付けた実例もあります)
ただし、何でも引き受けられるわけではありません。
〈さすがにNGな物〉
・医療廃棄物
・大量の生ゴミ
・針・注射器類
・火薬・危険物
・法律的に所有できない物
これらは法令違反の可能性があるため、
売主側で処分をお願いすることになります。
第2章 片付け費用のリアル

「全部捨てたらいくらかかるの?」
という質問は非常に多いです。
業者による片付け費用は、以下のように幅があります。
1.片付け費用の相場(静岡エリアのイメージ)
〈目安〉
・ワンルーム:5万円〜15万円
・2DK:15万円〜35万円
・一軒家(平均):20万円〜80万円
・大量の荷物・ゴミ屋敷:80万円〜150万円以上
費用が大きく変動するのは、
「運搬費・分別・処理手数料」が大きいからです。
荷物の多さだけでなく、
“なにが残っているか”が費用に直結します。
2.解体予定の家は、片付け費用が安くなる
建物を解体するなら、
中の荷物は「分別せずに撤去できる」
ため費用が大きく下がります。
・通常:60万円かかる量 → 解体前なら20万円で済む
・家具は解体時にまとめて処分可能
・ゴミの分別が不要
家を壊す予定なら、
片付け業者に頼むタイミングを間違えないことが重要です。
3.買主負担にするという選択肢
買取の場合はほぼ全て“買主負担”になります。
仲介の場合でも、買主が「残置物そのまま」を受け入れるなら
値引きと引き換えに引き受けてもらえるケースがあります。
たとえば…
・通常価格:1,200万円
・残置物あり:1,150万円で買取
・買主側で処分(処分費20万程度)
このように、
「値引きと片付け費用」はセットで考えるのがポイントです。
第3章 “そのまま売る”3つの大きなリスク
1.荷物が多いと、家の欠陥が見えない
荷物そのまま売却は可能ですが、
その荷物が“瑕疵(欠陥)”を隠している場合があります。
・シロアリ
・床の抜け
・壁の結露
・雨漏り跡
・配管の腐食
買主が気づかず購入し、
後から問題が発覚するとトラブルになります。
〈対策〉
・事前に簡易チェック
・契約書に「現状渡し(契約不適合責任免責)」を明記
・注意点を事前に説明
これをしておくだけで、
未然にトラブルを避けられます。
2.相続人同士のトラブル
荷物そのまま売却は、
相続では最も揉めやすいポイントです。
・「勝手に捨てた!」
・「大切な思い出がなくなった」
・「荷物を確認していない」
・「査定が下がるから片付けてよ」
対策としては、
〈売却前にやっておきたいこと〉
・写真や動画で室内を残しておく
・相続人全員に“荷物そのまま売却”を事前共有
・実家に戻れない相続人へオンラインで状態共有
これだけでトラブルはかなり減ります。
3.“残置物放置”が売れにくさにつながることも
特に仲介では、
残置物が多い家は見学で敬遠されることがあります。
・生活感が強すぎる
・部屋の広さが伝わらない
・清掃のイメージが湧きにくい
ただし、
「土地目的の購入者」はほとんど気にしません。
逆に
「どうせ壊すから、荷物そのままでOK」という人も多いのです。
リスクとメリットを天秤にかける必要があります。
第4章 境界線のリアル:“ここまでならOK、ここからはNG”
1.買取会社が受け入れられる“そのまま”の範囲
〈基本的にOKなもの〉
・家具
・布団
・衣類
・家電
・食器
・生活用品
・物置の中身
・本や雑誌
・写真・アルバム
・仏壇(合同供養への引き継ぎも可能)
・庭の植木鉢
・倉庫の工具
こういったものは、
ほとんど問題なく引き取れます。
2.反対に、受け入れNGライン
〈NGまたは事前相談が必要なもの〉
・生ゴミ(腐敗しているもの)
・針・注射器・医療廃棄物
・大量のペットの糞尿
・危険物(ガスボンベ、大量の油、火薬類など)
・法律に触れる可能性のある物
これらは専門の処理業者が必要になり、
不動産会社だけでは対応できません。
3.仲介で“現状渡し”にする場合の線引き
仲介でも、
「現状のまま引き渡し」にすることは可能です。
大事なのは、
・買主の事前了承
・契約書への明記
・写真などでの状況記録
〈契約書に入れておきたい一文のイメージ〉
「本物件は、売主の居住・使用の痕跡を含む現況有姿での引き渡しとし、
残置物の撤去および処分は買主の負担とする。」
こうした文言を入れることで、
“言った言わない”のトラブルを防ぐことができます。
第5章 「荷物そのまま売却」が向いている家・向かない家
1.向いている家
・解体前提の古家
・土地値の方が明らかに高い物件
・相続人が遠方に住んでいる
・親が大量の荷物を残している
・時間をかけずに売りたい事情がある
・家族に片付けを頼める人がいない
これらのケースでは、
買取による「荷物そのまま売却」が非常に有効です。
2.向かない家
・室内をきれいに見せて販売したい
・築浅で建物の評価も高い
・リフォーム済み
・居住中のまま売り出す
・仲介で一般の購入者向けに売る
こうした場合は、
少なくとも大きな不要物だけでも片付けておいた方が
結果的に高く・早く売れやすくなります。
終章:荷物が多い家ほど、プロが支えるべき理由

私は長く不動産の仕事をしてきましたが、
家が片付かないことを責めるべきではない
、と強く思っています。
・思い出が多い
・物が捨てられない
・親が急に施設へ入った
・時間がない
・気持ちの整理が追いつかない
家族の事情は本当にさまざまで、
荷物が残るのは“普通のこと”です。
だからこそ、
「荷物そのままでも大丈夫ですよ」
と言えるプロが必要なのだと思います。
家は、
荷物が多くても、
散らかっていても、
古くても、
売れます。
大切なのは、
家族が無理なく前に進めるように、
最適な方法を一緒に探すこと。
もし今、
「片付けが追いつかない……」
「荷物が多すぎてどうしていいかわからない」
そんな状態なら、
どうか一度ご相談ください。
荷物そのままの状態でも、
売却・管理・片付け・相続の整理まで、
すべてサポートいたします。
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