相続の話を“まだ早い”と言う家族にこそ伝えたいこと
―「急に空き家になった家」をどう扱うかで、家族の未来は大きく変わる―
親が施設に入るとき、「実家問題」が突然始まる
「親が施設に入ることになりました。
実家はどうしたらいいでしょう?」
静岡市で仕事をしていると、ここ数年で最も増えた相談がこれです。
・入院
・そのまま退院せず、施設へ
・実家が空き家に
・兄弟の誰も管理に行けない
・でも相続はまだ先
・決めなきゃいけないのに、話が進まない
この “相続前の空き家” という状態は、
実は相続本番よりも問題が多い時期です。
なぜなら、
●名義は親のまま
●家族が自由に売ることはできない
●管理責任だけは家族にのしかかる
●施設費がかかり続ける
●兄弟の意見が割れやすい
●親は自宅に戻れない可能性が高い
…にもかかわらず、
誰も準備していないからです。
相続の話よりも先に、“実家の今後”という現実的な問題が動き出す。
家族の心とスケジュールが追いつかない。
この記事では、
静岡市で相続・空き家・売却の相談を数多く受けてきた立場から、
「親が施設に入ったタイミングの実家問題」 に特化して
専門的かつ“人間らしい視点”で深く掘り下げます。
目次
第1章 なぜ、施設入所が「実家問題」のスタートなのか
●1. 施設入所は「自宅に戻らない」可能性が高い
病気や転倒をきっかけに入院し、
退院後にそのまま施設へ入るケースは非常に多いです。
本人はこう言います。
「落ち着いたら家に戻るよ」
でも実際には戻れないことがほとんどです。
介護度、体調、生活環境の問題…
理由はさまざまですが、
結果として 実家は空き家になる ケースが急増しています。
静岡でも特に
・駿河区
・清水区
・葵区郊外
で相談が増えています。
●2. “相続前の空き家”は、法的にも扱いが難しい
親が生きている以上、
・名義変更ができない
・売却の決断は本人の意思が必要
・家族は勝手に処分できない
という状態なので、
家族は 管理責任だけが増える ことになります。
●3. 親も「実家の話」を自分から切り出しにくい
親はこう思っています。
・家の話をすると“終わり”を意識させそう
・子どもに負担をかけたくない
・弱ったと思われたくない
親が本心を話せないまま、
家族がバラバラに判断してしまう…
これが“揉める相続”の前兆になるのです。
第2章 実家をそのまま放置するリスクは「想像以上」

「まだ親が生きているし、今は何もしなくてもいいよね?」
そう思う家族が多いですが、
実は一番危険なのが “何もしないまま放置” です。
静岡市で実際に起きているリスクを紹介します。
●1. 建物の劣化が驚くほど早い
空き家になると、
家は本当にあっという間に傷みます。
・湿気
・換気不足
・排水トラブル
・カビ
・シロアリ
人が住んでいない家は、
想像よりも 3倍のスピードで劣化 します。
築40年の木造住宅は特に顕著です。
●2. 雑草・越境・害虫で近所トラブルに発展
静岡市は温暖で植物が成長しやすい地域。
雑草は2ヶ月で“別の家”になるほど伸びます。
・隣家への越境
・落ち葉が雨どいを詰まらせる
・害虫の繁殖
・野良猫の住みつき
最初は近隣も黙っていますが、数ヶ月で必ず苦情が来ます。
●3. 空き巣・不法侵入のリスク
空き家には必ず外から“気配”が出ます。
・郵便物
・電気メーター
・カーテン
・庭の荒れ
空き巣、放火、ゴミの持ち込みなどの被害は年々増えています。
●4. 建物が傷むと相続時に“売れなくなる”
実家を残すつもりがなくても、放置するほど損します。
驚かれるのですが、
実家を管理している家族ほど売却価格が高いです。
空き家状態が続くほど、売却時のコスト(解体・修理)が膨らみ、
査定額も下がるのです。
第3章 実家の行く末は「売る・残す・貸す」の3択

親が施設に入った瞬間、家族は必ずこの3択を考える必要があります。
●① 売却する(生前売却も可能)
実は、施設に入った後の生前売却 はメリットが大きいです。
メリット
・建物が傷む前に売れる
・相続人が揉めにくい
・空き家管理の負担がゼロ
・施設費にも充てられる
デメリット
・親の判断能力が必要
・本人が「売りたくない」場合も多い
だからこそ、本人がまだ判断できる“今”の段階で一度話す必要があります。
●② 残す(将来誰かが使う前提)
親が戻る可能性を考えて残す場合、
必須なのは 空き家管理 です。
・定期換気・通水
・郵便物整理
・草木チェック
・破損の早期発見
・室内の湿気対策
これを“家族がやる”のは現実的ではありません。
静岡のような広い地域ではなおさらです。
月1〜2回の管理で、
実家の傷み方が本当に変わります。
●③ 貸す(賃貸・リロケーション)
家を貸すという選択肢もありますが、
実は“思ったよりハードルが高い”です。
・修繕が必要
・高齢者の家は古いケースが多い
・貸すためのリフォーム費が発生
・トラブル時の対応が必要
ただし、立地条件が良い場合は
“売るより収益が高い”ケースもあります。
判断には経験と市場感が必要なので、
ここは不動産会社の腕の見せ所です。
第4章 兄弟が揉めないために必要なのは“話す順番”

施設入所 → 実家が空き家
この流れで兄弟が揉めるポイントは決まっています。
1. 実家の管理を誰がするか
2. 売るか残すかの価値観
3. お金を誰が出すか
この3つです。
●1. 最初に決めるべきは「管理代表者」
実家の管理は、誰が責任を持つのかを最初に決めるだけで
話がスムーズになります。
●2. 売る・残すの“方向性”だけでも決める
結論は後でよい。
方向性だけでも決まっていると、
兄弟の話し合いが驚くほど平和になります。
●3. “感情”と“合理性”の両方を見る
兄弟の中にはこういうタイプがいます。
・感情優先タイプ:「家だけは残したい」
・合理タイプ:「管理が大変だから売ろう」
どちらも間違っていません。
間に立って調整するのが専門家の役割です。
第5章 実家を売ると決めたときの具体的ステップ
●ステップ1:査定依頼
ネット査定でもOKですが、
訪問査定が必須です。
荷物が大量でも問題ありません。
そのままで構いません。
●ステップ2:売却方法の選択
・仲介(高く売れる)
・買取(早く売れる)
施設費・家族の希望・家の老朽化…
状況に合わせて最適解は変わります。
●ステップ3:残置物の整理
エステージでは荷物の量が多い家でも
ワンストップで対応しています。
●ステップ4:売却活動 → 契約
空き家のままでも売れます。
むしろ多くの家が空き家で売れています。
第6章 残す場合は「管理」が資産価値を守る
施設に入った親が帰ってくる可能性もあります。
そのときに家が傷んでいたら、戻りたくても戻れません。
空き家管理は
・家を守る
・売却時に価値を落とさない
・近隣とのトラブルを防ぐ
最強の方法です。
◆ エステージの空き家管理でできること
●通風・通水
●郵便物整理
●草木の確認
●外観点検
●室内チェック
●写真付き報告書
●売却相談も同時に可能
エステージの空き家管理
「実家を残す」選択肢をするなら、月1回の管理が必須です。
終章:親の人生の“次のステージ”を、家族で支える

施設入所は、親の人生の“終わり”ではありません。
新しい生活へ移るための転機です。
その時期こそ、
家族が冷静に、
そして優しく話し合う必要があります。
・施設費
・親の生活
・兄弟の負担
・実家の将来
・相続の準備
どれも簡単ではありません。
でも、ひとつずつ整理すれば必ず道が見えます。
もし今、
「このまま実家を放置して大丈夫かな…」
「兄弟と話ができていない」
そんな不安があるなら、
どうか一度ご相談ください。
静岡でたくさんの“家族の決断”に寄り添ってきた経験から、
あなたのご家庭に合った最善の形を一緒に探します。
家族の未来を守る第一歩は、“今”実家と向き合うことです。





