「英語教師になった帰還兵」(『なにわの英語教育』より)

谷浦健司

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テーマ:子育て・教育

大英研実践集『なにわの英語教育』の中に元大英研会長・上村敦さん(故人)の「英語教師になった帰還兵」という興味深い記事が掲載されています。上村さんは軍隊から解放されて、大学に復帰・卒業し、中学時代の友人に「中学の先生やってみんか」と言われて面接を受け、教職課程を履修せず教育実習の経験もなしに教壇に立つことになります。

今では考えられない経過ですが、今以上に教師のなり手がなく、米軍の民主化指令で生徒は列に並んだり、号令などは禁止されていたそうです。当初はなぜか理科や音楽を担当させられるのですが、そのうち英語を受け持てるようになりました。授業を見てもらった教頭に「取り柄は、熱、熱、それだけ!」と言われて、彼は課題を見つけて研究授業を飛び回わり、フォークソングを取り入れた実践を重ね、本を出版するまでに極めました。

今の朝ドラ『あんぱん』では、やなせたかしさんの兵隊時代や帰還兵として記者や漫画家になる姿が描かれ、彼はその後揺るがない正義とは何かを追い求めて漫画「アンパンマン」を創作します。

価値観が大きく揺れ動いた時代をたくましく生き抜いた2人の生き方に学ぶものは大きいと思います。


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谷浦健司
専門家

谷浦健司(教育アドバイザー)

高校教諭40年、大学生指導の経験をもとに教育講演や教育アドバイスを行います。英語教育では、映画「火垂るの墓」を英訳した独自教材が全国で評判に。思春期の子どもに寄り添う指導法や子育てのヒントを伝えます。

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