昔の葬儀はどんな感じだったか
【質問の内容】
質問失礼します。香典辞退ってなんでされるんでしょうか?
【回答いたします】
ご家族様が香典を辞退される理由として、よくお聞きするのは次のような点です。
①弔問の方に香典をご用意いただくことが負担になってしまうのではないかという心配
②香典返しの準備や手順がよく分からず、不安があるため辞退しておく
③お花などのお供え物はありがたく頂戴するが、金銭である香典は受け取らないようにしたい
弊社では、ご家族様から「香典は辞退すべきか」とご相談を受けた際には、基本的には 「お受けになることをお勧めします」 とお答えしています。
その理由は、香典は弔問者の誠意そのものであり、そのお気持ちを真摯に受け止めることもまた、故人への敬意の表し方の一つだからです。加えて、香典返しをご準備し、きちんと礼を尽くすことは、故人の礼節・尊厳を守る行為でもあり、ご家族が故人に代わって果たす大切な務めであると考えております。
相互扶助の観点からも、ありがたく頂戴し、もし差し上げた方が将来お困りの際には、今度はご家族が力になればよい。そのような支え合いの関係が本来の香典文化です。かつては、隣近所でお塩や味噌を貸し借りするように、ごく自然な助け合いがありました。しかし現代では、「借りを作るくらいなら自分でコンビニに買いに行く」ような、できるだけ人に頼らない心理が強くなっているようにも感じます。
しかし、葬儀はご家族にとって人生の一大事です。
その時だけは、自己完結にこだわらず、周囲の暖かさを素直に受け取ってよいのではないでしょうか。感謝をもって受け止めること自体が、故人とのお別れをより豊かなものにしてくれます。
かつての葬儀では、祭壇の豪華さなど「見栄」が一つの基準としてありました。
一方、昨今は「誰にも迷惑をかけない」という思いが強く、かえってお別れの場が窮屈になっているように感じます。
人と人が寄り添い合う場である葬儀においては、周囲からの思いやりを遠慮なく受け取り、互いに支え合う姿勢が本来のかたちなのだろうと、私は考えております。



