遺された写真と遺骨に寄り添って~父に会えなかった娘の心の行き場~

藤井俊平

藤井俊平

テーマ:QアンドA

【質問の内容】
私は40代女性で結婚しています。
私が小学生の時に両親が離婚して母に引き取られました。離婚原因は双方にあったと思いますが、真相は分かりません。
母から父の悪口ばかり聞かされて育ちました。最後に父に会ったのは25歳の時でした。
先日、父が亡くなったと連絡がありました。私達子供を探し出すのに時間が掛かり葬儀は終わった後でした。
数十年ぶりに父の親戚の方に会い、父の住んでいた家に行き、話を聞きました。父は親戚の方と仲良くやっていたこと、慕われていた事、離婚後一人で生活していたこと、私の赤ちゃんの頃の写真を大事にいつも持ち歩いていた事を知りました。
遺骨を引き取ってお墓を作り供養して行くつもりです。今は悲しみで涙が止まらず、後悔で一杯です。
何故、戸籍などを辿って父を探し出して会いにいかなかったのかと後悔しています。父に会いたかった。もう会えないのは分かっているけど会いたい。
気持ちの持って行き様がありません。いくら供養をしても、父には伝わりません。

【回答いたします】
お父様を探し出して会いに行かなかったことを後悔していらっしゃるのですね。そして、もう会えないことは分かっていても、どうしても会いたい。そのお気持ちの行き場がなく、いくら供養をしても、お父様には届かないのではないかと感じておられるのですね。

私どもにできることは限られておりますが、せめてお気持ちを受け止め、私なりに思うことをお話しさせていただきます。

私が気になったのは、質問者様が、何故、生前のお父様に会いたいと思われたのか。そして、今、もう一度会えるなら会いたい」と願う理由です。

もしそれが、「自分の生みの親だから会うのは当然であり、そばにいなかったことで寂しい思いをさせてしまった。だからこそ、お別れの際には感謝の言葉とさよならを伝えたかった」というお気持ちであるならば、その思いは、きっとお父様に届いていると思います。

なぜなら、お父様が質問者様のお写真を持っていらしたことからも、父親として娘を気にかけていたことがうかがえます。そして、ご自身から会いに行くこともできたはずなのに、それをしなかったのは、何か事情があったのかもしれませんし、娘の人生を尊重していたからとも考えられます。 「娘から会いに行かずとも、父親は娘の気持ちを受け止めている。」と考えるほうが自然な気がします。

会えなかったことは、確かに残念なことです。しかし、お父様が「消えてなくなる」わけではありません。
質問者様がご自身で供養を続けていこうとお考えであるならば、ぜひ墓前で、今の思いを伝え続けてください。気持ちの持っていきようがないことも、正直に語ってよいと思います。

そうしているうちに、ふと、今まで思いもしなかったような言葉や考えが、心に浮かぶことがあります。その言葉こそが、お父様が質問者様に伝えたかったことだったと気づく日が、いつか訪れることを願っております。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

藤井俊平
専門家

藤井俊平(葬儀業)

株式会社せれもに

「ライフエンディングサポート」サービスにより、高齢者が抱えるさまざまな悩みをまとめて解決に導く。信頼関係を築き、葬儀について元気なうちから備えていただくことで、安心してお別れに臨んでいただく。

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

葬儀とそれに関わる問題解決を目指す専門家

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ大阪
  3. 大阪の冠婚葬祭
  4. 大阪の葬儀・斎場
  5. 藤井俊平
  6. コラム一覧
  7. 遺された写真と遺骨に寄り添って~父に会えなかった娘の心の行き場~

藤井俊平プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼