葬儀を行う前の相談
【質問の内容】
ふと気になったんですが、宗教の無い方たちはいるのでしょうか?日本人である以上何らかの宗教に入っていると思うのですが、そうではないのでしょうか?
また、無宗教の人たちは先祖代々宗教に入らなかったのでしょうか、あるいは途中から無宗教にできた?のでしょうか?
【回答いたします】
広い意味で捉えれば、宗教をまったく持たない人はいないのではないかと思います。無宗教とは、神を信じないという宗教的態度です。現在「無宗教」とされる方々も、先祖代々そのようであったというよりは、個人で宗教との関わり方を考えた結果、無宗教という立場に至ったのではないかと考えています。
ご質問の意図は形式的な所属ではなく、神仏を信じているかどうかという意味であると解釈し、お話を進めます。NHKの『日本人の宗教観調査』(2018年)によると、「宗教を信じている」と答えた人は36%となっています。これを踏まえると、6割以上の人々は、何らかの宗教に所属している可能性はあっても、実際には信仰していない、いわば「無宗教的」な立場にあると推測できます。
そもそも「宗教とは何か?」という問いから始めるべきかもしれませんが、結論だけ申し上げるならば、「宗教がまったくない」と言い切るのは難しいように思います。現在「無宗教」と公言されている方々の中には、神仏を強く否定する信念を持っている方は少数派ではないでしょうか。そうした方々でも、初詣に行ったり、合格祈願や病気平癒を願って祈ったりすることは、日常的に行われているはずです。ただ、心の拠り所としての宗教を信じられなくなっている、あるいは心もとなく感じているのが現代の状況かもしれません。人は社会生活を営むうえで、何かしらの心の支えを必要とします。小さな単位では、伴侶や家族がその役割を果たし、その延長線上に宗教があるとも言えるでしょう。
語弊を恐れずに言えば、家族を深く愛し、信じている人の中には、宗教の代替として「家族教」とも呼べるような仕組みに所属している方もいるかもしれません。一般的に、宗教に代わって多くの人が信頼を寄せているのは「科学」ではないでしょうか。たとえば、仏教に形式的に所属していても、仏そのものを純粋に信じているわけではなく、代わりに科学が探求する真理に価値を見出していると考えることもできます。
しかし、個人的にはこの傾向には危うさを感じています。なぜなら、科学は天動説から地動説への転換のように、仮説と検証を繰り返しながら真理を更新していくものだからです。つまり、今信じているものが、ある日突然覆される可能性があるのです。 話が少し脱線してしまいました。 ご参考いただければ幸いです。



