葬儀費用関係
【質問の内容】
ある所の調査では「東京で火葬だけで葬儀をしないのが3割」とありました。
一瞬、多いなと思いました。
でも確かに東京では超高齢者も多い上に、施設等に長期滞在していれば、ご近所の知り合いもすでに亡くなったりして葬儀に来てくれる人が減る一方なんですよね。若くても簡素な葬儀を求める人も増えてきてるようですし。
今後、子どもが居ない夫婦や、パートナを作らない人が増えてくると、参列者が焼香に並ぶような葬儀と言うものが現役の人か有名人の葬儀ぐらいになってしまうのかも。
葬儀屋さんは、どう思いますか?
私は、その3割の中に入りたいとは考えています。
【回答いたします】
都内における火葬式の施行率については、公式な統計が存在しないため、あくまで推定の域を出ません。ただし、信頼性の高い民間調査(集計件数約2,000件)によると、現時点では約2割程度とされています。今後10年でその割合が4割程度まで上昇するという予測モデルも存在します。
葬儀の簡素化を望む傾向には、いくつかの要因が重なっているように思われます。たとえば、お別れに臨む人が少なくなっていること、故人自身が生前に簡素な形式を望む場合、宗教儀礼の形骸化や関心の低下、そして経済的な制約などが挙げられます。これらの要素が複合的に作用し、火葬式を選択するマインドが形成されていると考えています。
ところで、葬儀には以下のような機能があります。
1. 社会的なつながりとの別れ
2. 遺体の火葬
3. 悲しみを癒す
4. 故人との関係性の変化を受け入れる(現実ではなく心の中で生きる存在として)
5. 悲しみ以外に沸き起こる様々な感情へのケア
お別れに臨む人がいない場合、③〜⑤の機能は不要となり、結果として火葬式という形式が選ばれることになります。現代社会では人間関係が希薄になりつつあることから、火葬式の増加は自然な流れとも言えるかもしれません。とはいえ、安易に火葬式を選択してほしくないという思いもあります。お別れを望む方がいらっしゃる場合には、③〜⑤の機会が必要となるからです。現在広く行われている火葬式の多くは、これらの要素を含まないケースが目立ちます。
もしご家族がいらっしゃり、「家族に負担をかけたくない」という思いから火葬式を選択しようとされる場合には、単に「自分は火葬式でよい」と伝えるのではなく、残される方々の気持ちに配慮した言葉を添えていただきたいと思います。 たとえば、 「自分の葬儀は火葬式で構わない。ただ、皆とのお別れの時間は取りたいので、一晩だけでも一緒に過ごす時間を設けてほしい」 といった形で伝えていただければ、ご家族の心の整理の時間を奪うことなく、後戻りのできない大切な時間を後悔することなく、お過ごし頂けるかと存じます。



