辛い気持ちから立ち直る方法はある?

藤井俊平

藤井俊平

テーマ:QアンドA

【質問の内容】
葬儀をしなければならない事は分かっていますがお別れをするのが辛く、火葬をしてしまうと私の知っている父では無くただの骨になってしまうのが耐えられませんでした。しかし、このまま置いておくことも出来ないですし、葬儀はそうこうしているうちに終わってしまいました。早く忘れる方法や立ち直れる方法などがありましたら教えて頂きたいです。葬儀に関係の無いことを聞いてしまい申し訳ありません。

【回答いたします】
葬儀を執り行うことはわかっていても、お別れはとても辛く、「もう、知っているお父様ではなくなってしまう」という現実に耐えられなかったのですね。
なぜ「忘れる方法」や「立ち直る方法」を知りたいと感じられたのか――それが私には気がかりで、本当はもう少しお話を伺いたいところなのですが、今はそれも叶いません。どうか、私の独りよがりな言葉になることをお許しください。

人は、意識して忘れようとするほど、かえって心に深く残ってしまうものだと思います。むしろ「忘れるため」には、その想いをきちんと見つめ直すことが必要ではないでしょうか。たとえば、「なぜ自分は忘れたいと感じるのか」と問いかけながら、ご自身の心の奥をゆっくりと探っていくことです。

ただ、この作業をひとりで行うのはとても難しいことです。ですから、できれば、ただ静かに耳を傾けてくれる人にお話を聴いてもらえるといいのではないかと思います。その人が専門家である必要はありません。カウンセリングのように「治療」を目的にするものではなく、「心の中のモヤモヤを言葉にしていく時間」こそが大切だからです。

誰かに聴いてもらう中で、これまで思いもしなかった言葉や想いが、ふと口をついて出てくることがあります。その言葉は、実は故人が生前に伝えたかったことだったりする場合も少なくありません。それは「故人がすでに語っていたのに、自分が気づかずにいたこと」に光が当たる瞬間なのだと思います。そう考えると、たとえ目には見えなくなってしまっても、故人は今もなお心の中で生き続けているのだと感じられるのではないでしょうか。

私自身も、そのような体験をしてきました。ただ、これはすべての方にあてはまる考えではないことも承知しています。ですので、どうか「参考程度に」と受けとめていただければ幸いです。

無理に忘れる必要も、急いで立ち直る必要もありません。周りの人のために気丈にふるまう必要もありません。どうか、ご自身のために、そのお気持ちを大切に受けとめ、ゆっくりと見つめ直していただければと思います。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

藤井俊平
専門家

藤井俊平(葬儀業)

株式会社せれもに

「ライフエンディングサポート」サービスにより、高齢者が抱えるさまざまな悩みをまとめて解決に導く。信頼関係を築き、葬儀について元気なうちから備えていただくことで、安心してお別れに臨んでいただく。

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

葬儀とそれに関わる問題解決を目指す専門家

藤井俊平プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼