葬儀をしていて大変だと感じることはあるか?
【質問の内容】
サマーウォーズを知らなければ、すみません。サマーウォーズが先々週くらいに金曜日ロードショーであったのを思い出して気になったのですが、あるシーンで、亡くなったおばあちゃんを想って翔太がコンピュータを冷やすための氷をおばあちゃんの身体がある部屋に移動させていましたが、夏場はエアコンがあっても身体は腐ってしまったりするのでしょうか?
もし、サマーウォーズを見ているなら、あの場でとった翔太の行動は人間として間違っては無い行動だったのでしょうか。よく翔太が叩かれてるのを見るので、葬儀社の方に言葉を頂きたいです!
【回答いたします】
サブスクで拝見いたしました。大変面白かったです。
故人のお人柄が、そのままお別れの質を決定する——その意味において、すべての方のお別れが映画のようであってほしいと感じました。鑑賞のきっかけをいただき、ありがとうございます。
さて、ご質問に回答いたします。
エベレストや南極のような氷点下の環境でない限り、故人のお身体の冷却は必要となります。葬儀のお手伝いにおいて、私どもがまず行うのは故人のお身体の保全(衛生管理)です。具体的には、ドライアイスを腹部を中心にあて、体内の保護を行います。また、室内温度もできるだけ下げますが、ご家族が故人と共に過ごせなくなるほど冷やす必要はありません。
翔太の行動は、おばあさまのお身体を冷やすこと自体が目的ではなく、「暑いお部屋で過ごしにくいだろう」という思いやりから出たものだと思います。その気持ちは素晴らしいことです。結果として世界的な危機を招いてしまいましたが、翔太にとっては「世界の滅亡」よりも「おばあちゃんを亡くしたこと」の方がはるかに大きな出来事であったのでしょう。
大切な人とのお別れは、たとえ葬儀に多くの方が参列されても、本質的には故人と一対一で交わされるものです。ご家族が10人いれば、10通りのお別れの形がある。私どもは常にそのことを意識してお手伝いしています。葬儀においては、故人の尊厳を損なわない限り「やってはいけないこと」はありません。
ですから翔太の行動も、誰かが責めるべきものではないのです。ただ現実においては、ご遺族のお気持ちを尊重しつつも、困った事態にならないように葬儀担当者へどんなことでもご相談いただければと思います。



